本節では、孝についての渋沢栄一先生の考えが述べられています。孔子の教えを引用し、現代の孝は親を養うことだと説きますが、孝行は単に物質的な養育だけではなく、敬意を含むべきだと強調しています。先生は、親が子に孝を強いることは逆効果であり、自身の子どもたちに対しても孝を強要しない方針を持っています。彼は、親の思い通りにならない子どもを不孝と見なすのは間違いであると述べ、自身の父が示した柔軟な姿勢を例に挙げています。父は、栄一が自分の道を行くことを許し、それが孝行への道だと信じていました。栄一はこの教えを受け継ぎ、自身の子どもたちにも同じ態度を取るよう心がけています。彼は、孝行は子どもがするものではなく、親が子どもに孝をさせるものであると結論づけています。