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#1 血糖値

血糖値って何ですか?

外来に通院している患者さん達も、何年も十数年も通っていても、実は今更聞けない・・・ことだったかもしれません。

 『血糖値は血管の中を流れるブドウ糖の濃度です。』

患者さんにはそのように説明しますが、本当に意味わかりますかね?

いまいちじゃないですか?だってブドウ糖の濃度って言われても、ジュースの甘さに比べてどのぐらいの濃さなのか分からないですよね。

糖尿病=慢性的な高血糖の状態ということなんですが、高血糖って血糖が高いんですよね。慢性的に・・・ですか・・・もっと分かりにくいですね。

私たち医者が普通に使ってしまう言葉は漢字で書けばふう~ん、と分かっても、口頭だけで言われるとイメージが湧きにくい、ってこと多そうだなあと思っていました。

何でそう思うかというと、病院に初めて来た患者さんに書いていただく問診票というやつに、結構コウケットー、とかトーニョーって書いてあったんです。

でも説明するにも時間が無いの・・・

だから、このパンフレットあげますね・・ってやってました。

ブドウ糖ってまあ、スーパーでも売っていますけど、そもそも生活していて砂糖ほどの実感がないのでは?

どのぐらいの濃度がいわゆる普通なんでしょうね?

通常哺乳類の中で人間の血糖値は食べる前なら大体70ー100mg/dl って濃度ということになっていますけど。

ブドウ糖と砂糖は本当は違いますけど、イメージ優先で表現しますとね、、

例えば血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が100mg/dlだとしたら?    ⇒100cc(100ml)の水にブドウ糖が100㎎入っている         ⇒1L(1000ml)の水に糖を1g(1000mg:小さじ1/3の砂糖ぐらい) 混ぜた程度の甘さです。       

そんなに薄いんだ~って感じですよね。某スポーツドリンクの薄甘な味よりずっと薄いですからね。

その血糖値が高い状態が長く続くと、血管がやられて、目や腎臓が傷んで、動脈硬化が進んで・・・ つまり合併症が起きると言われるんですが、私がある日衝撃を受けたのは、鳥の血糖値は300mg/dl以上と知った時でした。本当?と思い、サクッと調べただけですが、、、どうもそうらしいですね。

哺乳類の血糖値は100~150mg/dLですが、鳥は250~500mg/dLで哺乳類よりかなり高いですが、鳥の血糖値は594mg/dL以下とも言われています〔Hochleithner 1994〕: 引用 エキゾチックアニマル獣医師情報室https://exoroom.jp/jiyui/2020/05/13/torinotounyoubyou/

理由は鳥がどこまでも飛ぶためにエネルギーが必要で、機能するシステムが違うからなんですけれど、血糖値が高いことは必ずしも危ない事じゃなくて、高いには理由があるということなんです。

高くていいとは違いますし、高いと悪いと言いたいわけでももちろんありません。細胞がちょうどいい普通の血糖って何なんだ?と思ったんです。種によって細胞が高濃度のブドウ糖にさらされても心地よさが違うんだ。。。

そんなこと考えていたら、糖尿病の人たちの血糖も意味があって変動しているということに改めて考えるようになりましてね、いわゆるインスリンが足りないとか、生活習慣が・・・とかだけではなくて、生きている上でいろいろ理由があるのよ。。っともっとうまく外来でお話しできたらいいのになあ~と思いつつ、逆にそれは相当大変なんだわ・・・・ってのもわかっているので、実際のところはどうしたらいいかなあ~とぼんやり窓の外を眺めながら『今日も暑いな』と思う6月最後の金曜の午後でした。


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