「文学におけるマニエリスム」グスタフ・ルネ・ホッケ
精神史の洞窟学たるこの文学的マニエリスムの洞窟学は、私たちをしてくり返しある特定の人間タイプに遭遇せしめる。この人間タイプにあっては生命力と知性とが直接に結びつくのである。彼にあってはしばしばもうひとつの、均衡をとる力や能力が欠如している。具体的にいえば、彼には脳髄や心や血が多すぎるか、それともすくなすぎるのである。これらの部分的過剰もしくは欠乏現象に反応するのに、彼はまさしく高度に発展した悟性と力強い情動との核物理学的結合技術をもってする。かくてここからしばしば典型的 な不調和の数々が生じきたるのである。
ベルナルト・フォン・バンフイゼンのつぎの詩句は有名であった、〈Tot tibi sunt dates, Virgo, quot sidera caelo.〉 (かくも多くの空の星があれば、マリアよ、それだけ多く笛の調べがあたえられる)
この詩句は、当時知られていた星の数に照応し て、千二十二回書き換え、新たに組み合わせ直すことができるという。そのために〈ホメーロスの奇蹟〉と称されたのであった。
マニエリスム的に詩作するとは言葉の結合技術にこのうえなく習熟すること、消息に通じた、精神的に断乎たる詩作をおこなうことを意味する。それゆえに詩芸術はボール・ヴァレリーにとっては〈知性の祝祭〉、fete de l'intellectとなる
カール・クロロウ
題〈言葉〉
扉のかげで、窓ごしに、
辛抱強い光の漆喰を塗った
壁にむかって、語られる、
虚構の言葉たちの素朴さ。
母音の、二音綴の、
あるいは三音綴の現実、
大空の謎に分節され、
石のなかの紋理に分節されて。
皮膚の下にひらめきを秘め、
風をたくわえた髯のある
見知らぬ顔たちの秘密を
ささやかれた音の間を縫って暗号解読。
母音、――微塵のような昆虫たち、
虚空の上にすがたなく、
灰となって降り、
マルメロの香りとなって残る。
〈あまりにも明快な言い回しでは〉、とテサウロは書く、〈星が月夜に色褪せるように、明察はその光輝を失う〉。真の詩は暗闇のなかで星のように輝くのである。
わ〜い!😄