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知識の記録方式(51) BOM

 BOMは組立型の製品に用いられる部品表のことを言う。部品表は設計者が作成するものである。この部品表は、各社の個性が反映されている。個性というと聞こえは良いが、古くから運用している部品表の記述ルールにいくつか問題が出てきては、対処しているのが現状だと思う。
 品番の付与がその桁数と英数字の組合せだけでは不足している。その結果、品番が持っている意味が部品名を想像できない混沌とした状態になってしまった。また、工場内でのアッセンブリを、外注化し、アッセンブリされた1つの塊としての品番として表現をすることを区別できない。塊としてしか仕入先は納入しないために、塊の中に含まれている部品に品番が付与されていないなど発生している。

 生産や調達先の変更、生産量の増減への内外製の変更など予見できることへの配慮が昔のシステムでは考慮されず、一方で、修理のための補給部品の品番体系を維持するために大きな部品表の記述ルールを変更できないなどで困っていることも出てきた。それへの対策が根本的であるかどうかが将来に継続利用ができるかの分かれ道になることもある。

 かつて、設計者と調達との間で取り決めてきたルールは、その後のBOMの活用部署の拡大と共に、BOMへの要求事項が追加され変化してきた背景がある。その経過の中で、謂わゆるEBOMMBOMの連携についての議論もあった。また、この2つの統一とすべきとの統一BOMの議論もあった。このどちらの議論についても、私は異なる意見をもち続けている。

 まず、EBOMとMBOMと言う名前がおかしい。単にBOMで設計のための部品表で良い。製造にはBOMというものはなく、工程管理システムと呼べば良い。ましてや統一BOMなどはその利用用途からコンセプトとしては考えようがない。工程管理は先に述べてように、内外製の変化、加工工程の変更など、ものづくりの生産性を向上させるために作業の組合せを工程を跨いで行う必要性に合致しないためである。

 ものづくりで工場が必要なシステムは工程管理(MES)であり、それを実現すれば良い。その工程管理システムとBOMをどのように連携させるかを付け加えて考えるべきである。下位のシステムである工程管理システムをどのようにするかの議論もなく、MBOMや統一BOMの議論は意味のないことだと述べておきたい。

 知識の記録方式を考えるにあたり、ものづくり企業においては、BOMと言う品番や製品仕様のデータと知識データをどのように扱うべきか考えておくのかは大切なことである。次回は、この続きを述べたいと思う。

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