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レノファなスタジアムの話(20)新スタジアムの「5W1H」(レノファ会議を踏まえて)

去る2023年4月23日、山口市小郡のKDDI維新ホール会議室で第2回目の「レノファ会議」が開かれました。
他のクラブにありがちな「サポーターミーティング」、すなわちクラブの方針説明会(と、質疑応答)というよりは、クラブに対する改善アイディアを皆で話し合っていこうという趣旨の会議です。

この中で、「スタジアム」に関するグループワークを行いまして(私も参加しました)、その中でいろいろと感じることがあったので、記事にしたいと思います。
(ちなみに当日、レノファ会議でどんな話があったかについては、私が当日実況ツイートしましたので、Twitterでハッシュタグ #renofakaigi で検索していただけると、いろんな話が見えてくると思います)

スタジアムに関するグループワークに参加された方は私を含めて4名参加したのですが、この時にものすごく感じたのが、参加者の間で「理想のスタジアム」に対するアプローチが多種多様というか、はっきり言っちゃうとバラバラだったんですよね。
今回は、そこら辺について書いていこうと思います。

ビジネスの「5W1H」

よく、ビジネスの進め方で語られる「5W1H」という言葉をご存じの方も多いのではないでしょうか。

  • When(いつ)

  • Where(どこで)

  • Who(だれが)

  • What(なにを)

  • Why(なぜ)

  • How(どのように)

これは多くの人が関わるプロジェクトを進めるときも同じで、プロジェクトの進め方や目的、タイミングが理解されないまま突っ走ると、後からいろんな綻びが生じることが多いよね、なんて思うわけです。
よく「役所仕事は一度走り出したら止まらない」なんて揶揄されるのも、この5W1Hがきちんと周囲に伝わっていない(或いは検証されていない)からなんじゃないか、と思うわけです。
いわゆる「箱物」批判も、造る側・利用する側がその施設の5W1Hについて理解できていないが故の悲劇なのかな、とも思います。

で、この5W1Hを「スタジアムの建設」という所で考えてみると、「What(何をするか)」の部分に関しては「スタジアムを造る」ということで共通項があったとしても、それ以外の4W1Hの要素、特に4W1Hのどれを重要視するかって、実はそれを考える人によっても千差万別なんですよね。

このnoteではここ数回「レノファ版スタつく」といって「Where(どこにつくるか)」に重きを置いたような書き方で進めてきましたけど、今回のレノファ会議で皆さんの話を聞く中で、本当に一番の肝になるのは「Why(なぜスタジアムを造るのか)」の部分ではないか、というのは感じたところです。

スタジアム整備の「Why」

これまで整備されたスタジアムは、行政主導の場合、そのほとんどが「既存施設の老朽化・不適合」を理由としていて、言い方は悪いんですが「しょうがないから建てる(建て替える)」的になってしまっているケースが少なくないんですよね。

スタジアムを造る「目的」の部分が妥協まみれだったりすると、それ以外の「When(いつ造るか)」「Where(どこに造るか)」「How(どうやって造るか)」の部分がブレる、逆に「When」「Where」「How」のせいでスタジアムを造る「目的」が大きくブレる、というのは大いにありうるところです。
そういったことを考えると、こういった行政主導のスタジアム建設に当たって、実際のユーザー(多くの場合はJリーグクラブでしょう)の意見がどのくらい反映できているかは結構微妙だったりします。

防府のスタジアム勉強会については、話を聞く限り「スタジアム・アリーナを軸とした街つくり」を考えているようですが、その場合に「なぜスタジアムを造るのか」という部分に関して、利用者たるクラブ側の意向がどのくらい反映できるのかは不透明な要素がつきまといそうに見えます。

一方で、本当にクラブ側のニーズ(この際、クラブライセンスの不適合は含みません)に基づいてスタジアムが建てられたケースとなると、パナソニックスタジアム吹田ヨドコウ桜スタジアム、広島の新スタジアムぐらいしか思いつきません。

大阪の2例はクラブがスタジアムの整備に主導的な役割を果たしており、クラブがスタジアムを整備して行政に寄付をするという形を取っています。

広島の場合も市の素案に対して、サンフレッチェがスタジアム整備の目的を達成できないとしてこれを拒絶して(広島みなと公園への建設案に対して「本拠地として使う予定がない」ことを明言して)、紆余曲折を経て今の形に落ち着いた、という経緯があります。

いずれの場合も、クラブとサポーターが新スタジアム(専用スタジアム)の必要性を周囲に広めることで、スタジアムの整備に結びつけた、というのがあるんですよね。

岡山の場合は

で、ここに来て、先日レノファが対戦したファジアーノ岡山の北川社長が商工会議所の会合で「新スタジアムの整備の必要性」を述べたことが報じられています。

現在のシティライトスタジアムが収容1万5千人規模(みらスタとほぼ同じ)で諸々の基準を満たしていないことを中心に説明が行われたようです。
実現すればクラブ側のニーズに基づいたスタジアム整備となり期待も高いのでしょうが、市と県の対立で協議が行き詰まっているという話もあり、気運を盛り上げるのにもう一押しといった印象を受けます。

スタジアムを実現させるのに必要なこと

こういった諸々を総じて考えると、スタジアム整備が具体的に前に動き出すには、スタジアム整備の必要性や目的を皆が理解し、その声を広めて共有することが重要なのかな、と思うところです。
そして、その必要性や目的がぶれると、誰もハッピーにならない結末を迎える可能性があるので、そこの部分はしっかりとしたものにしておきたい、というのが私の見立てだったりします。
繰り返しますが、「なぜスタジアムが必要なのか」の共通理解が超重要だと思うのです。

というわけで、今回はここまでにします。

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