ななしのクマ

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最近の記事

物語を愛するということ

おなじタイトルおなじ装丁の本は、日本中に何冊もあるけれど、私が愛するのは、この「私の手元にあるたった一冊」の本が紡いでくれる物語だけなのだ。 そんなことを思いながら、江藤淳氏の『なつかしい本の話』を読んでいます。 おなじ本でも、その持ち主によって、本の佇まいはそれぞれ変わるものだと思います。 本の内容とおなじくらい、姿カタチとしての本が醸しだす佇まいそのものを愛する江藤氏のこころに、私は深い共感をもちました。 私のすきな本の一冊に、野呂邦暢氏の『愛についてのデッサン』が

    • 我が家の山菜まつり2024

      こんかいの投稿は写真が多めです。 私はPCを持っていなくてスマホで投稿しているので、PCから読んでくださる場合、写真がどーん!と出てきてしまうかもしれません…。 写真がおおきすぎてビックリさせてしまったら、ごめんなさい。 *** 今年もやってきました。 我が家の山菜まつり。 実家からとどく春のたより。 母が毎年、地元の産直で山菜を買って送ってくれるのです。 段ボールにギュウギュウに詰まった荷物。 いくつになっても、胸がキュッとなるものです。 「今年もおいしくいただい

      • 映画館で演劇をたのしむ時間「ゲキ×シネ」

        じぶんのなかの、はげしい感情の流れを堰き止めている分厚い壁に、穴をあけてくれる大砲をもっていたいなあと思います。 私をたすけてくれる大砲の大玉はたくさんあるけれど、きょうは映画について。 すこし前のことになってしまうのですが、劇団☆新感線の『ゲキ×シネ 天號星』を観てきました。 「ゲキ×シネ」では、劇団☆新感線の演劇を、映画館の期間限定上映でたのしむことができます。 生の舞台には敵わない部分がほとんどかもしれませんが、私は毎年とてもすてきな時間を過ごしています。 映画館

        • 百均のステンレス皿で食べる朝ごはんと夜のおつまみ

          朝はチーズハムカツを食べました。 ハムは4枚。 あいだにチーズを挟んで。 小麦粉はたいて、卵つけて、パン粉まぶして。 熱々にした油のなかへ。 網の上に、カラッときつね色に揚がった姿が並ぶのを見ていると、とてもウキウキした気分になります。 ちぎったサニーレタスのうえに、千切りした春キャベツをどっさり乗せて。 きょうは野菜もドレッシングではなくて、ソースをたっぷりかけちゃう。 そしてビール…!といきたいところだけれど、朝なので、パンとコーヒーできちんとしましょう。 ステ

        物語を愛するということ

          おたがいが心地よく暮らせますように

          noteのホームとアイコンを、春の思い出に模様替えしました。 これからも、どうぞよろしくお願いいたします。 *** たのしかった美術館の思い出に、荒井良二さんのカードポスターを貼りました。 ソファの大きさの割に絵がちいさいけれど、自己満足だからいいのです。 IDEEで購入した柚木沙弥郎さんデザインのクッションカバー(大奮発したのです!)がきいろなので、きいろがたくさん使われたポスターがいいかなあ…と思ってこちらをお迎えしました。 あさ起きて、カーテンをあけるときにか

          おたがいが心地よく暮らせますように

          昼呑みも夜呑みもたのしむ休日

          休日です。 寝穢い私は、午前中いっぱいを惰眠をむさぼることに費やし、のそのそと起きたあとは、夫とふたり家でダラダラと過ごしました。 きょうは昼も夜も呑むぞ!という気分だったので、メニューもガッツリめです。 おひるごはんは、町中華風ふたたび。 あれ…?また麻婆豆腐…? そうなのです。 白和え用にお豆腐を買っていたのですが、どうしてもやる気が起こらず。 「白和えつくるぞ!」と思ったやる気を、スーパーからの帰り道に落っことしてきてしまいました…。 賞味期限もギリギリだった

          昼呑みも夜呑みもたのしむ休日

          キラキラがギュッと凝縮されて、宝石になりました

          こころにおおきな虹を架けて、帰ってきました。 夫と刈谷市美術館で開催中の荒井良二さんの展覧会『new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった』へ行ってきました。 展示室に足を踏み入れたとたんに、まるで目のなかにキラキラ星が流れこんできたのではないかと思ってしまうような、そんなキラメキが広がります。 「これも観たい!あそこも観たい!」とテンションが上がりすぎて、しばらくの間ソワソワしてしまいました。 「絵本もつくる人」としても有名な荒井良二さん

          キラキラがギュッと凝縮されて、宝石になりました

          『Joy of Sewing』(洋裁本)を見ながら縫っているワンピース。 アクセサリーが映えるよう、共布のくるみボタンをつけることにしました。 試し置きなので、ボタンの位置がずれてしまっているけれど、か、かわいい…! ヴィンテージのシルバーやターコイズリングをあわせたいなあ…。

          『Joy of Sewing』(洋裁本)を見ながら縫っているワンピース。 アクセサリーが映えるよう、共布のくるみボタンをつけることにしました。 試し置きなので、ボタンの位置がずれてしまっているけれど、か、かわいい…! ヴィンテージのシルバーやターコイズリングをあわせたいなあ…。

