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「どこかにマイル」で行く広島日帰り旅

ANAには「トクたびマイル」というマイルホルダー向けのお得なキャンペーンがありますが、JALにも「どこかにマイル」という、なんか響きが似ているキャンペーンがあります。

両者とも普段よりお得なマイルで旅ができるという共通点はありますが、字面は似ていても微妙に性質が異なります。
JALの「どこかにマイル」はその響きで類推できるように、4つのランダムに選ばれた候補地のうち「どこかに」安くマイルで旅できる、という商品になっています。
発着地と日付、大体の時刻は指定できますが、あとはすべておまかせ。その代わり安いマイルで旅できる。それが「どこかにマイル」。

私は基本的にはANAのマイルホルダーなのですが、JALマイルもそこそこ溜まっているため、ものは試しと「日帰り」でチケットを申し込んでみました。

赤字の多すぎる注意事項

と、安易にやってしまったのですが、「どこかにマイル」はいくつか注意点があります。
まず、申し込んだ便は、基本的に変更できないこと。自分にあまり都合が良くない便になっても、変更はできません。
また時間帯も動かせないこと。「09:00〜11:59」などだいたいの時間帯しか指定できず、基本的にその中で旅行者に一番不利で不都合な、おそらく一番人気の無い便が割り当てられます。
この辺は、「トクたびマイル」に慣れていると、結構戸惑うところです(トクたびマイルはキャンペーン期間内であれば日時の変更や便の変更が自由)

そして、ランダムで選ばれる、とされている行き先も、おそらく一番人気が無いものが充てがわれるので、その辺も覚悟が必要です。個人的には、「どこかにマイル」の継続率や成約率は気になります。申し込んだけど非道なアレンジをされてキャンセルした、もう懲り懲り、という人が多いのでは。

なお、今回私が引き当てたのは「広島」でした。
この辺は詳しい事はご存知と思いますが、広島空港は日本の空港の中でも「アクセスが最悪」な空港として知られてます。

空港から遠すぎワロタ

空港からどこの都市に行くにもバスで1時間くらいかかり、その本数も広島駅行以外は僅少。そして道路渋滞が慢性化してて遅延率も高い。東京からだと4時間以上かかる新幹線の方が便利だし、結果的に速い。そのせいもあってか街としてのポテンシャルは極めて高いのに東京からだと遠く感じ及び腰になります。
旅好きの私の妻にも「広島には何の印象もない」(なぜなら行きづらいから)。と言い放たれてしまうような状況です。
少なくとも日帰り旅の起点とするには考えうる中で最悪な選択肢を引き当てました。なぜなら空港と観光地の往復だけで2時間を浪費するのが確実なので。

と、色々書いてきましたが、この記事は「どこかにマイル」と「広島空港」の悪口を書く記事ではないので、様々な状況を飲み込みつつ、ここからは広島観光について書いていきます。

個人的には「広島県」には比較的訪れてます。僕は昔は自転車によく乗っていて、過去には「しまなみ海道」のサイクリングコースを何度か走破したりしていました。しまなみ海道は、尾道〜今治の間の島々の間をさまざまな橋梁で繋いだ道で、自転車も一部通行可能。世界の中でも屈指の景色の素晴らしさを持つサイクリングコースです。

そして広島空港から広島駅周辺は遠いですが、三原や尾道などであればまだ我慢できるレベルの時間でアクセスできます。

バスの本数は少ないが三原は広島駅ほどは遠くない

なので今回は、瀬戸内の景観豊かな尾道に出かけ、しまなみ海道を久しぶりに走る、を目的に旅しました。さすがに日帰りで踏破は時間的に難しいので、ほんのさわりを嗜む程度で。

羽田空港〜広島空港

JL257 09:25~10:50

広島空港につくと、「ドライブ・マイ・カー」の幕が。僕は知りませんでしたが、広島周辺でロケが行われた映画なのですね。

広島のアイデンティティといえば、いつの間にか「もみじ饅頭」。私はさすがに「B&B」のギャグは知らない世代ですが、それでも昔はこんなにもみじ饅頭推しではなかった気がします。

もみじ饅頭の自動販売機
カードラウンジの名前は「もみじ」

三原行きのバスには1時間ほど時間があるので、空港で食事を済ませました。いただいたのは牡蠣が乗せられたお好み焼き。観光客として模範的なグルメ。

お好み焼きとしては美味しくなかったですが、上に乗っていた牡蠣は季節外れにも関わらずプリプリで美味しく、広島の底力を感じました。

広島空港〜三原

空港連絡バス 11:45~12:23

空港から沼田川沿いに山陽本線と平行して一般道を走ると三原につきます。
三原といえばタコ。多くの広島の有名な街がそうであるように三原も瀬戸内に面した海の幸が豊かな街です。

有名なお店らしいです

そして三原の街でこれでもかと目にするのが「小早川」の名前。
三原駅はお城(城跡)が駅と直結していますが、この三原城は水運・船運の便に優れた海城として有名で、ここを本拠に構えたのが名将の名高い小早川隆景。

城のお堀にはやはりたくさんの鯉が

小早川家といえば「三本の矢」の故事でも有名。
溢れる才覚を存分に発揮できず不遇をかこち故郷広島を追われたものの、稀代の名将に拾われ重用された事に意気を感じ、スタメン起用された開幕戦で巨人のエース斎藤雅樹から三本の矢(ホームラン)をスタンドに放った小早川毅彦のエピソードは涙なくしては語れません。

