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知識の記録方式 (96) 設計者のジレンマ

組立工程の視点から製品設計者が直面するジレンマをお話し致します。

 組立工程というものは、複数の部品から構成される製品を組立する工程もしくはは生産ラインを想像して下さい。

 子供達が校外学習で自動車の組立ラインの見学が行われているので、その生産ラインを思い出して見てください。

 ラインを外から観察すると、いかにも問題もなく、ものすごい速度で車が組立られているように見えると思います。

 部品を自動車に組立するには、その作業は大工さんの釘打ちを想像してください。

 釘を打つ際には肩の少し上あたりの高さの釘を打つのが一番楽な姿勢で作業ができる。

 これは自動車の組立工程での作業でも同じことです。

 しかしながら、車の中の作業や、車の床裏に組むサスペンションなどの組立作業は一番楽な姿勢で作業を行うことが難しい。

 設計者は自動車の製品構造の図面を描く時に、機能の実現以外に原価や品質、作業性など多くに生産ファクターに留意して線を描く必要があります。

 一方で、生産側にては、この解決できない作業性を設置や方法などを工夫して対策をする。

 しかし、設計でも生産側でも本質的な対策ができないことが多々あります。

 この本質的な対策ができない事について、どのくらいの満足度で双方が納得し合うかが、その企業のものづくりの到達度の高さを表すものと考えています。

 設計者は倫理観を持ち、どんなにあらゆる問題を解決したくとも解決できない問題が残るものである。

 その残問題を生産側の力で解決されているから製品が粛々と生産できているのである。

 先の組立ラインの素晴らしいものづくりは、生産側が設計者のジレンマを解決した結果である。

 このようなことを理解できない設計者にならないように人を育てることが重要と思う。

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