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知識の記録方式(46) ものづくりシステム

 ものづくりシステムを3つに分けて、その目的を紹介したい

①製品(仕事)の品質が良くなるツール
 企業は人で組織化されている。その中で生み出される製品やサービスの良し悪しは、そのプロセスを推進している仕事そのものの良否に依存している。人は能力や経験が異なり、結果もばらつくものである。組織は管理者のマネージメント手法も異なり、継続的な管理が行われていないことも多い。そのような人と組織が生み出す製品はその仕事の良し悪しが反映されているものである。そこに誰でも継続的に同じレベルの仕事が行えるツールが必要になる。

②エンジニアリングや間接部門の仕事を全体最適化するツール
 生産現場の改善とはエンジニアリング(計画力)の不備を是正し、修正するための活動であるとも言える。本来、人の仕事にはミスがつきものである。また、計画時に正しかったことは生産の条件変化、市場ニーズ変化などで正しくなくなることが世の常である。そのため、現地現物となって顕在化する問題を生産現場は必死に改善している。しかしその発生原因は、計画業務の仕事の質に問題があることが多いのである。したがって、設計や生産現場、生産計画部署などの仕事をトータルで支援する全体最適意思決定ツールが必要である。製品開発段階におけるチームの能力差は、生産活動そのものに大きな差を与えるものである。

③マニュファクチャリングの標準化の大きなPDCAツール
 仕事の順番などの手続きは標準化が進んでいる。しかし、技術的な検討を行うときの判断方法などは個人の経験に大きく依存している。管理者はこれを標準化する責任があるが、技術は常に進歩し、環境変化とともに判断指標も変化する。その結果、判断は個人の能力で行われている。これらの為に結果的に標準化が遅れている。そのために製造現場には問題が発生してしまうのである。
 製品開発段階の仕事のアウトプットに対し、その結果を表す生産現場の状況を調査、分析することで企業内に大きなPDCAが回る。それによりエンジニアリングの問題が顕在化し、標準化するこができる。
 しかし、現場の仕事は分かり難い動きをしている。分かり難いから、ベテラン経験者を海外工場に派遣し、現地工場の指導をすることから脱皮することができない。現場の仕事は原価、品質、生産性、安全などに人や設備や部品・材料が関係し、それぞれが関係し合っている。企業の縮図ともいえる。現場の実体を知り、課題を共有することができれば、それぞれの計画業務が標準化する。
 分かりにくいマニュファクチャリングの標準化にはエンジニアリングの標準化が必要である。そのためにはエンジニアリング業務と工場の管理業務は計画と結果の関係である。工場の仕事に間接部門はもっと責任を持つべきであるし、工場に任せていては、欧米の科学的アプローチに遅れしまうのである。

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