はじまりの行為
私はその行為をいまだにしていないことに対して劣等感を持っていないから、誰かが雰囲気からそうだと見えると言っても何も思いはしない。
だがその人がそのことをもって私のことを人間として下に見ているのだとしたら許せるものではない。
私は真夜中ナイフを持ち出しその人の家に忍び込み怒りのままに殺した。いい気味だ。
数年後、私は恋した人とその行為をした。全ては幸福の名の下に存在をなくした。
その行為のあと、ベッドに横になり、眠り、夢を見た。私が殺した奴が今いるベッドのそばに立ち、私を見下ろして笑いながら言っている。
「お前もしたんだな。お前も。殺されても仕様がない人間になったんだ。」
私は怖くなり、逃げるように外へ出て、真夜中の街を一心不乱にさまよった。