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映画 夜空はいつも最高密度の青空だ

あらすじ

現代の東京。看護師として病院に勤務する傍ら、夜はガールズバーで働き、言葉にできない不安や孤独を抱えながらも誰かに甘えることもせず日々をやり過ごす美香(石橋静河)。
一方、工事現場で日雇いの仕事をしながら死の気配を常に感じ、どこかに希望を見出そうとひたむきに生きる青年・慎二(池松壮亮)。
そんな二人は、人身事故で山手線が止まった夜の渋谷で偶然に出会う。絶望と希望のはざまで、二人は少しずつ前へ進もうとするのだが……。
気鋭の詩人・最果タヒの同名詩集の映画化。

感想など

片目が失明しかけていて不安定な暮らしに不安を感じながら日雇い労働を続けている慎二と母親が自殺したことがトラウマになり全てがむなしく思えている美香など、格差社会や震災など不安定な閉塞感に満ちた社会に生きる若者の、愛情も絆も全てのものが煙草の煙のように儚いとしても、求めずにいられない青春模様を通して、最果タヒの詩の寂寥感や儚さや刹那的なキラキラしたものを表現した新しいタイプの青春映画になっています。
絆や愛情を信じられないけど信じたい慎二と美香が、不器用にぶつかり合いながら惹かれ合う恋愛模様の中で、やがて来る別れや死に絶望しながらも全てが永遠でないからこそ平凡な瞬間をありふれたことやものを大事にすること、終わりを恐れていないで一歩踏み出して「良いことが起こるかもしれない」という儚い希望を支えに死ぬまで生きていくことの大事さが伝わる傑作青春映画でした。
池松壮亮や松田龍平や田中哲司の演技はもちろん、誰よりも絆や愛情を欲しがっているのに遠ざけてしまう美香の不器用な人間性や愛すべき面も演じ切った石橋静河の等身大な存在感とリアルな演技が、印象的。
「恋愛って意味あるのかな?いつか捨てられるのに」
「意味があるかはわからないけど、ドキドキする気持ちは止められない」
U-NEXTやNetflixなどで、配信中。

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