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蔵元日記vol.493【獺祭BARオープン】

2013年に東京・京橋に開店した獺祭Bar、所期の目的を達成したからと一旦閉店しておりましたが、装いを変更して東京駅丸の内側の新丸ビル7Fにて10/1の17:00よりオープンいたします。(営業時間17:00~24:00)

この店は本来6/23にオープン予定でした事からお分かりのように、東京オリンピックで来日する外国人観光客に獺祭というか日本の魅力をアピールしようとして企画したものです。ところがご存知の通りコロナウイルスの感染爆発によりオリンピックは延期となり、このBarの計画もいったん日延べいたしましたが、外国人メインから国内のお客さんを主たる対象に変えて開店を決定したものです。

その中にはこんな思いが有りました。

今現在、飲食店にははっきり逆風が吹いています。一部の三密業態の飲食店での感染爆発が一般のレストランや居酒屋全体に影響を及ぼして、今月に入っても飲食店さん向けのお酒屋さんの売上を聞いてみると、良いところで前年の7割、普通で5割程度がせいぜいという状況です。

飲食店さんは青息吐息。私たちも飲食店さんに対しては、本当に立ちいかなくなったら無用に頑張らず閉店する道を選んでほしい。再度やり直す時も来ると思います。変に頑張って経営者個人も家族も立ち直れないような傷を負う・路頭に迷うような事だけは避けてほしいと言っています。冷たいようだけどこれが現実なんです。

「だからこそ開こう」と思いました。こんな時期だからこそ新しい日本酒の魅力に皆様に触れて頂きたいと思ったのです。人間は個では生きていけない動物です。正しく警戒してゆっくりとでも経済を進めていく。これが大事だと思ったからです。

また、店も皆様に驚きとともに楽しんで頂けるものと自信を持っています。設計を担当していただいた東大始まって以来最年少で建築の准教授に就任された川添先生と話すうち(と、言ってもただ集まっては酒を飲み倒していただけなんですが)、「酒蔵のある山口の情景をお客様に感じてもらいたい」という今回の獺祭BARのコンセプトにたどり着きました。

前回の獺祭Barは、ともすれば安い方へ安い方へと行こうとする日本酒業界の流れに一石を投じるつもりで、獺祭をお洒落で洗練されたお酒として見てもらえる店を目指しました。相変わらず貧乏臭いところはこの業界から抜けませんが、それでもこの一石は理解していただいたと思います。東京の繁華街に獺祭と似たような目的の飲食店を出す酒蔵も現れました。

そんなことで今回のこの店は「豪華」とか「肩ひじを張った」方向から少し向きを変えて、さらっと新しい驚きと共に獺祭を楽しんで頂ける店です。

店は極力照明を落としています。そして、川添先生いわく「僕史上最少の建築です」と言われる「光るグラス」が人と共に店内を移動することにより、人が主役として浮き上がるようになっています。

そのほか、いくつかこだわりというか仕掛けもあります。スタイリッシュなものから、「えっ、そうなの」というような小さな驚きとか。探していただくのも一興と思います。

また、少しは椅子席もありますが基本的に立ち飲みスタイルですから、長時間のお客様の滞在は辛いかもしれません。ぜひ、うちの店に寄った後は東京の夜をバーホッピングで楽しんでください。三密を避けて。

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