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今日は『世界ラジオデー』だというが…

●今日は『世界ラジオデー』だというが、正確には『国連放送』の開局記念日で、そんなに祝う価値はない。
●日本では『国連』という便利な言葉が発明されたが、正確には『連合国』と訳されるべきで、つまりは1945年までの数年間、日本が闘っていた相手で、要は原子爆弾を落とした主体でもある。
●戦後、日本には連合国軍総司令部がおかれ、徹底した軍政のもと、旧体制を『活かしたまま』の占領がおこなわれ、速い話が『こんな国』ができあがった。
●日本では『国連放送』という名前はほとんど知られていない。なぜなら、日本向けの連合国のプロパガンダは『VOA(アメリカの声)』という宣伝機関が担っており、日本の国内放送にもそのまま食い込んでいた。日本のラジオにはかつて『VOA制作』の報道番組がいくつも存在していて、民間放送にとっては結構な収入源でもあった。これは、その後『アメリカ文化センター配給番組』として長らく日本のラジオ業界に生き残る。
●テレビではVOAのかわりに、VOAと同じUSIA(のちにUSIS)傘下にある、いわゆる『アメリカ文化センター』的ないくつかの機関を通じて、アメリカやイギリスのフィルムが『無償で』貸し出されたほか、各局にかつて存在した『海外ニュース』という『ミニ番組』向けに、ニュース素材まで提供された(かつて、海外ニュースは、自社取材以外のものは、一般のニュースと別番組で扱われていたのだ)。日本テレビと讀賣テレビでは、まさに『英語ニュース』が開局から長らく放送されていた。これは日本の放送法では違法の番組であったが、在日米軍人と家族のためのサービスとして代行させられていた。提供は『ナショナル金銭登録機』つまりレジスターの『NCR』社。外国企業の直接提供だったのだ。
●『国連放送』は日本向けには週に一回しかもたった10分間だけ、NYの国連本部から短波で『今週の動き』が細々と放送されていたもので、放送自体は全く影響力のない放送だった。しかし、総会開催時だけは火〜土の放送となり、総会のダイジェストが放送され、この時だけは機能した。実際は短波放送は予算消化的な役割で、仕事の中心は各国メディア向けの素材発信であったようだ。だから通信社みたいな存在だった。●だから、国連放送の開局記念日を『世界ラジオデー』とは笑止千万な話で、なぜにラジオ文化にまるで貢献していない国連放送が持ち上げられなければならないのかわからない。実際、送信はVOAとそのお友達の放送局が任されていた。●こんな地味な放送を、何人が聞いていたのか。

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