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組織における意思決定-漸進的意思決定モデル-

今回は、前回に続く組織における意思決定の漸進的意思決定モデルです。

漸進的意思決定モデル

モントリオールにあるマギル大学のヘンリーミンツバークとその同僚らは、組織における意思決定に異なる視点からアプローチしました。
彼らは、組織において行われた25の意思決定を選定し、これらの意思決定に伴う出来事を最初から最後まで追跡研究しました。この研究により、意思決定の流れが明確になりました。
この研究で分かったことの一つは、組織における大きな意思決定は通常、小さな選択の連続であり、こうした小さな選択が集まって大規模な意思決定が作られているということです。組織における意思決定の多くは、少しずつ小刻みに行われます。そして、いくつかの意思決定の通過ポイントで障壁にぶつかることもあります。これをミンツバーグは中断現象と呼びました。中断は、組織が前段階の意思決定に立ち返り、新しい方策を試みなければならない段階であるということを示します。この中断現象により、最終的な解決策となったものは当初予想されたものとはまったく違ったものもありえます。
ミンツバークは組織における意思決定を3つのフェーズにわけて考えました。それが、特定フェーズ、開発フェーズ、選定フェーズです。

特定フェーズ

特定フェーズは認識によって始まります。認識とは、一人または複数のマネージャーが問題と意思決定の必要性に気づくことを意味します。認識は通常、問題または機会によって誘発されます。問題外部環境の諸要素が変化したときや、内部パフォーマンスが基準を下回ると見られます。
次の段階は分析です。ここでは問題の状況を明確化するのに必要であれば、より多くの情報が収集されます。重大な問題の場合、詳細な分析を行う時間はなく迅速な対応が求められます。一方、軽度な問題はより系統だった分析を施される場合が多いです。

開発フェーズ

開発フェーズで明確にされた問題を解くための解決策が形成されます。解決策には二つの方向性があります。探索手順を用いて解決策のレパートリーのなかから代替案を探し出す場合と、個々の問題に合わせた解決策を設計する場合です。設計する場合は、問題が目新しく、過去の経験が役に立たない場合になります。ミンツバークは、こうしたケースでは主要な意思決定者が理想的な解決策について漠然としたイメージしか持っていないということを発見しました。

選定フェーズ

選定フェーズでは、解決策が選ばれます。選ぶ際の評価と選択には3つの方法があります。

・最終的な選択が一人の意思決定者に任され、その選択が経験に基づいた判断という形で行われる。
・選択に意思決定者のグループが関与する場合には、交渉が行われ、選定される。
・意思決定が組織によって公式に受け入れられると、許可が行わる。最終的に権限が有する階層に到達し、判断する。


モントリオールオールの漸進的意思決定モデルは少々複雑です。組織における意思決定は、特定、開発、選定の三段階を通じて少しずつ決定へ進むという認識で大丈夫でしょう。

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