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web化の技術は錬金術でも超能力でもない ~期待値調整と価格設定の難しさ

プレゼンのトーク力は激ヨワですが、プレゼンのスライドを作るのは大好きです。

さて。ひとり起業をするにあたって、想像していたよりも多いのが、PC作業。クライアントへの連絡、SNSへの投稿や、講座のテキスト作成などなど。本業(セミナー講師、個人コンサル)とインプットでセミナーに参加している以外は、ほぼPCとにらめっこと言っても過言ではありません。

ここ2年ほどは自力でwordpressの構築にも取り組んでいます。外注する資金がないのもあるけれど、自分で好きなように作りたいという要素も大きいです。

しかしながら、ひとり開業の卵の人達があつまっているビジネス塾では、PCを苦手とする人にたくさん遭遇します。

IT系ビジネスに関わっていたとかいうレベルを求めている訳ではなく(私も普通の営業職ですし)、最近までスマホしか触ったことがないのかもという方もザラにいらっしゃいます。責めている訳ではなくて、それで不都合がなかったのであれば全然大丈夫。

栄養療法の勉強を兼ねて、アルバイトをしていたクリニックでは、パソコンの画面を「ー」で最小化できるということを、1年半教え続けても、すべてを「×」で閉じてしまうスタッフがいましたっけ。

その話は今ではネタにしているのですが、実はそのレベルの方は想像以上に多いのかもしれません。(再度いいますが、それで生活や仕事に支障がなければ全然大丈夫なので、責めている訳ではありません。)

ちなみに、「タブ」という概念も教え続けてもご理解いただくことができず、インターネットブラウザーのタブがすべて「googleカレンダー」になっていて、「うわー、今日もgoogleカレンダービンゴになってるー」ともはやその状況を楽しんだりしていました。

暴露ついでに。請求書は、電卓で消費税計算して、wordで作成。インデントという概念もご存じないので、すべてを半角スペースで調整していらっしゃいました。20世紀のワープロかっ。(これも雇主がその効率を許しているのであれば全然大丈夫なので、責めている訳ではありません。)ちなみに、一人のスタッフに限った話しではありません。各所で勃発しまくっていました。

でも、私が企業でサラリーマンをしていたからといって、パソコンを教えてもらったことがあるかというと、ないんですよねー。すべて見よう見まねとgoogle先生です。もっとできる方も山ほどいたので、世の中で自分がパソコンができるほうだなんて、思ったこともありませんでした。世の中をどう切り取るかですね。

web化のプロセス

ちょっと毒吐きが長くなりました。本題に戻ります。

一口にPCが使えるほうだといっても、それは図で示すと、一番右の青の部分、web化のスキルがあるというだけ。

それ以前に、ひとり起業をするためには、根底となる想い、それを仕事にしていく熱意・覚悟、そしてそれを人に伝えるための言語化・画像化が必要となります。

では、私が自分のHomePageをサクサク作れたかというと、実際に足を引っ張ったのは、web化ではなく、コンテンツでした。コンテンツを系統立てることと言った方がより正確かもしれません。

web化は資金さえゆるせば外注すればいいと思います。さらに、コピーライターや記事ライター、webデザイナーといった職種があるように、言語化も外注することができるかもしれません。

受注側と発注側との期待値調整

私は、自分で、プレゼンスライド、ランディングページ、wordpressを制作しているので、「え?自分で作ったの?」「パソコンが苦手なので、私のも作って~」とお願いされる機会も多いです。

当初は、web制作の受注はやんわりとお断りして、魚をあげるのではなく、魚の釣り方を教えるべく、「ひとり開業のための必要最低限のPC教室 zoom家庭教師」のサービスを提供していました。これは現在も継続中。

本業は脱疲労コンサルトなので、副業・お小遣い稼ぎとして、依頼があった時だけ対応しています。依頼されてのお仕事なので、こちらが募集して申込みを受けるタイプのお仕事とはまた違った感謝のされ方をするのが興味深いです。

なぜ、web制作(ランディングページ、ホームページなど)の受注をやんわりと断っていたかというと、期待値調整の難易度がぐんと上がる気配を感じていたからです。

20年強のサラリーマン生活では、期待値調整こそが信頼だと思って仕事をしていました。スピーディに期待値調整をできることが仕事の精度を上げます。顧客に仕事を依頼されたら、瞬時にざっくりと難易度を説明します。ここの勘は、経験値と分析力です。自分だけの経験だけでなく、同僚の顧客の事例などもケーススタディとして自分の脳のデータベースに蓄積させておきます。しかし、見積もりを間違うこともゼロではないので、その場合は、速やかな訂正とお詫びです。

