研究レポート ”プラティニ&ジーコ PK戦突入の熱戦" 1986W杯ブラジルvsフランス 【90分動画あり】 ※結果ネタバレ

事実上の決勝戦という声も聞かれた夢のカード。

●ブラジル (1-1 pso3:4) フランス○
得点者:
17分 カレカ [BRA] Assist_Junior
40分 プラティニ [FRA] Assist_Rochetea

┃スタメン┃ 黒文字:フランス 白文字:ブラジル

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フランスは82W杯、84欧州選手権、86W杯と躍進し第二次黄金期。クラブレベルでも、プラティニ擁するユベントスや、ジレス&ティガナ擁するボルドーがチャンピオンズカップ優勝や上位進出と活躍。ブラジルのジーコは怪我の影響でベンチスタート。

【フルマッチの動画】

<FIFA公式 #WorldCupAtHome

ブラジルはペレの時代から一貫してゾーンディフェンス・4バック。18ソクラテスがボールを引き出す動きからチャンス演出を担う。2人のセンターバック+ディフェンシブハーフの、14J・セザール、4エジーニョ、19エウゾがバランスを取り(ブラジルでいうところの3番・4番・5番のトライアングル)、両サイドバックは攻撃的に上がります。17ブランコはのちのロベルト・カルロスに通ずる左サイドバックで、遠距離からフリーキックを狙うキック力が持ち味です。

フランスは、10プラティニ・12ジレスがチャンス演出を担います。互いにクラブで10番のダブルチャンスメイカー。さらに、14ティガナの飛び出しが加わる攻撃布陣。14ティガナは、これより古い時代の攻撃的リベロのバージョン違いのように、前後左右に動きまわり、ボールを引き出し、届け、前方へどんどん飛び出します。

フランスのディフェンス形態は2人のマンツーマンディフェンスに、14ティガナを3-2-1の山型の先頭としたカバー&チェックをします。バスケットやハンドボールのディフェンスに近い風合いが出ています。底に4バチストンを置いたハンドボール風・バスケット風。フロントマン4人のストピラ・ロシュトー・プラティニ・ジレスは、ブラジルの4-1の5枚にズレながら対応。後方のディフェンス陣もズレながら対応。

攻撃のビルドアップの可変だけに焦点を当てれば、広島・浦和・札幌を指揮するミシャ式の3-2(3バック+ダブルボランチ)と風合いは近い。2アモロスがより攻撃的にオーバーラップを狙います。

┃21分以降 ?┃

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ブラジルが17分に先制。フランスは21分ごろから、2アモロスを右端に移す等、配置および役割変更をします。高さ勝負では6ボシス、9フェルナンデス、4バチストンを、足元のフットワーク勝負であれば8テュソー、2アモロス、14ティガナをといった感じで受け渡し、概ね対峙することが多いのは、7ミューレルに対し8テュソー、9カレカに対し6ボシス。(7ミューレルの外と中の開きに合わせて、8テュソーと9フェルナンデスが外中の出入りを変えているように見えます。)

┃71分以降┃

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1-1の71分、ブラジルは7ミューレルを下げ10ジーコを投入。72分台には、ボール奪取した17ブランコが上がっていき、10ジーコのパスを受けるとペナルティエリアで倒されPKを得ます。ブラジルは絶好のチャンスを得ますが、PKキッカーとなったジーコのシュートを、フランスのGKバツがストップします。

その後、フランスがチャンスメイカーの11フェレーリ、ドリブラーの16ベロンを投入するも1-1のまま試合は動かずPK戦へ。歴史に語り継がれる名勝負となった熱戦はフランスが制しました。

┃補足(選手特徴)┃
FKCKキッカー: 12ジレス ほか (FRA) 17ブランコ、6ジュニオール、18ソクラテス
左利き: 8テュソー、16ベロン (FRA) 17ブランコ (BRA)
毛量多め: 18ロシュトー、10プラティニ (FRA) 18ソクラテス (BRA)

┃スカッド (所属/年齢/キャップ数)┃
<フランス>
19 ストピラ (Toulouse/25/cap16)
18 ロシュトー (PSG/31/cap45)
12 ジレス (Bordeaux/33/cap41)
10 プラティニ (Juventus/30/cap63)
14 ティガナ (Bordeaux/30/cap40)
9 フェルナンデス (PSG/26/cap28)
3 アヤシュ (Nantes/25/cap9)
4 バチストン (SE/Bordeaux/29/cap42)
6 ボシス (Nantes/RCP/30/cap69)
2 アモロス (Monaco/24/cap32)
1 バツ (Auxerre/PSG/29/cap23)
8 テュソー (Nantes/Bordeaux/28/cap18)
17 パパン (VAFC/C.Brugge/22/cap1)

<ブラジル>
監督: テレ・サンタナ ※2大会連続
9 カレカ (Guarani/SPFC/25/cap28)
7 ミューレル (SPFC/20/cap7)
18 ソクラテス (Corinthians/Fiorentina/Flamengo/32/cap55)
6 ジュニオール (Flamengo/Torino/31/cap56)
15 アレモン (Botafogo/24/cap14)
19 エウゾ (CAM/25/cap6)
13 ジョジマール (Botafogo/24/cap0)
14 J.セザール (Guarani/23/cap1)
4 エジーニョ (Udinese/30/cap40)
17 ブランコ (Fluminense/22/cap9)
Zico (Flamengo/33/cap68)
Falcao (Roma/SPFC/32/cap26)


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