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ケルト的? 〜ブルターニュ

 ジョゼフ=ギイ・ロパルツ(1864/6/15 - 1955/11/22)、最初に聴いたのが交響曲第三番(1905)、ミシェル・プラッソン指揮トゥルーズ・キャピトル管弦楽団と四人のソリスト及びオルフェオン・ドノスティアラによる。直ちに魅了されました。マニャールの交響曲第四番に馴染むのに時間がかかったのとは対照的でスッと入ってきました。師フランクを思わせる三楽章構成でしかも中間楽章がスケルツォを挟んだ緩徐楽章。最後に主題が回帰するのも予想通り。ただし全編歌付き、歌詞は詩人でもあった自身の、理想主義的なもの。音楽が私にとってとにかく唯一無二、こんなものは聴いた事がないと思いました。ドイツでもないフランスでもない、イギリス?ヴォーン=ウィリアムズっよりは軽やかか? 不当に忘れられている音楽がまだまだあるんだと強く意識させてもらいました。

 ブルターニュ出身、長きにわたってアルザス=ロレーヌ地方で音楽教育(1894-1919 ナンシー音楽院院長、1919-29 ストラスブール音楽院院長)に携わり、1929年から故郷に隠居したそうです。多数の作品を残しており、五曲の交響曲、魅力的なオーケストラ曲、六曲の弦楽四重奏曲をはじめとした室内楽曲、ピアノ曲、宗教音楽、唯一のオペラ「故郷」など愛聴しております。
 後に今は亡きレーベルTimpaniからロパルツの交響曲全集がリリース、有終の美を飾ったジャン=イヴ・オッソンス指揮の交響曲第三番のライナーノーツによれば、この曲は当時のフランス社会を二分していたドレフュス事件と深い関わりがあるとの事で頷けました。こちらの演奏はより早目のテンポでより重心が軽く、全曲ではプラッソン盤の55分台に対し47分台、爽やかに感じます。

 次に聴くことができたのがチェロソナタ第一番ト短調(1904)と第二番イ短調(1918-9)。第一番の第1楽章から痺れます。真っ向から始まるテーマ、終わり方もかっこいい。第2楽章は7/4拍子!のコラール風に始まり中間に6/4拍子ののピチカートの踊りを挟む(フランキスト!)。第3楽章は5/4拍子!で期待通り循環形式、快活に締めくる。第二番は対照激しい二つの主題で振幅の激しい第1楽章、瞑想的な第2楽章、第3楽章は3/4拍子と2/4拍子が交錯するブルターニュ風の踊りに始まりやはり循環形式で明るく終わります。二点目の「ケルト音楽」的要素、それは変拍子だと思います。ゆっくりな曲調もありますが、踊りのような速い曲がより特徴的かもしれません。
 その後Timpaniを中心に多数の知られざる傑作がリリースされロパルツ・ルネッサンスとでも言えそうな状況となりました。ヴァイオリンソナタ第一番(1907)の第3楽章、

これも2/4拍子と3/4拍子の交錯、まさしくケルトっぽいって思ってもらえれば幸いです。

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