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キラキラがギュッと凝縮されて、宝石になりました

こころにおおきな虹を架けて、帰ってきました。

夫と刈谷市美術館で開催中の荒井良二さんの展覧会『new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった』へ行ってきました。

展示室に足を踏み入れたとたんに、まるで目のなかにキラキラ星が流れこんできたのではないかと思ってしまうような、そんなキラメキが広がります。
「これも観たい!あそこも観たい!」とテンションが上がりすぎて、しばらくの間ソワソワしてしまいました。

「絵本もつくる人」としても有名な荒井良二さん。
ハッピーあふれるカラフルな色づかいと文字は、ほんとうにすてきです。
あの空間にいて、いやなことを思いだしてしまうひとっているのかな(いや、きっといないはず)…と考えてしまうほど、そこはきらめくすてきな世界。

とくにすきだったのは、『あさになったので まどをあけますよ』と『きょうはそらにまるいつき』という絵本の原画です。

あさになって窓をあけた世界は、いつもと変わらない景色だけれど、空は晴れわたり、さわやかな風が吹き、波の音が聴こえ、ときには雨に輝いて、毎朝がうつくしくて。

交わることのない、おたがい道でただすれ違うだけのひとびとの、それぞれの愛しい日常。
とくべつなことはなにも起こらない日々だけれど、空にはお月さまが光っていて。
私も私の知らないあの人も、海や森の動物たちも、たったひとつのお月さまのおんなじ光に照らされていて。
そしてそこには、オレンジ色の幸福に色づくそれぞれの日々があって。
交わらないべつべつの日々でも、「みんながおんなじ月に照らされている」ということが、すばらしいことなのだと。

絵本の原画と文章を観ながら、そんなことを思いました。

展示はボリュームたっぷりで、絵本の原画のほかに、タブローや立体作品、それから山形ビエンナーレで展示・使用されたセット(のようなもの。とてもかわいい!)もありました。

私は、ひとつひとつの作品を憶えるというよりは、「展示室でじっくり観たものが、ギュッと凝縮されて、ひとつの宝石になってこころに残ったなあ…」という気持ちでした。
帰り道も、そしていまも、ずっとこころに虹が架かっています。

ほんとうに、愉しくて、幸福で、きらめく世界。
私たちは美術館に三時間ほどいましたが、とてもしあわせな時間でした。

こんかいは図録も買ってこれました。
あとはポストカードも購入したので、お友だちに出すのがたのしみです。
部屋でもしあわせがつづいてウキウキとしています。

美術館のスタッフのかたも親切で、やさしくしていただけてうれしかったです。
チケット売場では、施設の案内や注意事項をやさしく説明してもらったり、ミュージアムショップのレジでも、購入品をていねいに扱ってもらえたり。
うれしくて、ホクホクとして帰ってきました。

帰宅してから、そんな諸々を思いだすたびに、こころのなかの宝石が乱反射して、私の気持ちをあかるく照らしてくれています。