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クリード 過去の逆襲 「ロッキー」スピンオフシリーズ完結編

あらすじ

ロッキーの魂を引き継ぎ、ボクシングのヘビーウェイト世界チャンピオンとなったアドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)は、無敵のまま引退した。
アドニスは、古巣のデル・ファイ・ジムの会長としてデュークの息子でトレーナーのトニー(ウッド・ハリス)と共に前途有望なフェリックスをチャンピオンに育てながら、愛妻ビアンカ(テッサ・トンプソン)や愛娘アマーラ(ミラ・ケント)と平穏な暮らしをしていた。
そんなアドニスの前に、刑務所帰りの幼馴染デイム(ジョナサン・メジャース)が現れる。
実はアドニスには、家族同然の仲間を宿敵に変える誰にも言えない過去の過ちがあったのだ。
幼馴染のデイムに対する負い目もあり、「チャンピオンのタイトルに挑戦したい」というデイムを、自分のジムに迎え入れるアドニスだが、ラフプレイを辞さないデイムがヘビーウェイト・タイトル戦でフェリックスを容赦なく破壊してしまい、さすがにデイムにジムを去るように言う。
アドニスが封印したその過ちによって、18年のムショ暮らしを余儀なくされたデイムは、「お前が俺の人生を奪った。何もかもブッ壊してやる」と復讐の狼煙を上げる。手段を選ばず、暴走を始めるデイム。
最愛の妻ビアンカから「あなたが止めるのよ」と激励を受けたアドニスは、過去の過ちに決着をつけることを決意し、最強の敵との戦いに向けて猛烈なトレーニングを開始する。
スパーリングパートナーを務めるのは、かつての宿敵ドラゴの息子ヴィクター(フロリアン・ムンテアヌ)だ。
猛烈な“クリード”コールが巻き起こる超満員のLAスタジアム特設リング。
だが、デイムの情け容赦ないパンチがアドニスのボディに食い込む。雄叫びを上げるアドニスと、復讐の鬼と化したデイム。
互いに一歩も譲らぬパンチの応酬が続く中、アドニスは過去を断ち切り、復讐を誓う最強の敵から未来を勝ち取ることが出来るのか……?
「ロッキー」のスピンオフとしてスタートしたボクシング映画「クリード」シリーズ第3弾にして完結編。

感想など

今回「クリード3」については、事前に悪いニュースをいろいろ聞いて不安があった。
まず、アドニスの師匠ロッキーを演じたシルベスター・スタローンが、まったく登場しない。
それは、アドニスを演じるマイケル・B・ジョーダンが、アドニスが封印した暗い過去を通じたダークな面を強調したストーリーにしたいという主張に対してスタローンが反対し、マイケル・B・ジョーダンや脚本家がロッキーがアドニスから離れた後の話などをストーリーから除いてしまった為。
そのせいでスタローンとマイケル・B・ジョーダンが、決裂してしまった。
もうひとつは、デイムを演じたジョナサン・メジャーズが、彼女に暴力を振るった為に逮捕されてしまい、デイムの暴力的なキャラクターが現実と地続きに見えてしまい、悪いイメージを与えてしまった。
アドニスが封印する悪い過去が、アドニスが築き上げた名声や家族を脅かす展開は、「ロッキー3」でロッキーが野生児クラバーに挑戦され自らが築いてきた名声や家族を脅かされる展開に黒人社会を蝕む差別や格差の闇を絡めたアレンジになっていて、闇が深い。
また、アーティストとしてグラミー賞を目指していたビアンカは、歌手活動より楽曲提供がメインになり現実の壁にぶつかり、聾唖の娘のアマーラも学校でいじめられていて、黒人社会の闇が影を差しているのが、「ロッキー」第1作に匹敵する世知辛さがある。
だからこそアドニスが、目を背けて封印してきた過去とデイムとの戦いの中で向き合って昇華する苦闘が、試合の中で「ゾーン」に入り周りにレフェリーも客もいなくなってアドニスとデイムが拳をぶつけ合う音楽がない男の意地がぶつかり合うボクシングシーンに余計に胸熱。
ロッキーとアドニスの師弟関係などを絡めて欲しかった物足りなさはあるものの、「ロッキー」「クリード」シリーズに新基軸を加えた新鮮味がある完結編。
プライムビデオなどで配信中。

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