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幸福感

朝、夫より5分早く起きて緑茶を淹れている。
夫の好きな鹿児島知覧茶だ。甘みの中に程よい苦味が心地よい。

緑茶の馥郁とした香りがたちのぼる。

「今日も一日頑張るか」とスイッチが入り、何とも言えない幸福感に包まれる。

夫の実家で亡き義母が、古い南部鉄器の急須で淹れてくれる少し鉄の味がするお茶が大好きだった。

茶道をたしなんでいる人だった。
まず茶葉を水でふやかして、湯呑みを湯で温める。ふやかした茶葉を急須に入れてお湯を少しずつ入れて蒸らす。湯呑みを温めたお湯は捨て、お茶を湯呑みに交互に注いで、濃度が均等になるようにする。

どんな時でもそうやって、ゆったりとした気持ちで私たちのためにお茶を淹れてくれた。
私もそのルールを守っている。

湯気が立ちのぼるお茶と仏器に盛ったご飯を仏壇に置いて鈴を鳴らし、夫と一緒に手を合わせる。
朝のルーティン。

夫は心臓の不整脈で時々調子が悪そうなので、朝は緑茶、お弁当には必ず梅干しかプチトマトを、緑茶は水筒に入れて仕事場に持って行ってもらう。

中医学では「心系」のトラブルには赤いもの、苦いものが効くらしい。
昔から伝わる医学は、西洋医学と違ってエビデンスはないが、先祖代々から伝わる知恵の結集。

朝の一杯のお茶、お弁当の梅干しに込められた私の思いは伝わってるかな?

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