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蔵元日記vol.494【新生獺祭】

最近の新生獺祭シリーズの「磨き二割三分」と「45」、どちらも酒としての仕上がりに自信があります。まず、きれいな香りとともに入ってきますが、口の中での味わいは何層かの複雑性にあふれていて、皆様をきっと魅了すると思います。

このお酒は、最初は築地の国立がんセンターの研究部長として在籍しておられて現在は東京医科大学の教授として研究に携わっておられる落谷先生の示唆で始まりました。(最近コロナ重症化を判別する血液中のエクソソームの発見で日経にも取り上げられていましたね)

酒は百薬の長と称されるけど、技術の発展とともにそこから遠くなってきた。だからと言って、現代の日本酒が手に入れた「飲み物としての美味しさ」を手放す気は無いけれど、その中で古来からの発酵の力を獺祭に取り戻せないか?

そんな思いでこの「新生獺祭」の開発が始まったのです。「こんな酒を世に出すことが酒蔵の良心」との思いから、中身も説明できないし、したがって売れるか売れないかもはっきりしない、にもかかわらず、世に出したのがこの酒です。

しかし、最初の頃の酒としての仕上がりは、満足できるものではありませんでした。この「新生獺祭」は「新生甘酒」とも共通していますが、酒の発酵中に生まれる様々な変化に着目し造られています。しかし、どうしてもそちらに力点が行ってしまうため、バランスを取るのが難しかったのです。

特に最近の通常の「獺祭」が本当にバランスよくまとまっているがゆえに、よけい粗さが見えてしまっていました。初期の「新生獺祭」は、すうっと最初にきれいに上立ち香が入ってきて口中の印象も初期段階では非常にきれいでしたから反対に中盤から見える粗さが苦味やエグ味のように感じられてまとまりを壊していたのです。

製造からすれば「これだけのものを造っているのに、これ以上どうするというんだ?」と思っていたと思います。しかし、「空気を読まない」会長が担当スタッフに何度もダメ出しをしたんです。結果として彼らはこの粗さを洗練された複雑味に昇華させたのです。

やっと、何とか及第点にたどり着いた「新生獺祭磨き二割三分」と「新生獺祭45」、どちらも自信あります。ぜひ、試してやってください。お酒の苦手な方は「新生甘酒」をどうぞ。

【大竹まことのゴールデンラジオ】
ところで先日、文化放送の番組で10月12日の「大竹まことのゴールデンラジオ」に出演してきました。

不謹慎にも最近思うんですが、私がタレント業だったらこのコロナ禍ははっきりプラスで、テレ東さんはじめいろんなマスコミ媒体からお声がかかることが増えました。共にこの苦境下で苦闘しているビジネスマンの皆さんに少しでもエールが送れたらと思い、可能な限りうけるようにしています。そんな中で文化放送の三木会長のお声がかかり出演することになりました。

大竹さんって方はあの直截さが魅力で、よく「ビートたけしのTVタックル」なんかに暴言キャラが売りの貴重なバイプレーヤーとして出演していますね。約一時間の出演でしたが笑いっぱなしの一時間でした。

例えば、「それって、結局、その頃のあんたん所の酒ってうまくなかったってこと?」「売れなかったってそういうことだよな」なんて、ふつう番組の中でゲストに聞かないでしょ。こっちはタレントじゃなくて一般人なんだから。でもこっちも思わず釣り込まれて「あはは、その通り」なんて答えていました。

ラジコかなんかで過去の番組も聞けるのならぜひ探して聞いてやってください。

ところで、スタジオを出たところでビックリ。獺祭二割三分の小瓶を持って小柄な紳士が「ボトルにサインして」とロビーに立ってるんです。よく見るとあの経済評論家の森永卓郎さん。「これ、反対だよね。こっちがサインをほしいくらいだけど」と思いながらサインさせてもらいました。ちょっと、「エッヘン」

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