ミンツバーグの5つのパーツ
もし起業して組織を作る立場になったとき、どういう風に組織をつくりますか。意外と何から手を付ければいいかわからないのではないでしょうか。今回はそんな時の助けになる理論を紹介したいと思います。その理論とは、ヘンリー・ミンツバーグ(Henry Mintzberg)というカナダ生まれの経営学者が提唱した「組織を構成する5つの基本パーツ」というフレームワークです。では、ミンツバークさんの理論を少しお裾分け。
5つのパーツ
ミンツバークは、「どの組織にも5つのパーツがある」ということを『The Structuring of Organization 』という著作で指摘しております。その5つのパーツとは、テクニカルコア、トップ・マネジメント、ミドル・マネジメント、テクニカルサポート、経営サポートです。各々の組織によって環境、技術、その他の要素が違いますから、それぞれのパーツの規模も重要性も様々ですが、基本的には、この5つのパーツで組織は成り立っています。では、5つのパーツにについて詳しく解説します。
①テクニカルコア
テクニカルコアとは、実際に製品やサービスを生産したり、販売したり等、組織の基礎的な作業を行う部門です。この部門が、組織と外部環境とのつなぎ目にあり、組織が持つリソースを製品やサービスに変換し、キャッシュを生む現場です。製造会社の生産部門、大学の教師とクラス、病院の医療活動などが含まれます。
②テクニカルサポート
テクニカルサポートとは、文字通り、テクニカルコアの機能が環境に適応する手助けをする部門のことです。研究開発やマーケティング部門がテクニカルサポートに当たります。テクニカルサポートに所属する技術者や研究者は、問題やチャンスがないか、外部環境に目を配ります。そのため、組織の変革や環境への適応の責務を担う部門であるということが言えます。
③経営サポート
経営サポートは円滑な事業運営と物理的な要素や人的要素等の維持を担当する部門です。人事部や総務が経営サポートに当たります。雇用な報酬や手当ての決定、教育訓練等、ビルの契約や使用する機械の修理等の保守管理活動を行い、組織全体をサポートします、
④トップ・マネジメント
トップ・マネジメントは、組織全体あるいはほかの主要な部門に方向、戦略、目標、方針を与える部門です。組織全体に指示を与え、調整する責務を負います。また、株主とのつなぎ役という役目も負います。組織を運営するための資金調達をすることもトップ・マネジメントの責務です。
⑤ミドル・マネジメント
ミドル・マネジメントは、事業部門での、戦略や目標、方針の実行の調整の責務を負います。伝統的な組織では、ミドル・マネージャーがトップ・マネジメントとテクニカルコアの橋渡し役として、規則の実施、情報伝達の責務を負います。また、ミドル・マネジメントは、テクニカルコアが円滑に運営できるよう、テクニカルサポートや経営サポートとの調整を行ったりもします。
まとめると、以下のように図式化することが可能です。
この理論は、企業のスタートアップ立ち上げの段階に非常に効果を発揮すると私は考えます。事業拡大に伴い部門や役職を増やす際、どの部門を創設するべきか、どんな役職を作るかといった問いに対しての示唆を与えてくれます。非常に簡潔な理論のため、企業の成長段階に応じてこの理論の適応度は異なるとは思いますが、参考になると幸いです。