又吉直樹について(火花\劇場\生きとるわ)

いま、「劇場(又吉直樹)」を写本している。これは「火花」と並ぶ名作だ。写本は1日に10分以上を目指して、あまり根詰めずに行う。いまは400文字ほど写したところだが、なんだか少し楽しい。また、文章の構造や意図などを考えることができ、有意義だと感じる。


 僕が又吉直樹を初めて知ったのは、「火花」の芥川賞受賞を知らせるニュースだった。当時の僕はニュースを見て、芸人で話題性があるから受賞したんだな、と思った。
 そのころはあまり純文学を読まなかったため、最近になってようやく図書館で「火花」を読んだ。想像より面白く、驚いた。又吉直樹が芸人であることも重要なファクターだったとは思うが、絶対にそれだけが受賞の理由ではない。彼には独特なセンスがある。そのセンスこそが「火花」を「火花」たらしめるものであると思うし、又吉直樹の大きな武器だと思う。
 「劇場」も「火花」に負けず劣らずの名作である。読んだ後は、感動というか、物悲しいような、あるいはうれしいような不思議な気持ちになった。「君の膵臓をたべたい」くらいは泣けると思う。また、この作品にも「又吉節」が色濃くみられる。よくそんなこと思いつくなあと感服するばかりである。
 現在文學界にて連載中の「生きとるわ」も注目だ。僕が新潮でも群像でもすばるでも文藝でもなく文學界を買い始めたのは又吉直樹が連載しているからだ。もちろん、単行本も買うつもりだが。

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