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#ダースの音楽話 #42 このアルバムさえ聴けば、ベッドを抜け出して夜を泳げるんだ。

R.E.M. 『Automatic for The People』(1992)

聴くだけで泣いてしまうようなアルバムがある。
もう何度目か分からない。
もう分かっているはずなのに、それでも何故か感極まってしまうのだ。
1曲目の"Drive"でティックトックと聴こえてくるだけで胸が熱くなる。
その後のベイビーと声を落として歌うところでトドメだ。息をしないように身を固め、その後大きく吐き出して、誰だって、そう、誰だって傷つくんだ。
だから諦めないで。
おい、信じられるかい? あいつら月に人を送ったんだぜ! イエ~!
だからさ……
ここでとてつもなく綺麗なピアノが鳴り始めて、僕はベッドを抜け出して夜を泳ぎ始める。
入院中の小さい、白い、硬いベッドを抜け出して。
月にだって行ける気がするんだ、今夜だけは。
僕の後を淡い、優しさが付いてきてくれる。


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