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知識の記録方式(36) 知識管理システム

 知識管理システムの業務への活用は2つの機能を対象とすることが必要である。1つは企業での標準化を推進する機能と2つ目は実際の設計や生産などの実務を実施する機能である。標準化を推進する機能は組織単位に標準化のグループを設け、その組織に関する技術の標準化を推進することが多い。この組織単位に設置された標準化グループはそれぞれが知識管理システムのユーザとして標準化を推進することとなる。これにより、自組織の個別最適な標準化ではなく全体最適な標準化を実現することができる。
 また、各実務の実施機能は実務における個別最適ではなく、各実務においても組織を横断的に捉えた全体最適判断を行うために、それぞれの組織が知識管理システムのユーザとなる。
 この全社的な運用を行うには、マスターデータである言葉のマスターの維持が重要である。言葉の全体管理を担う事務局とその言葉の承認を判断する検討ワーキングが継続的に運営されなければならない。一見、大変であるように思えるが、新規に承認すべき言葉は同じような製品を繰り返し開発生産する企業では多く発生しない。最初にこのマスターを登録し、整理することだけで多くは解決されるはずである。日ごろ怠っていることにより、言葉の矛盾や分類のあいまい性からの無駄な時間を考えれば圧倒的な効率化となるはずである。
 例えば海外とのコミュニケーションにも多いに有意義なことである。技術用語辞典を作成していることと同じであり、そのメンテナンス機能を持ったシステム化であると理解すればよい。この事から、言葉マスターの登録機能には、最低限、組織単位に使われる言葉の登録機能が必要である。そうでなければ、膨大な言葉の選択が組織の実務者に負担となるからである。
 また、組織単位に登録されたものの中から、類似した言葉を検索し、その類似した言葉群を一つの標準の言葉として扱う機能が必要である。これは、ユーザは良く使う簡略語を持ってコミュニケーションし、標準の言葉を正確に話しながら(記述しながら)コミュニケーションを行っていないためである。つまり、システムに対して、簡略語を入力(選択)しても、システムでは標準の言葉として記憶されるようにするべきである。また、言葉のマスターは技術、管理の2つの分類にて言葉の区分がなされていることも必要である。更に、言葉の見直しにおいては、標準の言葉を修正できるようにすべきである。
 これらの機能を用いて、標準化の推進業務が円滑に行われるように配慮している。
 実際の実務推進での業務活用方法は、まず、実際の製品開発にて知識管理システムを使うことである。要件書チェックリストをまとめて知識管理システムに登録することは言葉のマスターといった体系的な整理がされていない限りは推奨できない。
 実際の製品開発にてコツコツと言葉のマスターの体系的分類の中に知識を蓄積していくことがベストな方法である。製品開発の段階では具体的な事実と共に、意思決定をする必要があり、その為に、具体的な事柄の1つひとつを過去の知識を整理しつつ業務を進めるからである。その為に、知識管理システムに蓄積しやすい業務となっている。と言うよりも、知識管理システムは製品開発段階で活用する前提で機能開発をしたものである。
 1つの製品を開発から量産、サービスまで企業内にて運用が進むと、その蓄積された知識がどのように関係しているかを俯瞰できるようになる。この知識を参考に次の製品開発に知識管理システムを活用する。その時に、既に蓄積された知識や言葉のマスターとどこが同じであり、どこが異なるかをユーザは自然と意識することができる。その時に、数々の気づきが得られ、その結果を蓄積することでより広く、深い知識を知ることができることを確信するはずである。
 製品開発のマネージャは開発日程や原価、品質などの視点で設計を判断する必要がある。今日、3DCADシステムが運用され、このような判断をどのように実施すべきか迷っている企業も多い。
 知識管理システムは標準の知識に比較して良否を判断することを基本コンセプトとしている。そのためには知識管理システム内で、標準の知識と実際の設計の2つが扱えることが必要である。この両者を比較する手法とその比較した結果を共有することが機能として織り込まれている。
 まず、比較する手法は3DCADモデルへの特徴点記述という方法を用いている。ここで特徴点とは人が気づきを持った対象となる3DCADモデルにおけるx,y,z座標である。他者からどのようなことに人はどのような判断をしているかを見える化する方法である。それには、あらゆる対象がその特徴点記述の対象となりえる。そこで、特徴点の対象を点、線、面、部位など形状だけでなく対象を区分する言葉を選択する方法を採用している。これによりx,y,z座標と区分をセットにした単位を比較対象の単位と定義する。
 比較した結果を共有する方法は3DCADモデルのひとつの特徴点に対して、複数の組織がその知識を記述できることと、標準の知識と実際の設計の比較した技術判断の結果を保留点、問題点、承認点などの区分を登録することで、エンジニアがどのような判断をしているかを他者やマネージャに見える化する方法を保有している。エンジニアは知識がないことは判断ができない。
 従って、知識がないことは保留点とされる。知識があることは問題点か承認点のいずれかに判断される。判断に使われた知識は知識管理システムで記述できるので、知識があることと無いこと、技術判断の区分にマネージャは着目し、製品開発のマネージメントに活用することや、技術の進展をリードすることができるのである。

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