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アフリカの不思議

イエメン生活も3ヶ月となり、日本に一時帰国することとなった。道中、アフリカの不思議に何度か遭遇したので記したい。


宿を出発する10分前、最後のパッキングをしていると、急にスーダン人が私の部屋に入ってきて聞く。

「今、何キロだ?」
「?」
「荷物だよ荷物。」
イエメンから出国するに当たり、MSF flightという国境なき医師団専用の小型機に乗る。その際、荷物は計25kg以下という厳密な決まりがあるのだ。

「20kgだけど‥」
「そしたら、5kg分俺に貸してくれ!」

返事も待たずに、唖然としている私の目の前で、スーツケースの隙間にお土産のコーヒー豆を詰め込んでゆく。日本人のスーツケースは整理整頓されているなとか何とか言いながら。
‥なんという図々しさ。ただ、確かに私は特に損をしていない。そして、彼の憎めないところは飛行機を降りた後、「荷物を持ってくれてありがとう」とコーヒー豆を半分くれたことだ。


安かったのでエチオピア航空の飛行機に乗ってみた。それでも日本ーイエメン間は往復30万するのだ。

出発時、滑走路に物が落ちているからと出発が45分遅れた時、私は詰んだ‥と思った。なぜなら、次の空港での乗り換えにどう考えても間に合わないからだ。
食べカスが残っている汚い機内、CAさんの雑な対応。更に45分も遅れてエチオピア航空は最悪だと心の中で悪態を付いた。

しかし、驚いたことに到着地には予定通りの時間に着いた。パイロットが45分巻いたのだ。JALだったら綺麗な機内、行き届いたサービス、でも出発が45分遅れたら到着も45分遅れただろう。快適さには乏しいが、彼らの方が飛行機も交通手段であるという本質をついている気がした。


アディスアベマ空港のセキュリティーチェックは忙しない。自分の手荷物の準備を終えた順にセキュリティーゲートをくぐるので、皆、我先にカゴを取り手荷物を載せてゆく。ぼやぼやしていると後ろの人にどんどん抜かされる。しかも靴を脱いで靴下でくぐらなければならない。もちろんスリッパなんて気の利いた代物はない。

私の後にいた、アフリカ系ビジネスマンはすごい勢いでPCを出して手荷物を整えたかと思うと最後に革靴をカゴに投げ込んで悠然と靴下でセキュリティーゲートをくぐって行った。私もこれ以上抜かされてはたまらないと思い、猛然と準備しゲートをくぐった。周りを見ると皆そんな調子だから、すごい人数だが回転の早いこと早いこと。

それに引き換え、仁川でのセキュリティーチェックは待つこと待つこと。皆、きれいに整列して待っているのだが、前の人の手荷物の準備が終わらないと次の人も用意できないので、列が一向に進まない。大した人数でもないのに小一時間並び、隣にいたアフリカ人は「韓国人はクレイジーだ。」と憤慨していた。


日本に近づくにつれ、清潔になってゆくトイレと上がる民度。一方で何か少し不便になっていく感じがしたのは私だけだろうか。

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