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【影響を受けたアーティスト | DAY4】

このところ事務員なつきからの打ち込み職人ナツキからの事務員なつき、
と慌ただしく奮闘しておりましたので、しばらく間が空いてしまいました 【影響を受けたアーティストの音盤を紹介するコーナー DAY4】です。

今回ご紹介する盤はコチラ

Dreams Of Reason Produce Monsters | Mick Karn
Release date : 1987 Virgin

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DAY2、DAY3と、JAPANメンバー各人のソロ/ユニット作が続きましたので大トリ的な感じですね。

MICK KARNさん。旧イギリス領のキプロス島の首都ニコシア出身のギリシャ人。幼少期に家族とともに英国に渡り、ロンドン南部のCatford Boysという私立の男子校で後にジャパンのメンバーとなる、David Sylvian, Steve Jansenの兄弟と出会います。。。

という訳で、本章を書く前に、この本を読みました。

「ミック・カーン自伝」| リットーミュージック(2011.7.25)

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予約して発売日早々に入手していたものの、本文P517 の超大作。
JAPAN解散の原因は人間関係、なのは中学時代から知ってはいたので、本書もそのあたりのところに当然触れているであろう、と思うと、制作作業に追われている間に片手間で読むというシチュエーションは考えづらく、この機会にじっくりと本書と向き合った訳です。で、読んだ感想ですが、

JAPANというバンドの私的に好きな部分というのが、ことごとく、この方が持っている/感じている部分であり、私の解釈の仕方=この方の解釈でもあるという事実がわかって、実にどっしりとしたものを受け取っています。

例えば私が常日頃から言っている「JAPANは黒人音楽をルーツを持つ、White Funkだから」という解釈の裏付け(KARN氏自らがファンクやジャズのリズムに興味を持っていた事を明記している)が成されていたり、彼等にニューヨークドールズからの影響があるのは知ってるけど、今ひとつ私自身はその事がしっくりきていない、と思っていたら、KARN氏自体も、ドールズからの影響はあまり良く思っていなかった(!)とか。

フレットレスベース奏者という事で、やはりジャコ・パストリアスと比較される事が多かったようだけれど、本人はジャコパスにはあまり関心がなかった、という記述には、私「わかるーーーー!」と大きく頷いた(笑)。

本書に書かれている詳細な出来事は初めて知らされる事ばかりだけれど、音だけで正確にわかることってあるんだなと「あ、自分、結構(彼等の音を)正確に掴んでたんだな」とあらためて感じた次第。


私は特に<バンドの音楽>が大好きで、聴いたりつくったりしていると、呼吸・タイミング・フレージング・音色が全てが完全にマッチする<どうにも代えが効かない抜群の相性のメンバーの組み合わせ>って、やっぱり存在するのですね。それこそがソロ作にはないバンドの魅力で、ジャパンはまさしくその <バンドの魅力が炸裂するバンド> で、そういうBand of Band的なバンドは、誰一人欠けても成立しないから、できるだけ長く、仲良く活動を続けて欲しいと願うと同時に、そういう強力な相性のバンド 〜 多くが兄弟だったり古い友達同士だったりというオーガニックな集まりから生まれたバンドだったりすると、尚更、<バンドが大きくなるその時に誰が周りにいるか> が、バンドが続くか壊れるかの別れ目だったりするのですね。私自身もバンドや色々なプロジェクトに関わったり、楽しい事も悲しい事も、様々思いを抱えたり、仕事柄、いろんなバンドさんの内情を結構近い距離で拝見していたり、してきたので、吐露されたKARN氏の心情や置かれた状況にはシンパシーを感じて非常に切なかったです。

悲しい話ばかりでなく、微笑ましいエピソードも色々。あまり書くとネタバラシになるので控えますが、エアースタジオで「ブリキの太鼓」の制作中、<ポールマッカートニーが扉の向こうでミックのベース演奏を盗み聴きしてた(!)>という話はすごく微笑ましく、かつ「あれだけの個性のあるベーシストだから、ポールも一目置いていたんだなー、やっぱりなー」と感じた好きな記述です。


さてDAY4の推しアルバムは氏の2作目のソロ作品。1作目の『Titles』も大好きなのでどちらにするかとても迷いましたが、アルバムとしての作品の統一感が素晴らしいのと、仲違いから年月を経てのSylvianとの共演というのは発売前から泣けたのですよ、ファンとしては。Sylvianの参加作品2曲とも抜群に名曲&抜群なコンビネーション。かつ他のインスト曲も情緒的な旋律の良曲ばかりで、90年頭ぐらいにドキュメンタリーなどでの使用でインスト作品がもてはやされるシーンがあったような記憶があるのですが(?)、今あらためて本作を聴くと、その先駆けとも言えるような作品でもありますね(早すぎたんだなー、きっと)。曲順にも物語性が感じられて、非常に流れが美しくて聴きやすい。他にもこのアルバムでは裏ジャケットにミック自身のホロスコープがデザインされていたり(星占い好きも私と一緒!)、ライナーには自作のイラストが散りばめられていたり、、、と音楽以外にも彼の個性がふんだんに示されている作品だと思います。


これだけの個性を放つベーシストなので、JAPANの活動以外のセッション参加も多数で、前述の自伝では、参加したセッションについての記載もありますが、やはりその参加セッションも <音の示す通り>、あんまりしっくりきてなかったんじゃないかなーと思われたものは、やはりそうだし、これは傑作だなーと思っていたものは、やはり感触が良かったようです。

そんな感触良さげなセッション作品の中でも特に私が好きなもの

いかにも!なフレージング(0:52あたりから)からの
最初のサビ後の低音の入り具合(1:15あたりから)からの
変わって緩やかに流れるフレージング(1:39 / 2:27あたり)からの
エンディングへ向かう4:18あたりからのベースソロなんて、
何回聴いてもテンション上がるよ!


あらためて自伝を通して、謙虚で慎ましやかな天性のアーティストさんであった事がうかがい知れて、もっと活躍してほしかったし、もうこの世におられないという事実がやっぱり重ーく重ーくのしかかります。。。。

【余談】
萌|Coal to Diamond

楽曲自体は1991年に制作、ライブでも度々演奏していたのですが、ふと思い立って音源化を進めていた矢先、KARN氏が亡くなってしまい、東日本大震災を挟んで「Dedicated to Anthony」という副題をつけて配信リリースした本曲のAnthonyは KARN氏の本名です。
自分でできるところまでやってみようと思って、手持ちのLogic&リハスタで録音・制作を進めていましたが、ボーカルトラックだけどうしても納得できる形で録る事ができなくて、インストだけUpしています。が、いずれはVocal入りトラックも再録して公開したい。

最後に1stアルバム『Titles』から1曲。好きな曲が多すぎて話が尽きないね


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Natsuki 2nd CD Single 『Topaz』絶賛発売中!

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