暁の手記 その30

私の苦しみは私だけが理解し、解くことが出来ると思っている。
母がバイトのワンオペで疲れて早く寝たことをいいことに私と姉と父は飲み会を始めた。話の輪に入りづらいなと思いながら話を聞いていて、これは立候補しないと永遠に喋れないやつだと思った私は自分から喋ってみることにした。
「最近朝早くに起きちゃって暇なんだよね」
「一時期バイトしたいって言ってなかった?」
「言ってたけど、倒れるようになったらあっさりクビにされたし。A型もB型も倒れたら結局はクビになるし」
「それなら体を動かすことに慣れる為に家のことをやったら?」
父にとってはなんら特別みのない言葉だったのだろう。でも私は違った。
母はあまり家事を手伝わせてくれないタイプの母親だった。無理矢理手伝うことを手伝いだとは思えないし、やれることもそんなに多くなかった。なによりも私自身があまりやりがいを感じられなかった。我儘な娘だ。
結局、飲み会の場所に居づらくなった挙句、イライラし始めた姉に自室に戻るように暗に言われたので部屋に戻った。
誰にもこの不便な体で生きることの理不尽さや苦しさは分からない。
父は分かろうとしてやってくるけれど、そんな言葉さえ聞きたくなくてキツい言葉で追い返した。私の気持ちなんか分かるはずない。分かる気がないんだから。
ただ自分が理解した気になって気持ちよくなりたいだけだ。だから私は話したくないのだ。
私のこの絶望は誰にも分からない。私が、私なりのやり方で克服していかなければならない。
こんな人生早く終わらせたい。消えてしまえればどれだけ楽だろうと思う。
暗いこの道にいつか光は差し込むのだろうか。


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