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編集者を目指すインターン生が、ダ・ヴィンチ編集部員に突撃!①〜ダ・ヴィンチの特集企画が誕生するまで〜

はじめに

こんにちは。

こちらダ・ヴィンチnote、久々の更新です。
すっかり過疎化していたようですね……。過密化できるよう努めて参ります。

ところで、これを書いているのは一体誰なのか。
申し遅れました。

私は現在ダ・ヴィンチ編集部にて学生インターンをしている、A沢と申します。

読書嫌いだった中学2年の頃、推しアイドルが書いた小説を読んで抱いた夢は、「彼の担当編集者になってやる!」でした。

そんな夢を今でも追い続けている私が、インターンの立場から、ダ・ヴィンチの編集者はじめ、様々な編集者の方々に突撃していきます!

第一弾は、5月6日発売6月号ダ・ヴィンチ特集①「宮沢賢治と歩く、岩手の物語」の担当編集者、HさんとSさんへのインタビュー企画。

ダ・ヴィンチの特集企画をどのように作り上げていくのか。
根掘り葉掘り聞いちゃいます。

編集長に繰り返し突き返されたタイトル案

数ヶ月前、ダ・ヴィンチ2023年6月号の特集企画を担当することになった編集HさんとSさん。宮沢賢治没後90年という節目のタイミングで、特集を組むというその責任は大きかった。しかも二人ともまだ20代で、編集経験が浅いコンビ。文豪・宮沢賢治についてよく知る読者にも、そうでない読者にも“ハマる” 特集づくりのために、リサーチを徹底的に行った。

Hさん「今回のリサーチでは、過去に他の媒体で宮沢賢治の特集がされているものも色々と参考にしました。あまり知識のない分野だったからこそ、丁寧にリサーチすることを心がけていましたね。Sさんもそうだったよね?」

Sさん「はい、正直担当になってめちゃくちゃ慌てました(笑)」

特集内には「宮沢賢治のオノマトペ」「宮沢賢治を”めぐる” 創作集」「東京からの移住で出会った新たな世界」などといった、インターン生の目線からすると ”ダ・ヴィンチにしかできない企画” が散りばめられている。だが、これらの企画を集約する特集タイトルには頭を悩ませたという。

Sさん「特集内の企画は、お互いにやりたいことを出し合う中で固まっていきました。特集タイトルよりも、内容の方が先に決まっていましたよね。」

Hさん「そうだね〜。」

Sさん「タイトルは編集長に出しては戻されの繰り返しだったので、校了までに3〜4回変更になりました。『中身は悪くないけど、タイトルが……』と指摘されながら最終的に「宮沢賢治と歩く、岩手の物語」になったんです。」

Hさん「インタビューさせていただく方の考えというのは、やはり実際に取材してみないと分からないんです。最初にタイトルを決めていても、取材を経て原稿が出てくると『やっぱり違うタイトルがいいな』と、今回の特集に限らずですが、最後まで変更することが多いですね。」

全部思い入れはありますが…ここを見てください!

特集担当になったのはほぼ初めてだったというSさん。今回の特集に対する思い入れは人一倍なんだそう。「どのページも可愛い子供です(笑)」と言いながら、イチオシページを教えてくれた。

Sさん「イチオシかぁ…。どのページも本当に大変だったので、選ぶのは難しいですね。でも、マンガを描き下ろしてもらっているページ(本誌p.36〜39, 以下写真)は、特に思い入れがあります。私とHさんで実際に岩手に行って1日ロケをしたんですよね。マンガの内容もすごく素敵に仕上げていただいて。『イーハトーブはあなたのすぐ近くにあるんだよ。』というメッセージにも感動しました。作り上げていく過程も、完成したものも全部含めてとても良いものになったなぁと思います。」

(ダ・ヴィンチ2023年6月号p.36)

「ダ・ヴィンチでしか読めないコンテンツづくりをしたい」と、繰り返し語るHさんにも、思い入れのあるページをお聞きした。

Hさん「私もSさんと同じで、描き下ろしにはすごく思い入れがありますね。やはり、ダ・ヴィンチを買わないと読めないものを作りたいなぁと思って。マンガ『海獣の子供』の五十嵐大介さんに、お好きな宮沢賢治作品のイラストを描き下ろしていただきました。宮沢賢治をよく知っている人もそうでない人も楽しめるコンテンツを入れるということを意識していたので、企画の中にこういった描き下ろしを組み込めたことは良かったです。」

編集者は、葛藤の中で時に勇気を持たなければいけない

ダ・ヴィンチならではの特集を完成させるため、時には全国各地へ取材に飛び回る編集者。私たち読者が想像できない小さな苦労と葛藤の積み重ねによって、新しいコンテンツが生み出される。

Sさん「今回、思い入れが強い読者も多いだろう ”宮沢賢治” をテーマにした上、私自身知識がそれほどありませんでした。なので、取材をさせていただいた方との間に熱量の差を感じたこともあったんです。企画を作っていく中で不甲斐なさを感じたりと、葛藤はありましたね。」

Hさん「宮沢賢治は作品の数も多く、たくさんのファンがいらっしゃるので、冒頭の作品紹介ページではとても悩みましたし、勇気のいることでもありました。読者の方が『これもう知ってるよ』とならずに、『こんな作品もあったんだ、読んでみよう』と思っていただける作品の構成にすることを意識しましたね。宮沢賢治の研究者の栗原先生にご協力いただけたこともあって、最終的に良い紹介ページになりました!」

書店に並んだ雑誌を眺めて、嬉しさを噛み締める

ゼロから心を込めて作り上げた雑誌。編集者が達成感と嬉しさを味わえるのは、どんな時なのだろうか。

Sさん「実際に完成したものを手に取って、恐る恐る誤植がないかを見て、本屋に並んでいるのを確認した時は感動するんだろうなぁと思います。(インタビュー時は完成前)」

Hさん「私が達成感を得られる瞬間は、自分のつけた特集タイトルが、書店で並んでいるのを見た時ですね。あとは、取材させていただいた方が『楽しい取材でした』だったり『取材してもらえて嬉しかった』というような言葉を言ってくださった時も、本当に嬉しいなと思いますし、やって良かったなと感じられます。また、読者アンケートなどで『新しい作品を知ることができた』という声をいただけたりするのも本当に嬉しいです。」

文芸のコア層からライト層までを幅広くターゲットにした娯楽情報雑誌「ダ・ヴィンチ」において、文豪・宮沢賢治を特集テーマにした6月号。編集者自身がたとえ知識を多く持っていない分野でも、徹底的にリサーチを行っていく。その原動力は、取材を受けてくれる方々、そして何より読者のためだ。ゼロからイチを生み出すために、今日も編集者は走り回る。

おわりに

編集者さんにがっつりインタビューしたのは、初めての経験でした。

高校生の頃から書店に行くと何故かフッと目に留まる「ダ・ヴィンチ」。その特集がどのように作られているのか、裏側を知れて楽しかったです。

HさんとSさんが語る編集者のやりがいを聞いていたら、ますます編集者という仕事に対する憧れが増し増しになったインタビューでした(^ ^)

Hさん、Sさん、ご協力ありがとうございました。


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