見出し画像

NHKニュースクリップ(2024年2/25号)

2/25放送のNHKスペシャル「戦場のジーニャ〜ウクライナ 兵士が見た“地獄”〜」は衝撃的な番組でした。

ここ数年、兵士による戦場の自撮り映像も、ドローンによる空襲映像もSNSのタイムラインで見ない日はありません。

この番組が大きく異なるのはストーリーです。SNSの断片的映像ではわからない、ひとりひとりの人物像がビフォーアフターを対照する形で克明に描かれていました。

ストーリーとあわせて、昔、「映像の世紀」で見たのと同様の塹壕戦・肉弾戦が今なお行われているのを目の当たりにすると、改めて戦争の無益さを感じました。

膨大な映像を分類・整理した上で、当事者取材を通してストーリーとして描くのはTVジャーナリズムだからこそ成せる業です。TVALのデータを見る限り、恐らく世帯視聴率は4%程度だと思いますが、数字にとらわれず、何なら「衝撃が大きいから子どもは見ないように」と突き放して番組を作れるのはNHKくらいでしょう。

久々にNHKの強みが存分に発揮された番組が放送されたと思った次第です。

しかし、稀に良番組が放送されてはいるものの、やっぱりNHKの不甲斐無さも目立ちますので個別にみていきましょう。

「かんぽ」問題 NHKに録音開示命じる判決

NHKを巡るあまたの裁判の中でも、個人的にはかなり意外な裁判の判決が出ました。

これは、「かんぽ」問題を巡るクロ現に関連した訴訟です。NHKは一連の経緯を下記のサイトで掲載していますので、まずはご一読を。

私は、渦中、まさに大型企画開発センターにいて多少情報を聞きかじっていました。NHKから郵政側への働きかけについては分かりかねるのですが、真偽は別にして、経営委員長が当時個別番組に圧力を掛けたという事は、一般の職員の間では半ば常識でした。蓋然性が高いと認識されていたのです。ゆえに、クロ現の記述には違和感があります。

NHK的に譲れない一線は、「放送の自主自律(自立)」です。だからこそ、NHKはこれまでも「圧力は無かったが、自主判断で○○した」というロジックを通し続けてきました。その「積極的な自主規制」こそが最も危険だと、原告の長井氏(ETV2000問題の中心人物のおひとり)は誰よりも理解されていると思います。

NHKでの新型コロナウイルス関連の報道も、大元を辿れば、「積極的な自主規制」が背景にあります。

NHKは最高裁まで争う構えでしょうけど、引っ張らずに事実を詳らかにした方が、公共放送としては健全だと思いますね。

山梨ローカルでも奇妙な“自主規制”か?

こちらは協会外からの情報提供で知りました。山梨県知事への取材に関して、行政のあり得ない対応です。

この件、実はNHKは2/25時点でもまだ報じていないのです。

NHKが新しい経営目標にも掲げる、民主主義の根幹に関わる問題です(こんな自明の事を経営目標にするのはどうかと思いますが)。

ただ、わからなくもないです。私がローカル時代に出会った記者は、半ば知事のコンサルタントやスポークスマンとして立ち回りながら独自ネタを取っていました。また、NHK自体がイベント等を通じて県政とは「べったり」でもあります。敢えて“自主規制”したとしても不思議ではありません。

NHKが報じることの意義は、その問題を社会問題化することにあります。「行政がこんな秘匿主義じゃダメでしょ」というメッセージを全国に発信すれば、幾分、政治の透明性も増すでしょう。

他社の人達もNHKの報道姿勢には疑念を抱いています。NHKには姿勢を改めて頂きたいですね。

NHKの「ヤラセ」をロンブー淳が指摘

とあるTikTok動画がDMで送られて来ました。

動画を見て、「あるだろうなぁ」と私は思いましたね。実際、私もこれに近いロケをした事がありますので。

想像するに、崩れた石垣を見て心痛めてるONが絶対必要だとCPかデスクに指示されたんでしょうね。だから必要なONを録れるまで幾らでも角度を付けた質問を重ねたものと想像します。

この手の時は、意外な答えが帰ってきた事を逆手に取って構成すれば良いだけなんですよね。いちいち変なONを録りにいく必要が無いんです。個人的には、ディレクターがたしなめられるやり取りまで含めて使った方が面白い番組になったと思いますが…

どうしても当該ONが欲しいなら、「最初報道でみた時どう思いました?」から初めれば「ショックでした」くらいなら録れたでしょう。

なぜ事前に決めた構成表なり台本なりにそこまで縛られるのでしょうかね?そこから逸脱するのが、タレントを使うロケの意義なわけですから、想定外のONがあったら「しめたものだ」と思って話を転がすのが健全なロケですよ。

NHK職員騙る性犯罪

個人的に注目したニュースがこちらです。

実際、NHK職員による性犯罪も過去多数起きているからこそ、このような犯罪が起きたのだと思います。

NHKは、「疑わしいときは職員証を確認するか、付近のNHK各局に問い合わせて欲しい」と自局のニュースでコメントしていましたが、それもどうかと思います。

まず職員証の真実性が一般の方には分からないでしょうし、取材ロケ連絡票が出ていないケースも多々ありますから、各局に問い合わせてもすぐには分からないと思うんですよね。

一般の方への不便益はもちろんですが、誰に声を掛けてもすぐ所属確認となると現場の取材も回らなくなるでしょう。

ちなみに、名刺を貰って、nhk.or.jpのメールアドレスを確認しておくのが一番スムーズですので、一般の方は覚えておいてください。そして、職員・スタッフの皆さんは名刺を多めに携帯しておきましょう。

ここから先は

0字

スタンダードサポートプラン

¥500 / 月
このメンバーシップの詳細

もし宜しければサポート頂けると幸いです。取材費の他、Twitterのプロモーション費などNHK健全化の為の取り組みに活用させて頂きます。