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#ダースレイダー の音楽話 #48 幻のリンゴと三つのオレンジ

Apple & The Three Oranges “Free & Easy"


全くの無名のファンクバンドの70年代初頭の活動を集めた盤。
エドワード・アップル・ネルソンというドラマーがリーダーで、特に乾いた響きのスネアが聴かせる。
カカン!
今でも踊れるベースラインがグイングイン。
猥雑で雑多な、LAの街頭の雰囲気のような三つのオレンジのコーラスとホーンが行き交う中をギターカッティングがサクサクと進む。
で、それで十分で、流してれば70年代の埃が舞う路からちょっと入ったとこにあるボロいライブハウスに出かけることが出来る。
彼らはそこで演奏していて、明日には他のバンドがやっているだろう。
そこで演奏される音は、しかし、確かに彼らが今鳴らしたいと思ってる音である。
この作品に収録されている曲だけを残したアップルの人生の物語はその後も色々あっただろうが(刑務所にも入ったみたい)、50年経った時に日本で彼の曲が聴かれているということに、例えば稼ぎが少ないならば辞めろと言った言説の、その先を見せてくれる力強いリズムがある。


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