もったいつけて難しそうにしてみたり、安請け合いしたものの難航する案件だったり、を繰り返すと信頼がなくなっていきます。

企業ドラマでは、無理難題をミラクルに達成するストーリーになりがちですが、リアルの現場では、仕事が出来る・出来ないって期待値調整とイコールではないかと思っています。

web制作の話しに戻ります。

web制作の受注は、こちら側(受注側)は、web化だけと思って請け負ったとしても、フタを開けてみたら、発注者側は言語化・映像化も丸投げになる可能性があります。

事前に充分にすりあわせ、すなわち期待値調整をしているつもりではありますが、パソコンが苦手という方のなかに、無自覚だと思いますが、発注するために必要なコミュニケーション(すなわちこれも言語化)が苦手な方もいらっしゃいます。

採用コンサルの仕事をしていた頃は、求人広告を作成すること=言語化は、ある程度、採用コンサル側で担っていました。取材、ヒアリングを大切にしていましたが、求職者側(要は読者)のニーズを知っているのは、採用企業側ではなく、採用コンサル側です。

取材した材料の中から、求職者の中の、採用ターゲットに響く内容を優先するように求人広告を作成・提案します。最終的には採用企業のOKをいただいてから募集活動に入ります。

もちろん虚偽の内容は書きませんが、どこを削って、どこをどう強調するかについては、かなりの割合で採用コンサル側の意向を信頼してお任せいただくことが多いです。

ひとり開業の場合は、対象(ターゲット)が広かったりするし、受注側が必ずしもターゲット層について理解が深いとは限りません。そもそも、ターゲット設定が不明確だったりグラグラということも頻発します。

採用コンサルの時は、ターゲットに対しての理解が採用コンサル側にあるので、言語化を採用コンサル側が担っても、あまり問題にならないし、もともとそういう期待値だし、報酬もBtoB(ビジネスtoビジネス、企業対企業)なので、受注額の桁が2つ違います。プロジェクトによっては、桁がもう2つ違うこともありました。大きなプロジェクトだと、ライターさんや制作さんがついてチームで動きます。

ひとり開業発注者の最悪の事態


じゃあ、web化もできて、言語化の経験もあるなら、ひとり開業の方のHomePageやLP(ランディングページ)制作なんて、簡単でしょ?って思うでしょ?

ところがどっこい、なのですよ。

対企業、すなわちBtoBではありえない、「やっぱりやめます」「やっぱり変えます」「やっぱり違った」というのが頻発するのが、ひとり開業の方。

受注側が考えるweb化の部分(青の部分)の制作費をご提示してお申込みいただいても、いざフタを開けてみると、言語化(黄色の部分)も担わされてしまうことはザラ。というかほとんどそう。

あー、事前の期待値調整に失敗したなーと思いながら、なんとか言語化も包括してweb化して納品しても、「なんか違う」「やっぱり変える」が頻発します。

その「なんか違う」のレベルがもう、絶句するくらいすごいのです。

色合いや選んだ画像やコピーが違うとかなら、まだ百歩譲って修正したとしても、ヒアリングを重ねていると、そもそものサービス内容さえ、きちんと固まっていないことがほとんどです。ターゲットが定まっていないなんて日常茶飯事です。なんだったら、開業することさえ撤回しかねない時もあります。わたし、ビジネスをしたいんじゃなかった、くらいまで、ふりだしに戻ったりします。

開業したいと言っておきながら、web制作まで発注したのに、わたしのやりたいことってこれじゃない、とか、自分のやりたいことがわからない、とか。ただの自分探しとか自己肯定感の穴埋めの方がそれはもうゴロゴロいます。

web化(青の部分)だけの受注のハズが、言語化(黄色の部分)、覚悟(グレーの部分)と、どんどん図の左まで退行していきます。

結局、発注する段階に至っていないのに、発注しちゃってるんですよね。覚悟がない状態で発注してしまっているのです。何かに焦っているんでしょうね。開業することでそれは埋まるんですかね。

