研究レポート ”オシムジャパン フレンドリーマッチ" 2007.6.1 【90分動画あり】 ※結果ネタバレ

2007年6月1日に静岡エコパスタジアムで行われた日本代表vsモンテネグロのカード。当時の日本代表はいわゆるオシムジャパン。3月以来の2007年2試合目の代表戦。

○日本 (2-0) モンテネグロ●
得点者:
23分 中澤 [JPN] アシスト遠藤
38分 高原 [JPN] アシスト駒野

┃フルマッチの動画┃ 

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┃スタメン┃ 

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モンテネグロは10番が当時レッドスターでも10番だったといわれる期待のブルザノビッチ。

日本代表は、浦和の闘莉王とガンバ大阪の加地がケガで招集外、川口能活と中村俊輔がこの試合はベンチ外となった。

モンテネグロのフォーメーションは、4-1-2-3の底のデフェンシブハーフを省き、サイドのレーンに置いているようなイメージ(4-2-3 &No8)。そのサイドに置かれているモンテネグロの8番は、対面の駒野と互いに上下動を繰り返している。

モンテネグロのフォーメーション訂正。4-3-3。FWに左から8番・20番・11番。センターハーフに左から10番・14番・15番。守備時には、8番が10番の後方カバー、15番が11番の後方カバー。20番の後方スペースに14番が詰めに行くことがあれば、15番が後方カバー。4バックはかなりディフェンシブでめったに上がってこない(ジワジワ攻める機会が少ないため上がれない)。

一方の日本もハイブリッド。3バックと4バックのどちらとも言い難いセットポジションをとっている。3-2-3に山岸と駒野の2枚のフランカーを加えたようなセットポジションおよびモーションを行っているように見える。(オシムはサイドの選手をフランクスという言い方をしていた。

この3バックとも4バックとも言い難いやり方で思い返せるチームとして、2018年のワールドカップのベルギー代表で、フランス戦でそういうようなやり方が見えた。

ペレの時代のブラジルの4-2-4が2折り目のダブル6で、WMフォーメーションの5-5分業制を負かしたものに通ずるものであれば、5のセットアップに1(2)が加わるフォーメーション。

考察の訂正として、この試合における日本代表は全員が右利きであること。そこから出る変則性の4-4-2。駒野に大きくスペースを持たせるための遠藤のフリーポジション。相手守備から利き足の阻害を小さくした前向きの状態のつくり、高精度のクロスの供給。守備においては1枚多い状態のマンツーマン基調。

遠藤が3-2-1山型のてっぺんに来たときには、センターラインの抜けに6vs5の数的優位性が起こる。遠藤がモンテネグロの3番側に出てきたときには全体が同数。同数ならば、よりボールorボールのラインに引いて・寄ってカバー体制を取る感じ。

守備はマンツーマン基調で、10番ブルザノビッチには鈴木啓太、8番には駒野、20番と11番には、阿部・坪井・中澤の3vs2の対峙関係が多い。あとは遠藤のセットとモンテネグロの3番の上がりによって、日本側のゴール前の数的同数か数的優位かが変わるような感じ。

攻撃の部分では、山岸が対面の4番を下げることが出来れば、モンテネグロの最終ラインの立ち位置・視点・重心も変わり、駒野が位置差の攻撃参加で、モンテネグロの3番の前や脇のスペースを取る攻撃を狙える、そんな狙いでしょうか。

特に2ndハーフだと思いますが、ボールの供給口や受け手に高原・遠藤・中村憲剛が絡む回数が増えたときにチャンスになったり、安定性が出ています。

遠藤がボール保持したときには、中村憲剛と鈴木啓太が前方へ動くモーションを多く行っています。、主にモンテネグロのボランチ14番・15番において、守備姿勢の準備に不具合を生じさせているといえるでしょう。山岸&駒野の前方への動き方もそうですが、同時にというよりは順番に時間差で動いています。

