見出し画像

【読書記録】ザ・ダークパターン ユーザーの心や行動をあざむくデザイン

Webサイトの欺瞞的な誘導やデザインについて、数々の事例を対象に論文や研究結果などから引用しつつその影響力を考察している一冊です。

みなさまもオンラインショッピングなどで、「セール終了まであと03:22:17」などといった切迫感を煽るような文言(アージェンシー)をご覧になったり、特定のセール商品を購入した際に、意図しなく別の商品も自動的にカゴに追加されているような(スニーキング)体験をしたことがおありだと思います。
そうしたユーザの認知や心理の隙間を突いて購入を促す手段を総称してダークパターンと呼び、最近注目を集めております。

私も、自分がデータ分析などでサイトのアクセス分析などを行なっていると、そうしたデザインが短期的には効果を発揮するものの、長期的にはブランドイメージを毀損し、チャーンレート(ユーザの離脱率)を結果的には高めることに繋がってしまっているのではないかと肌感では感じています。
そうしたコンバージョンファーストの施策は、部分最適を目指すあまり有効なKPIを設定できていないために起こると考えており、本書中でも例に挙げているNetflixやAirbnbのような、例えば一定期間利用していないユーザに対しては自動的に契約を解除したりするようなカスタマーファーストの施策をとった方が、長期的には総合的な企業価値の増加とユーザに対して価値を届ける施策として活きるのではないかと思います。

そうした視野狭窄に陥らないためにも、本書ではノーススターメトリックを指標とする考え方を提言しています。ビジネスの売上の伸びが顧客価値提供を上回ってしまい持続可能性を失わないようにするためにも、見失うべきではない指標を簡潔な指標で表す考え方を北極星になぞらえて表現したものです。
端的には会社のミッションを数値化した指標といえるもので、例えば先ほど例に挙げたNetflixでは「一ヶ月あたりの動画総視聴時間の中央値」Airbnbでは「宿泊予約数」といった数値です。

私個人としましては、往年の名著「影響力の武器」のような、人に影響を及ぼす文言や表現の仕方を包括的にまとめた書籍をそれ以降に読んだ経験がなく、現代人にとって最も身近となっているUI・UXの観点から人に及ぼす影響をまとめた本書は、新たに「影響力の武器」を刷新するような位置付けに相当しているのではないかと、UI・UXにとどまらない広い意味でも有用な書籍となっている感想を抱きました。


データ基盤開発・分析・ダッシュボード構築等の受託・業務委託のご依頼を承っております。 DataMarketではデータの利用シーンに応じて適切な知識や技術をご提供・ご提案し、企業の問題を解決いたします。 🏙 https://datamarket.co.jp