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黒澤明監督の映画を観る

録画していた黒澤明監督の作品を、夫とひとつずつ観ています。

これまで観たのは、『乱』と『用心棒』と『椿三十郎』。
それから監督は小泉堯史氏ですが、黒澤明脚本の『雨あがる』も。
先月と今月にNHKのBSチャンネルで黒澤作品をたくさん放送してくれていたので、撮り溜めできてホクホクとしています。

美意識を感じる構図と衣裳のうつくしさも相まって、これもまたひとつの芸術だなあと思ったのは『乱』ですが、すきだなあと思ったのは『椿三十郎』です。
含蓄ある台詞が多く、しかもそれらは普遍的です。
威圧感という迫力で他を圧倒するのではなく、おっとりと穏やかでありながらも肝がすわっていて、そこにある種の存在感が漂っている城代家老の奥方が、私の理想だなあと思いました。
ところどころでクスッと笑える場面があるのも、うれしいポイントです。
押入れのシーンと、三十郎が将棋盤(囲碁盤かな)のうえに胡座をかいて9人に説教する場面が、とくにすきです。

『雨あがる』を観たのは今回で二度目でしたが、伊兵衛さんが同宿の貧しい旅人たちにご馳走をふるまう場面が非常にすきです。
ご馳走をみんなで囲んで、飲めや歌えの笑い声のたえない一夜。貧しき人々にとっては、夢のような一夜。
わだかまりを抱えた者同士も、決して気を許しあったわけじゃないけれど、同じ釜の飯を食べて、互いの存在を赦し合う。
人間の営みとはなにか。支え合い、思いやりを渡しあうとはどういうことなのか。ふと、考えるきっかけになります。
やさしさを忘れてしまいそうになったとき、またこの映画を観ようと思います。
山本周五郎氏の原作のほうも読んでみたいです。

録画しているもので未視聴なのは、『生きる』と『七人の侍』、『隠し砦の三悪人』、それから『蜘蛛巣城』。

それにしても、『乱』や『蜘蛛巣城』など、黒澤監督がシェイクスピアの作品を題材にした映画を撮っているとは知りませんでした。
シェイクスピアの四大悲劇すきなので、『マクベス』をもとにして撮られたという『蜘蛛巣城』を観るのが今からとても楽しみです。