フリー小説【タイトル:恋文】

この時代に手紙で告白されるとは思わなかった。
メッセージで気持ちを伝えてくることが多い中、君は変わっていた。
私の前に来て、
「受け取ってください。僕の気持ちです」
と頭を下げて渡してきた。私はドキドキしながら受け取り、
「ありがとう」
と返した。君は私の顔を見て赤らめながら微笑んだ。

私は自分の部屋に入るなり、ベッドにうつ伏せになり、足をばたばたさせた。
君からもらった手紙を広げ、君が綴った気持ちに触れた。

「この手紙を読んでくれてありがとう。君の前では気持ちを伝えられないと思い手紙にしました。重いと思ったらごめんなさい。気軽にメッセージの方がよかったかな・・・。気持ちを伝えるって怖いです。今、手が震えています。君と出会ったのは雨が降る春冷えの時でした。桜が散って行くのを一緒に見た気がします。君は傘がない僕に予備の傘を貸してくれました。僕がありがとうと言うと君は風邪ひかないようにねと言って手を振ってくれました。その時、僕が恋に落ちた瞬間でした。次の日、乾かして傘を返すと、君は微笑んで風邪ひかなかったみたいだね。よかったよーと言ってハニカミながら受け取りました。僕は渡すとき、手が震えていました。バレないようにするのが大変でした。もしかしたらバレてたかもしれません。その後もちょくちょくと一緒に帰ることがありましたね。帰るのが一緒の方向で神様に感謝してました。些細な出来事から君の事が好きになり、どうしたら気持ちを伝えられるか考えました。僕は臆病です。もしかしたら断られるかもしれないと思って怖くなりました。なので手紙で失礼します。
君のことが好きです。君の笑顔が好きです。君の優しい心が好きです。この気持ちが届くといいな」

そう締めくくってあった。
私は顔を赤らめながら枕越しに叫んでいた。
明日、君に伝えよう。
私の気持ちを。

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