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DCFでマルチプルを極めるnote4【適正PBR編】

PBRを極める

前回までは3部作で
新概念コンバージョンレートの導入
EV/EBITDAを極める
PERを極める
という形でバリュエーションマルチプルをガリガリ掘り進めてきました。今回は完結編のPBRにいきます。かなり分量があります。PBRは奥が深いです。独自の統計やチャート、数式の解釈など盛りだくさんになっています。是非有料エリアも読んでください。かなりディープな内容になっていますので、周りの投資家に差をつけることができると思います。初見でよくわからなくても、コメントいただければ解説します。twitterでDMいただいても対応いたします。


PBRはPERにROEを掛けるだけ

まずPBRの定義はこれです。

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分子はPERの分子と同じです。ということは、PERの定義

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をつかって、

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とすることができます。PBRってのはPERとROEを掛け合わせたものなんですね。これ、伊藤レポートの序盤にしっかり明記されています。どちらもよく耳にする指標です。PBRは「解散価値」に関する指標と考えている方が多いですし必ずしも誤りではないのですが、それではフェアバリューは見つけられません。PBRが1倍切ると安いなんて大ウソです。後半で伊藤レポートについても言及するので是非ご覧ください。

ここでPERはすでにガッツリ勉強していますから、ROEを掛けるだけです。したがってここではROEについて理解を深めましょう。

ちなみに、なんとなくROEが高ければPERが高いと考えていませんか?この2つには直接の相関関係はありません。むしろ、短期的にE(利益)が下がってきた場合、PER(Price/Earnings)は上がり、ROE(Earnings/BookValue)は下がります。その結果、両者の関係は反比例のような形になります。これは3部作でも使った企業データから計算しています。

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ーーーROEって何?

ROEは株主資本に対する当期利益の比率です。「なるべく少ない株主資本でなるべく大きい利益を挙げる」企業はROEが大きくなります。

ポイントは「株主資本で」というところで、「負債はどんだけ借りてもいい」ルールだということです。負債権者にリスクを負わせて金を借りまくって利益が出る事業を買収すればROEは上がるわけです。分母の株主資本は変わりませんので。

要は、ROEは財務構成の影響をもろにうける指標だということです。借入をして自社株買いをした瞬間にROEは上昇します。しかし、将来のキャッシュフローが増えない限り企業価値は上がりません

したがって、個人的には非常に使いにくいのですが、世の中的には、2014年に登場したJPX400指数伊藤レポートのおかげかROEやPBRが非常にメジャーであることも事実です。したがってROEやPBRを理解することは文献やニュースフローに触れるうえで避けて通れません。

さっそくまずROEの分布をみてみましょう。

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赤字企業を除いているので、もう少し実態的には低い可能性がありますが、非赤字企業の平均ROEは10%です。ただし5ー7%程度の会社も大量にあります。

有料エリアには以下のコンテンツがあります。是非、バリュエーションのお供に活用ください。
ーーーデュポン3分解についての統計データ
ーーーペイアウトレシオは実は超大事?
ーーーペイアウトレシオは一定でいいのか?
ーーー成長フェーズに応じた配当政策
ーーー日本企業のペイアウトレシオはどのぐらい?
結論:PBRはPERとROEの関数
残余利益法がPBR=1の議論に終止符を打つ
ーーー残余利益の公式からPBRを導く方法
ーーーPBRと成長率の関係
ーーー【重要】PBRが1になる条件は?
最後に:伊藤レポートの功罪
---PBR1倍割れは成長性の評価が低い?
DCFでマルチプルを理解するnoteシリーズの総まとめ

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