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真樹哲也『ルポ外国人マフィア 勃興する新たな犯罪集団』感想

※2022年9月執筆。

前回読んだ、草下シンヤ氏と懲役太郎氏の共著で言及されていた本で、外国人マフィアのこと知りたいな〜と思ったので読んでみた。が、外国人マフィアより、著者のヤバさのほうが圧倒的に気になってしまった。
外国人グループは、警戒心が強い集団と分かっていながら、大して策を練らずに突撃取材をかましているし、やっと応じてくれた相手に対しても「いきなりそれ訊く?」という質問(確かに読者が一番気になるところではあるのだが)を単刀直入にぶちかましており、何度も取材相手を怒らせたり顰蹙を買ったりしている。つまり、まあまあ取材に失敗している。

ネパール人に金槌で殴られそうになった辺りから、完全に著者モクで読み進めてしまっていた。ナイジェリア人が働くぼったくりバーに潜入した際も、もっとやりようはあるだろうに、酔っ払ってカラオケで熱唱した挙句、「なるようになればいいという心境にな」ってしまい、強い酒とそこに混ぜられた薬物の影響で、1週間も寝込んでしまう。
そもそも翌日朝から仕事の用事があったにも拘らず、たまたま客引きに誘われたからという理由でぼったくりバーに行ってしまうのがやばい。

その次のフィリピン人編では、フィリピンパブ経由で不良グループとの接触を試みる。嫌な予感がヒシヒシ感じられる。
日本人客や、日本人オーナー相手には何とか粘ったものの、フィリピン人ホステスの子に対する態度が酷い。ずっと指名していたフィリピン人ホステスの女の子、ソフィアにようやく取材まで漕ぎつけるも、あらかた取材をし終えて用済みと看做した途端、ソフィアが居る目の前で、別のホステスを指名してしまう。怒った彼女に「フィリピン人のこと、何も分かってない。日本人、嫌い」と殴られそうになる。

取材相手と仲良くなる必要は全く無いが、それでも必要最低限敬意を持って接するべきだと思う。この場合はただ、この店に通うのをやめて別の店に移ればよかっただけだ。散々利用するだけして、用済みになったら相手の気持ちを慮らずポイ捨て、というのは、フィリピン人じゃなくても頭に来る。
日本人に対して嫌悪感を持っている集団を相手にしているので普通より困難が多いのだろうが、本著の帯に書かれているような「体当たり」取材になったのは著者の性格が多分に関係していると思われてならない。

とは言え、これらは悪口では無く、語弊があるが悪趣味なブラックユーモアのようで面白かった。著者のことは全く何も知らなかったが、久々の当たりである。
ライター業は以前から行なっているようだが、身の危険を感じたため「真樹哲也」は新しい筆名なのだそう。他の本も読みたいのに。ツイッターのbio欄に「自分では頑張っているつもりですが、失敗をして怒られることがあります。」と書いてあってよかった。死なない程度に、今後も今のスタイルを変えず失敗し続けて欲しい。

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