三原〜尾道

山陽本線 12:52~13:05

三原と尾道はすぐそこ。駅にして2駅先です。電車賃は240円。

尾道駅

大林宣彦さんの映画で尾道が人気になったのが40年ほど前。そのころの事を全然知らない私にとっては尾道はしまなみ海道の起点の街です。ということで早速自転車を借りてしまなみ海道に向かいます。

しまなみ海道を自転車で走る時は、自分の自転車で輪行するのもありですが、一般的な観光客はレンタサイクルを借ります。しまなみ海道では自転車の乗り捨てができる箇所も多く便利です。

私も今治まで向かうならクロスバイクを借りますが、今回は短時間なので、「おのみちコミュニティサイクル」というサービスを使用しました。こちらは東京でよく見かけるようになった電動式自転車のシェアサイクル、の尾道版です。

レンタサイクルは乗り捨てできて便利ですが2000円からと少し高い。長距離乗ることを考えると割安。
おのみちコミュニティサイクルは1時間250円と極めて割安。課題は、どう考えても長距離走向きではないこと。どんなに必死に漕いでもスピードが出ないこと。見た目が極めてダサいこと。

ちなみにしまなみ海道周辺には多くのライダーを見かけましたが、皆ロードバイクかクロスサイクルに乗っており、シェアサイクルに乗っている人は私一人でした。

尾道〜向島〜因島(往復)

自転車 13:10~14:40 ころ

今回は時間的に使えるのは1時間くらい。頑張っても往復で20kmくらいが限界なので、それを前提にルートを考えると、因島大橋をちょっと渡った先のビーチあたりが今回の目的地になります。

https://shimanami-cycle.or.jp/rental/course より引用

しまなみ海道サイクリングでは有名ですが、尾道から向島に渡る際には高速道路ではなく渡船にて島に渡ります。
渡船業者は複数ありますが、尾道駅前の渡船場が一番便利そうです。
船は人や自転車を対岸の向島まで数分で運んでくれます。時刻表は特になく、人を載せ次第対岸に、を繰り返して操業しているようです。

向島行渡船のりば
真ん中の船が、渡船の船
タイヤが3つ見えるところが船着き場

向島についたら、あとは自転車でひたすら走ります。道には自転車通行帯が整備されていて、今治までの距離や道案内が至るところに掲示されており、とても走りやすい環境になっています。
自転車は起伏に弱いので最短距離というよりは、海沿いの比較的平らな場所を選びつつ進むやや遠回りしたルートになっています。この方が海の景色を眺めながら走れて楽しいですね。

自転車で渡る因島大橋

橋はかなり高い位置に作られてます。船舶の航行の邪魔をしないため、島はの大半は基本的に山なのでその高さに合わせて橋を通す必要があるため、ということなのでしょうか。
自転車の立場としては高いところまで坂を登って行かないといけなくなるので、何気に橋を渡ることがしまなみ海道サイクリングの難所の一つかもしれません。

因島大橋の上の自転車道
橋の上からの眺め

しまなみ海道の橋上の風景としては来島海峡の上や伯方・大島大橋の景観など今治側の方が素晴らしいと思いますが、因島大橋の辺りはたくさんの船舶が航行するのが眺められるのでこれはこれで楽しいと思います。巨大タンカーが汽笛を鳴らしながら橋の下を通る姿は壮観です。

無限に走り続けていたいところですが、時間も無いので、因島大橋を渡った先に広がるビーチ、の辺りに謎に鎮座するモアイ像のあたりを今回のゴールとし、間をおかずに引き返しました。

謎のモアイ像

ちなみに、私がしまなみ海道で最も好きなのは、桜の季節に桜を見に行くことです。
伯方島の開山公園と、ちょっとしまなみ海道から外れますが岩城島の積善山が、私個人としてはオススメの場所です。どちらも自転車で行くと急坂を登坂する必要がありますが、決して損はしないと思います。

開山公園
積善山

尾道〜白市〜広島空港

山陽本線 15:50~16:47
空港連絡バス 16:53~17:08

尾道に自転車で戻ってきたあと、本当は呉線に乗って町並みに風情がある「竹原」まで移動する予定だったのですが、突然の呉線の運休(橋桁に車が激突とのこと)のため予定がキャンセル。残り時間は適当に尾道周辺を散策し、その後空港まで戻りました。
アクセスが悪いで有名な広島空港ですが、一応この旅程でもあと一箇所くらいは本来は観光地めぐりをすることができる事は記しておきます。

帰りは山陽本線で白市まで向かいました。できるだけ電車でアクセスしたい場合は白市というところまで行くと広島空港に比較的近い場所までたどり着けます。白市駅からはバスが出ており、ここからだと15分くらいで空港まで運んでくれます。

広島空港も最近はこのルートを結構推している雰囲気はありますが、この区間は山陽本線としては相当な山奥で、まわりに何もなく、本数も多いわけではなく、あえてこのルートを選ぶ人も現状は少なそうです。今回私が乗った白市駅発のバスには2~3人の乗客が乗るのみでした。

山陽本線の車窓
白市駅発 広島空港行 バス

広島空港〜羽田空港

JL264 17:45~19:10

こんな感じで、わずか7時間の広島滞在で帰路につきました。
一応、広島には日帰り旅行はできますが、かなりできることが少ないので個人的にはあまりオススメしません。もちろん訪れた場所はどこも楽しかったです。
あと「どこかにマイル」と「広島空港」はなかなかクセが強い感じがするので、いずれもご利用は慎重に。

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