対企業であれば、2桁ほど違うお金が動きますし、組織としての決定があってからの発注です。巻き込む人数も資金も桁が違います。

対企業だとしても、微調整はもちろんありますし、大きな理由で採用計画が中止になったりすることもなくはないですが、ひとり開業のふわふわ感は、組織で複数の人数と桁が2つ以上ちがうお金がかかっている世界とはまったくの異次元なのです。

なんだかwebデザイナーの愚痴みたいになってきましたね。

1プロセスに対するの比重の違い

横軸にすると、web化と言語化って、2倍の労力のように見えますが、実際の労力はピラミッドのほうがイメージに近いかもしれません。

そう考えると、web化だけの費用で受注して、言語化の作業が増えるのは、10倍くらいの負担になり、もはや契約違反とも言えます。それを平気でweb化だけの費用で発注するのがひとり開業の方々です。さらに覚悟の段階まで退行することももはやザラにあります。

そういう予感はなくもなかったので、最初にかなり慎重に期待値調整をして、請け負うのはweb化だけですよ、と釘を刺しているのですが、まったくの無意味でした。まさに、「糠に釘」。大変勉強になりました。

それでも言語化の問題ですめば、もはやかわいいと思えるほどに、ひとり開業の方からの受注はカオスです。言語化もできなければ、覚悟もなく、想いまでもグラグラだったりします。

なので、web化だけの受注のはずが、コピーライター、記事ライター、ビジネスコンサル、マインドコーチを全部させられているかのようです。これ、全部依頼したら、総額いくらになるかわかっているんですかね? それがひとり開業の方のふわふわワールドなのです。

web化は錬金術でも超能力でもない

どれだけセラピーやマッサージやカウンセリングの才能があったとしても、最初の一人のお客様からネズミ講式にずっと口コミでお客様が増えていかない限り、自分のビジネスを他人に、未来のお客様に伝える必要が生じます。

他人に伝えるためには言語化が必須となります。想いを岩石とするならば、言語化は砂金くらいでしょうか。web化が金の延棒。

岩石のままだと、他人から見たら岩石です。でも、その中に金が眠っているのであれば、砕いて、砂金を取り出して、流通できるカタチ、金の延棒にしないと、他人からは見てもらえないし、理解してもらえないのです。

岩石のまま、「私、ホントは金の延棒なんです」って、じとーーーっと待っていても、誰が信じるでしょうか? シンデレラだって、ドレスに着替えて舞踏会に行ったから王子様の目に止まったのであって、灰かぶりのまま王子様に発掘された訳ではないのです。

自分は岩石のままで、「私を金の延棒として理解して」というわかってちゃんに対しては、私は超能力者でも錬金術士でもないので、ご自身で砂金化してください、と心の中で祈っています。

期待値調整の限界

もはや、生きてきた世界が違いすぎるので、期待値調整という範囲では解決しそうにありません。

生きてきた世界が近くても、ひとり開業となった途端、ふわふわしだす人違いもいます。

私も会社を辞めて半年くらいはふわふわ期がありました。なので、ふわふわを責めたい訳ではありません。誰もが一度はとおる道だと思った方がいいかもしれません。

じゃあ、現実問題としてどうするか。価格を言語化込みの前提で思いっきり改定するか、時間でバッサリ終了するか。こちら側のバウンダリー(境界線)をきちんと整備していくしかありません。

web制作の受注は、PC教室とは全然異質の難しさがあります。ここに価格差が生じるのは致し方ないことだと思います。

web化ができて、言語化の経験があっても、単純にweb制作を請け負えるわけではありません。今まではそれをなんとなく肌で感じていたので、やんわり断っていたのですが、わたしもこの違いを言語化できていなかったということです。

諸事情があり、短期的に数件のweb制作を受注することになりましたが、実に多くのことを学びました。

今後、PC教室だけに戻すか、バウンダリー(境界線)を強化してweb制作の受注を続けるかは要検討です。

言語化はibマッピングでお手伝いできます

web化の価格だけで言語化まで請け負うことになってしまったので、負担が10倍くらいになってしまって、おかしなことになってしまいましたが、要はweb化と言語化を分離すればいいだけのこと。

言語化を請け負う、代行することはできないですが、言語化をお手伝いすることはできます。ご興味のある方は、「ibマッピング」のセッションをぜひご検討くださいませ。


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