┃46分〜┃ 

モンテネグロは2人の選手交代。11番OUT、7番IN。15番OUT、18番IN。前半とほぼ同じ感じで、ブルザノビッチが右に回りました。18番はそのままボランチに。日本のほうも大体やり方は同じで、7番に鈴木啓太がつくような形。この7番には、中澤が対峙して置いていかれるようなピンチシーンがありました。

┃54分〜┃ 

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モンテネグロの7番対応の修正なのか、日本は7番に坪井、8番に駒野、20番に中澤、10番ブルザノビッチに鈴木啓太がつくようなやり方にしました。遠藤が先頭にいる7vs6か、6vs6のようなイメージ。

┃63分〜┃ 

互いに1人選手交代。モンテネグロは8番OUT、9番IN。7番と10番をサイドに、9番と20番の大型のセンターフォワードに。日本は山岸OUT、佐藤寿人IN。そのまま同じポジションに入りました。マークに変更があり、鈴木啓太を10番のマーク。

┃71分〜┃ 

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日本は69分に高原OUT、水野IN。駒野を左サイドに。相手を受け止めるような7vs6、6vs6のマンツーマン基調でしょうか。

┃75分〜┃ 

おそらくベンチからの指示が阿部に出て、左から阿部・坪井・中澤の並びに変わります。狙いは守備対応のほうか、9番20番を複数人で消し、坪井の速さを全体に対し補う形。

┃81分〜┃ 

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日本は80分に遠藤OUT、今野IN。81分に矢野OUT、巻IN。前半のやり方の左右反転ver。阿部が左サイドを上がってのチャンスシーンも出ました。

89分には中村OUT、藤本IN。鈴木OUT、橋本IN。
追加タイムもほぼなく試合終了となり2-0で勝利となりました。

┃招集メンバー (所属/年齢/キャップ数)┃

矢野貴章 (新潟/23/cap1)
高原直泰 (E.Frankfurt/27/cap45)
山岸智 (千葉/24/cap3)
遠藤保仁 (ガ大阪/27/cap45)
中村憲剛 (川崎/26/cap4)
鈴木啓太 (浦和/25/cap8)
駒野友一 (広島/25/cap16)
中澤佑二 (横浜Fマ/29/cap54)
坪井慶介 (浦和/27/cap39)
阿部勇樹 (千葉/浦和/25/cap14)
楢崎正剛 (名古屋/31/cap50)
佐藤寿人 (広島/25/cap12)
水野晃樹 (千葉/21/cap1)
今野泰幸 (FC東京/24/cap6)
巻誠一郎 (千葉/26/cap18)
橋本英郎 (ガ大阪/28/cap0)
藤本淳吾 (清水/23/cap1)
川口能活 (磐田/31/cap99)
川島永嗣 (名古屋/川崎/24/cap0)
中田浩二 (Basel/27/cap56)
稲本潤一 (Galatasaray/E.Frankfurt/27/cap65)
羽生直剛 (千葉/27/cap6)
家長昭博 (ガ大阪/21/cap1)
播戸竜二 (ガ大阪/27/cap2)
中村俊輔 (Celtic/28/cap64)
本田圭佑 (名古屋/21/cap0)
水本裕貴 (千葉/21/cap2)

ワールドユースU20 2003大会メンバー <川島・今野・山岸>
トゥーロンU21 2005大会メンバー <藤本・矢野>
ワールドユースU20 2005大会メンバー <水本・本田・家長・水野>

┃モンテネグロ戦 スコアノート┃

09:15 山岸のシュート
19:50 山岸のシュート
22:40 中澤のゴール
37:25 高原のゴール
40:45 山岸のシュート
52:10 遠藤のシュート
53:10 中村憲剛のシュート
60:10 駒野のシュート
63分 [JPN] 山岸OUT 佐藤寿人IN
63分 [MON] No8OUT No9IN
66:10 日本のファウル PK判定
73:20 ベンチと阿部で指示のやりとり
76:40 中村憲剛のシュート
80分 遠藤OUT 今野IN
81分 矢野OUT 巻IN
85:20 日本のチャンスシーン
86:30 巻のシュート
86:55 日本のチャンスシーン
89分 鈴木OUT 橋本IN
89分 中村憲剛OUT 藤本IN


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