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ITストラテジストが語る最強のES:学生時代に頑張った事(2)

今回は、学生時代に頑張ったことで院生が書きがちな、研究活動についてです。学生の本分は勉強だと思いますので、それを否定するつもりは毛頭ありませんし、現在実際に大多数の院生が最も多くの時間を費やしているのは研究だと思います。しかしこの欄はまず、学部時代も含めて、学生時代に頑張ったサークル活動、アルバイト活動からアピールできる内容はないかをまず考える事を強くお勧めします。

其の弐「ガクチカは出来れば研究以外のエピソードで!」

それはなぜかと言うと、エントリーシートは自分をPRする資料だからです。相手に自分を知ってもらう、という前提に立ち返ったとき「学業で取り組んだこと」でも触れているであろう研究活動のエピソードばかり話しても、ご自身の魅力・良さを示す根拠が偏ってしまい、伝わりずらいと理解してもらえればと思います。今一度、大学生活をキチンと振り返ってみてください。現在就活をするまでに過ごした期間でいえば、圧倒的に学部時代のほうが長いのです。その為、ガクチカは研究以外で考えるのが鉄則です。さらに言えば、学生時代に頑張った事でも研究内容をかぶせてくるという事は、「この学生は研究以外に注力したものがないんだな」という評価にも繋がりかねません。これまでに過ごしてきた環境・交友関係・視野が狭い閉鎖的な印象を与えかねないのです。

もっとも、GPAが非常に高く成績優秀者として表彰されたとか、学会発表で大きな賞を取ったとか、客観的に高い評価を受けた実績があるのであれば、その内容をメインにひたむきに努力できる・目標に向けて粘り強く取り組める等とアピールできるので、問題ないと思います。しかしながら、実際にESを拝見していて多い内容は「研究室で誰も取り組んでいないテーマで、教授や先輩にもあまり頼れない中で毎日昼夜研究に打ち込んだ」「院進して研究室が変わり、自身がこれまでに勉強した事のない領域の研究に取り組んだ為、論文をひたすら読みまた教授や先輩のアドバイスをもらって毎日昼夜研究に打ち込んだ」という位のレベルの内容が圧倒的に多いです。逆に言えば、この位の環境下で研究に取り組む事は、他の学生と大きな差にはなっておらず、大したアピールに繋がらないと考えてください。

そうはいってもワシには研究しかないんじゃ。。。」という方の為に、目に見える大きな成果ではないが、昼夜研究に取り組んだ事をアピールする内容で、例文を1つご紹介したいと思います。

【ありがち】私は研究活動に打ち込んだ。生育に時間のかかる植物を扱っている為、実験のできる段階までの成長に時間がかかり実験回数が限られていたことや、研究室では今まで取り扱ったことのない領域であった為、教授を含め研究室に詳しいメンバーがおらず、研究活動は困難の連続だった。しかし、入念に計画を立てて実験準備を行う事で、限られた時間の中でも最大限の成果が発揮できるように準備したり、研究が上手く進まない際は、同じ研究室のメンバーだけでなく、類似の研究を行っている他学科の研究室の先生や友人にアドバイスを貰い、時には実験に関連する化学メーカーの方にも問い合わせて知識を身に付けることで、現象の理解に努めた。その結果、学会での発表では担当教授に褒めていただけるような発表をすることができた。これらの経験から、未知の領域に関しても粘り強く努力をし続けたり、工夫をして物事に取り組む大切さを学んだ。(386文字)

【改善例】私は研究活動に打ち込んだ。シロガラシという生育に約1か月間を要する植物を対象とした為、限られた実験回数での成果が求められた。また研究内容はニッチな分野であり、研究室に知見者がいなかった為、能動的に動き知識を身に付けていく必要があった。私はこの課題に対し、研究室のリソースや対象植物の特性から実施可能な実験回数を求め、学会発表から逆算して入念な計画を立てて取り組み、また海外の論文を含め40本の先行・類似研究を精読し、他の研究室や実験に関連する化学メーカーの方にもアドバイスをいただき知識を身に付け、昼夜研究に取り組んだ。そうして9ヶ月間、週40h程度の研究活動を重ねた結果、目標の実験成果を納める事ができ日本植物学会での100名規模の口頭発表おいて担当教授等から高い評価を受ける事が出来た。社会人になっても、様々な目標に粘り強く挑戦し、また工夫をして目標達成に向けて取り組んで行きたい。(394文字)

いかがでしょうか。内容を具体化したり、数字を絡める事で、どれくらいの内容に取り組んだかが見え易くなったのではと思います。前回と同様に、定性的な言葉の評価は人それぞれなので、定量的に評価できる項目を各所に入れることで、相手から質問を受けなくても(書類選考や各面接選考の前段階から)どれだけこの活動に注力したかを相手に伝えることが可能となるのです。どんな人でも面接は緊張するものです。何度練習をしても、面接で100%自分が取り組んだことを伝えるのは容易ではありません。一方で、ESはじっくりと時間を掛けて自分が取り組んだことをしっかり記載して伝えられる、非常に大切なPR資料です。この様な形で分かり易く評価されやすい内容を積極的に盛り込んでみてはいかがでしょうか。

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