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性悪のための よりぬき罵詈雑言22.0

悪口だいすきパーソンのみなさんようこそ、羽仁男です。
みなさんお得意の悪口ですが、
パターン化、マンネリに陥ってはいませんか?
昨今では語彙力の低下を嘆く人びとも散見されます。

本記事では珠玉の、いな嗜虐の罵詈雑言を以下の二冊からよりぬきました。
・『罵詈雑言辞典』奥山益朗 著
・『悪口冗談じてん』山名正太郎 著

罵詈雑言(ばりぞうごん)とは…きたない言葉で、悪口を並べ立ててののしること。また、その言葉。


罵倒・陰口の参考にどうぞ。
以下の形式で紹介していきます。



見出し語

【罵】:(だれが)誰を、何を罵る語か
解説 :(あれば)【罵】の前後に
◇  :羽仁男考案の用例

()内は羽仁男の感想や付記、※は補足or注釈です。


せいしんインポ
ドイツ語で性交不能を意味する「インポテンツ」を精神的に表現したもの。
【罵】知恵が足らず、気配りができないことにいう
◇やーい、おまえのせーしんイーンポ!

むりわかまる
=無理若丸。
【罵】OLが無理に若づくりする男性にいう
◇あの男まぢむりゎか…

オレガノフ
【罵】何でも「おれが」と言う人にいう
◇オレガノンドルフ。(誤った用例)

コマネチ
世界的体操選手の女性の名をかりたもの。
(「ナディア・コマネチ」と思われる)
【罵】細かいことをネチネチと言う人にいう
◇あいつのコマネチにはかなわんよ。

むぎこがしやろう
=麦焦野郎。(驚異の字面である)
【罵】新内を語る人にいう
※「新内」は浄るりの一種の「新内節」で、哀調のある節にのせて哀しい女性の人生を歌いあげるもの。
◇つまんねぇんだよ、このムギコガシめ!!
(使う場面なさそう)

糞尿博士
【罵】中村浩理学博士のこと
※博士は自身を「くそ馬鹿」といい、同名の本もあるんだとか。
それによれば、人間ばかに徹すれば道は開ける、利口ぶってはいけないと説いている。また糞尿からパンを作るから宇宙旅行は可能だ、とも。
まるで糞尿博士だ

罵詈コラム『~神々の糞尿譚~』
日本語の罵語は「糞(くそ)」が断トツに多く、汚物代表として罵語の上位を占めている。ところが、古代の「糞」は神の発生源とされているのだ。
トイレの神様ならぬ糞尿の神様である。「糞」の起源は古事記にあり、イザナミの糞尿から幾柱もの神々が発生したらしい。

アンクルカモ
(パパ活?)女子学生の隠語。
【罵】特にだまされやすい中年紳士のこと、またうまく利用される人をいう
アンクルカモがこの世から消えて欲しいヤツは、世界にはごまんといる

アンマリぞく
=unmarried。(エシディシの言動にいうのではない)
【罵】男女ともに結婚しない、結婚しようともしない人々にいう
(これは使えそう)
◇アマゾン奥地に生息するアンマリぞく。

けいろう
=軽老。
9月15日だけが敬老の日(現在は9月の第3月曜日)で、あとの364日は軽老の日といったのは、全国老人福祉問題研究会長中川晶輝さんの発言。
【罵】老人を軽んじていう
◇おじいちゃんおばあちゃん、今日も軽老の日だね!

しびとやろう
=死人野郎。これほど野卑な表現はない。
(『悪口冗談じてん』著者、山名的モスト俗悪罵語!)
【罵】人をののしるときにいう
◇この軽老!屍人野郎!!
◇うちのおじいちゃんおばあちゃん、しびとやろうなの。

すけすけのすけ
=助助の助。(すこすこのすこではない)
【罵】非行少年の用語で、すごくエッチなことをいう
◇助産師さん、そない透け透けの服やとすけすけのすけに狙われまっせ。

ちじん
=痴人。
【罵】愚か者にいう
(口語なら知人を痴人とdisりつ紹介してもバレない)
◇とんだ痴人ですが、よろしくおねがいします。

ちせいゆたか
=痴性豊か。
【罵】学生語で大ばか
◇痴性豊かな人だなあ。

しょうがのかわとる
=生姜の皮取る。
【罵】愚者に
しょうがの皮をあまりはぎとると、中身がなくなることから。
◇ええい、このしょうがのかわとり!

のうてんほがらか
=脳天朗らか。(お花畑的揶揄技法)
【罵】のんきでよかろうと、愚かさをからかう
◇朗らかなやっちゃなぁ…脳天が。

おたんちん
【罵】馬鹿者、のろま、まぬけの意で、相手を罵る言葉
よく似た罵語に「おたんこなす」がある。
◇バカあほマヌケ、おたんちん!

海千山千(うみせんやません)
【罵】さまざまな経験を積み、世間の裏表を知り尽くした悪賢い人をいう
海に千年、山に千年棲息した蛇は、やがて竜になって天に昇るという故事から。(罵語っぽくない、むしろ神秘性すら感じる由縁だ…)
◇海千山千の政治家に懐柔される国民。

極楽とんぼ
【罵】のんびりと気楽に暮らしている者をからかっていう
◇山麓の極楽とんぼ、酒色におぼれる。

とんぼにサの字
【罵】「キザ」の意味の謎言葉で、そのような人を罵るのに用いる
トンボの形は「キ」の字のようで、それに「ザ」で「キザ」。
◇とんぼにサの字のあのコはかなりのイぼ痔。

き印
「気違い」の「き」を取ったもので、「気違い」を婉曲にいう言葉。
【罵】人を冷やかし、嘲るときにいう
◇あら、き印がなにか叫んでるワ。

罵詈コラム『趣深い"気違い"引例文』
以下、文学作品からの引例である。
「するするっとネットについた貝谷が両腕を拡げて棒立ちになったまま、
突然、『来い! キチガイめ』と叫んだ。
『おい、そんなことを言うな。』金子が怒った。」

オンス
【罵】男が周期的に機嫌を悪くすることの隠語(質量の単位ではない)
女の「メンス」(月経)から洒落た言葉。近年はあまり聞かない。
◇ヤツは今日アルファオンス(極めて不機嫌)だから気をつけろ。

ホモ・スツルッス
【罵】愚かな人
フランスのノーベル賞の博物学者リンネウスは、
「人間は愚行を重ねているから、現実に即して『愚かな人』で、
実はホモ・サピエンス(賢い人)とよびたいのだが、これは不当だ」といった。
(あまねく人類を罵倒したいときにオススメである)
◇地球のホモ・スツルッスどもが、殲滅してくれる!!


参考・関連書籍

敬語についての著書もいくつかあるという奥山益朗さんが、
敬語過剰に警鐘をならすべく対に位置する罵語をまとめた辞典。

解説はもちろん、著者による用例や文学作品からの引例文など、
罵語について網羅的に扱っている一冊。

アメリカには侮辱辞典があり、フランスには罵倒辞典があったが、
日本にそういうものがない時代に書かれた悪口辞典。

単語とその意味だけがひたすらに並ぶシンプルな一冊。

先の『悪口冗談じてん』の著者、山名正太郎が「皮肉辞典」と称する辞典。
比較的一般の名詞が列挙されており、それぞれの意味について冷笑的に言及している。

文豪から文豪への罵詈も書かれている痛快な一冊。

個人的には中原中也から太宰治への
「何だ、おめえは。青鯖が空に浮かんだような顔をしやがって」
という独特のメタファーを含む言葉が気に入っている。

本当にあって草。いや糞。


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