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#ダースレイダー の音楽話 #29 真っ白なビートルズの世界に広がる色鮮やかな音たち

The Beatles 『The Beatles』(1968)


通称ホワイト・アルバム。
振り返れば入院中一番聴いていたのがこれだ。
ただひたすら吐き続けて何もすることがないまま横向きに寝ている日々。
小さなピンクのiPodで繰り返し繰り返しこのアルバムを聴いていた。
僕の中のPrudence、出ておいで。一緒に遊ぼうよ。I'm so tired……もう疲れてしまったよ。
夜、眠る前にはリンゴが優しく語りかけてくれる。Good night, sleep tight。
音を隅から隅まで味わった。
ドラムの一音、ピアノ、ギターの弦の擦れる音まで耳に入ってくる。
ちょっとづつ力を貰って、僕は飛ぶことを覚えようとしていた。
今、僕の娘がこのピンクのiPodを使っている。
そして、ジェフ・エメリックの「ザ・ビートルズ サウンド 最後の真実」を読んでからはモノラルバージョンの物凄さにも気づいた。40周年記念BOXセットに収まっているモノバージョンで再び彼らの真っ白なキャンバスに広がる音の色鮮やかさにやられてしまう。



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