          すきなことが日々のたすけになりますように

          舞城王太郎氏のこの小説を、とてもたいせつに思っています。 我が家は転勤族なのですが、私は転勤や引越しなど、環境がおおきく変わるものとの相性があまりよくありません。 もともとがインドアの人間なのに、夫の転勤で見知らぬ土地に引越す回数が増えるにしたがって、ますますひとりの外出が苦手になってきているような気がします。 三年ごとに変わる住まいと地域。 地元を離れるとき、周囲に「観光気分で住むのをたのしむよ〜」とは言ったものの、そのときの私ももう30代半ばにさしかかる年齢。 仕事

          すきなことが日々のたすけになりますように

          本と私の信頼関係の結びかた

          「暮らしのなかに本の存在がたえずある」、そんな生活にあこがれています。 本を読む(読み終える)ことが中心目的なのではなく、その本を読んだあとの、その後の本との関係をたいせつにしたいなあと思うのです。 日常のふとしたときに、こころにのこった一文や短歌を反芻してみたり、心地よいと感じた文体を思いだしてみたり、お守り本の佇まいを恋しく思ったりして、また本棚からその本を取りだして読んでみる。 生活のなかに、もっと言うならば私のからだのなかに、溶けこむようにして存在している、お守

          本と私の信頼関係の結びかた

          おうちでダラダラと町中華風に食べたい気分だったので

          きょうの夜は、思いっきり呑み食べしたい気分でした。 おかずをたくさんつくって、冷えたビールをぐいっと飲んで、夫とふたりテレビを見ながら一時間以上かけてダラダラと(このダラダラと、というのがポイントなのです)ごはんを食べるんだ!と、そう意気込んで開けてみた冷蔵庫。 そこには、発泡酒とレモンサワーが一本ずつ。 うーん…発泡酒ももちろんおいしいけれど、今夜はすこし贅沢したい気分です。 なので、ビールを買いに、いそいそとスーパーへ。 晴れ風と迷いましたが、おうちで町中華気分なら、

          おうちでダラダラと町中華風に食べたい気分だったので

          逆立つこころをなだめてくれた本屋さんと写真集のこと

          汗ばむような陽気。 だけど、風は涼やかで、なんという心地のよい一日。 それなのに、私のこころはヤマアラシ。 こんなときが、たまにあります。 敵意を向けられたわけではないのに、妙にガードがかたくなってしまったり、ひとと関わるのがこわいと思ってしまうとき。ひととうまく話せなくなって、失敗しちゃったな…と落ち込むとき。ひとり感じるヨソモノ感。 そんなときは、かたい毛を逆立てて、誰のことも寄せつけたくないと思ってしまうのです。 そんなじぶんに自己嫌悪なのですが、さざなみたつもの

          逆立つこころをなだめてくれた本屋さんと写真集のこと

          拝啓Vivienne Westwoodさま

          2022年の年末、Vivienne Westwoodの訃報をきいたとき、「ああ、私の青春がおわったな…」と、そう思いました。 いまもむかしも、いちばんすきなファッションブランドは?と訊かれたら、即座にVivienne Westwoodと答えます。 ヴィヴィアンのお洋服は数着しか持っていないし、ブランドのことを熟知しているわけではないのだけれど。 でも、あのオーブマーク以上に、私のこころをときめかせるブランドロゴはありません。 13歳のころからずっと、あこがれているブラン

          拝啓Vivienne Westwoodさま

          格好いい大人になりたくて

          あたたかい料理を盛りつけるお皿は事前にあたためておくこと。 お刺身はパックのまま出さず、お皿に盛りつけ直すこと。 黄色信号になったときに車のアクセルを踏み込まないこと。 夜のレストランに行くとき、セーターは着ないこと。 そんな諸々はすべて、伊丹十三氏のエッセイが教えてくれました。 どうすれば彼のような格好良い大人になれるのでしょうか…。 彼のエッセイをはじめて読んだのは20代の頃でしたが、そのとき、この人は心底格好いい大人だと惚れ惚れしてしまったことを憶えています。 ペー

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          とっておきの生地で洋服を縫う日

          外はあたたかくて、いいお天気ですが、きょうは家にこもって『アメトーーク』の古着大好き芸人を見ながら、針仕事をしていました。 古着はぜんぜん詳しくないけれど、じぶんのすきなことについて、キラキラした顔で語っているひとを見ているだけで、すごくワクワクします。 さいきんはロッチのコカドさんがすきなのですが、洋裁も上手で、こんかいの「古着大好き芸人」で紹介されていた手づくりのアロハシャツもパンツも、すごくかわいかった…! 私も春夏のワンピースやブラウスをじぶんで縫うことが多いの

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          ガトーショコラを焼いた日は

          たまに気が向いたときにだけ、ガトーショコラを焼きます。 お菓子づくりは得意じゃなくて、年に数えるくらいしかしないので、工程もシンプルな基本のガトーショコラだけを焼くことにしています。 今回は、お値引きになった無塩バターをスーパーで目ざとく見つけてきたので、つくることにしました。 すきなのは、ミルクチョコレートを湯煎で溶かす工程。 溶けたチョコレートにとろりと艶がでて、あまったるい匂いで台所がいっぱいになると、しあわせを感じます。 電動泡立て器は持っていないので、泡立て器

          ガトーショコラを焼いた日は