離れてから
安全基地の続き。
今年の春、本を返した。
本を借りて1年経ってようやく読み終えた。
数十冊あった。ちゃんと全て読んだ。
面白かった。1冊ずつ感想を述べたかったけど
そこまでの余裕はなかった。
本を梱包しながら、
本を返したいような返したくないような。
そんな気持ちだった。
本を返せば関係性は終わるのかなあと。
もうダメなのかななんて思っていた。
でも、終わりはしなかった。
未だになんだかんだ続いている。
去年の春夏は割と連絡をとっていた。
でも、去年の秋頃から、今年の春くらいまで。
連絡は月に1回くらいになった。
返事が遅くなり、きっと忙しいのかなと思っていた日々。
でも、ある日同期に彼の話をしてみると、
同期にはすぐ連絡を返していたのに、私には全く返していないことを知った。
怖くなって、苦しくなった。
そして申し訳なくなった。もう迷惑はかけられない。うざったいと思わせたくない。負担になりたくない。
そして、自分は相手から離れて、自分でどうにかして前に進まなきゃいけないと思った。
最終的に、今年の春頃からLINEもほとんどせず、
時々、話したいなあと思った時にポロッと連絡をとるようにした。
そしたらすぐに返してくれるようになった。
それがとても楽しかったし、嬉しかった。
そんな彼には知らぬ間にパートナーがいたらしい。ついこの間までぽろっとしていた連絡も。
私からはもうできない。
私の存在でパートナーに嫌な思いはさせたくない。
そのパートナーは私のことを知っているらしく、私の存在を気にしているようだ。
大変申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
私の事なんか気にせずに幸せに過ごして欲しい。
相手に大切にされてほしい。
素敵な日々を送って欲しい。
そう思っている。
彼もパートナーも幸せならそれでいい。
笑顔で健康でいてくれれば。本当に。
ただ、そう思いながら、自分の気持ちと向き合ってみると、本当は彼に大切にされたかった気持ちがある。
大切にされたかった。
別の同期には、彼との関係は切った方がいい。
あなたは都合よく振り回されているだけだからと言われる。
それでもいい。都合が良くても、それでもいいから、大切にされたい。
わからなくなってきて、整理がつかない。
あの1ヶ月を未だに忘れられない。
大切にされたと思った1ヶ月。
はじめての感覚だった。
彼に大切にされたと思ったとき、
この人とこのまま仲良くできたら、関われたら、自分のことも大切にできるんじゃないかって。
思った。
人生でこんな思いをしたことがなかったし、
自発的にそう考えることもはじめてだった。
未だに私はその思い出に縋っている。
縋りたくないけれど。縋っている。
優しくて苦しくなかった環境に。
周りの友人じゃ埋められない、なにかが彼にはあるのだろうか。
周りの人は本当に優しいのに。助けてくれるのに。
どうして彼に縋ってしまうのだろうか。
私は恋愛なんてする資格も、人を選ぶ資格もないくせに。
彼とまた、何気ない会話をして遊んで、
作業して、ゆるゆるとしたおだやかな日々を過ごしたい。平和に。
でもそれはもう帰ってこない。
私はいつまで彼の友達であれるのだろうか。
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