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ファーザー 祝アンソニー・ホプキンス史上最高齢アカデミー賞主演男優賞受賞

あらすじ

ロンドン。独り暮らしを送る81歳のアンソニー(アンソニー・ホプキンス)は、認知症によって記憶が薄れ始めていたが、娘のアン(オリヴィア・コールマン)が手配する介護人を拒否していた。そんなある日、アンが新しい恋人ポール(ルーファス・シーウェル)とパリで暮らすと知ったアンソニーはショックを受ける。
ところが、アンと結婚して10年以上になると語る見知らぬ男がアンソニーの自宅に突然現れ、ここが自分とアンの家だと主張するのだった。
アンソニーにはもうひとつ気がかりなことがあった。もう一人の娘、最愛のルーシーはどこに消えたのか。
現実と幻想の境界が崩れていくなか、やがてアンソニーはある“真実”にたどり着く……。
世界30カ国以上で上演された舞台をアンソニー・ホプキンス&オリヴィア・コールマン共演で映画化。 
本年度アカデミー賞®で作品賞をはじめ計6部門にノミネートされ、主演男優賞(アンソニー・ホプキンス)と脚色賞(クリストファー・ハンプトン、フロリアン・ゼレール)の2部門を受賞。 
 現在83歳のアンソニー・ホプキンスは、史上最高齢でアカデミー賞主演男優賞を獲得、『羊たちの沈黙』(91)のハンニバル・レクター博士役から29年ぶりの快挙となった。 クリストファー・ハンプトンは、『危険な関係』(88)での脚色賞受賞から33年ぶり2度目の受賞。フロリアン・ゼレールは初めての脚色賞受賞となった。

感想

認知症が進行していた父アンソニーを、心配した娘アンは父アンソニーの面倒をみてくれる介助人を探していたが、なかなか上手くいかない。
認知症が進行していく中で、大事な時計を盗まれないように洗面所の棚に隠すがそのことを忘れたり、娘アンが別の女性と間違えたり、自分がどこにいるのか分からなくなっていく認知症の症状を、アンソニー・ホプキンスが時に激昂したり娘や客に愛想を振り撒いたり子供のように泣いたり、焦点が合わない目線や繊細な表情など過去最高の演技で表現している。
サー・ホプキンスの最高の演技を受けて立つオリヴィア・コールの抑えめの演技も、インテリアなどの些細な変化や時系列の絶妙なミックスやシャッフルにより時間や場所や周りの人達の顔が分からなくなる見当識障害などに徐々に蝕まれるアンソニーの衰えがサスペンスフルに描いていて、認知症をヒューマンサスペンスの形で見事に描く傑作映画。

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