前触れもなく
何の前触れもなく、自ら命を絶ってしまう人がいる。
前日まで普通だったのにとか、周りは何も出来ず、突然のことにショックを受けて、ずっと後悔の念に押される人もいるだろう。
僕の場合の話だが、勝負をかけた舞台での主演による陰湿ないじめ、ブラックバイトでの過労、人間関係の悪化で
精神状態がおかしくなり演劇を続行出来なかった。
また一からやり直してやる!という気概ともう無理だ、ここから一からやり直すなんて、命を賭けて挑戦したのに、という絶望を行ったり来たりを繰り返して
そんな僕を心配して大学時代の同級生が励まそうと飲み会を開いてくれた。
しかし彼らは僕の話をあまり深くは聞いてくれなかったと思う。
「元気出せ、そんなんで落ち込んでんじゃねーよ」
「私だって辛いことあるよ!頑張ろう!」
そんな金曜の夜に久しぶりの仲間同士での飲み会でなら許されるような激励は、
死にたいという感情が芽生えてしまった人には逆効果だ。
そんなこと?俺にとってはそんなことじゃないのに。
私だって辛い?その辛いはあなたのもので僕が抱える辛さと比較しないでくれ。
頑張れ?頑張った結果がこれでこれ以上頑張れっていうのか。
適当にやり過ごした帰り道、僕はふとこう思った。
「よし、明日死ぬか」
結局、僕は今も生きてるし、その時の僕の死にたいが亡くなった方々の辛さとは比較にならないもので、同列に語ってはいけないのでは無いかと思うが。
ただ、死にたい止まりだった思考が
こうもあっさりと死のうという実行思考に変わるなんて、今となっては恐怖でしか無い。
もし目の前に死にたいという人がいた時、自分だったらなんて声を掛けられるだろうか。
死にたい彼の話を最後まで聞いたとして、僕に何が出来るのか。
ふと昨夜考えていたのです。
もし、一言語りかけるなら
「辛かったと思う。けれど私はあなたに生きていて欲しい。これは私個人の願望で押し付けるつもりはない。でもあなたのいるこの世界で私は生きていきたい。」
こんな言葉ぐらいしか思い付かない自分が情けない。
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