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蔵元日記vol.495【新生獺祭続き】

前回の蔵元日記・新生獺祭編を読んだ方からメールをいただきました。「昔の滋味のある酒は、磨きが80とか70だったということでしょうか。その旨み?を取り入れた新生二割三分、どんなお味・香りか?気になりました!」というものです。ありがとうございます。ぜひ、試してみてやってください。

ところで、僕が思っている「太古の酒」というのはもう少し古いものなんですね。室町時代には今の酒造りの基本的技法を確立していました。その頃の「酒」の精米歩合は限りなく玄米に近いか少なくとも90%以上だったと思います。しかし、すでに商業化に向けて「酒」の技術は走り始めていて、江戸時代に杜氏制度とそれと不可分な技法である寒造り(冬場しか造らない)技術が確立されることにより一つの頂点を達成します。

つまり、私たちが知っている酒というものはどんなに自然技法といってる酒でも蔵元の経営安定化に向けて技術開発された商業技術の申し子という点からは逃れられないのです。その意味では、私たちは現代の技術革新の狭間の中で「太古の酒」の良さを、憧れを持って見つめながら、それでもより良いものにしていこうとすることしか許されていないのです。(少なくとも旭酒造にとっては)

ということで新生獺祭、最初の頃、「このお酒はいろんなお酒の中で他のお酒に脇目も振らず、この新生獺祭だけ飲んでほしいんじゃない、毎日少しづつ、できたら60mlぐらい飲んでほしい」といっていました。しかし、これは間違っていました。というよりこれでは美味しく飲み続けられないのです。

敬愛する虎ノ門の社長からこんな意見をいただきました。「言われたとおり毎日少しづつ飲んでいたら、だんだん薬みたいに思えてきて美味くなくなるんだよ!」とのこと。そりゃその通りですよね。それと、すでにそのビンはキャップを開けてるわけですから、いくら冷蔵庫に入れてもらっていても酒の酸化が進んでしまいます。

ということで、言い方を変えます。「時には新生獺祭を飲んでください」「そしてできたら開栓した新生獺祭のボトルは古くなって酸化する前に一週間以内には飲みきってください。そしてその後はいろんな他のお酒や美味しいものを楽しんでください」「そしてまた2~3週間に一度ぐらいは新生獺祭を思い出してください」

獺祭は皆様方の幸せとともにありたいと思います。

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