あったかい

新しいストーブを買った
黒くて何だかスタイリッシュ
私の部屋には似合わなくてごめんなと
ちょっとヨシヨシしてみる
これからは君が大切な相棒
一緒にこの冬を越そうね
去年真冬の真っ只中にストーブが壊れた
驚くほど金がなかったので買い換えられず
ひたすら凍えながら春を待った
体が冷えていると心までわびしくなる
そんな必要もないのに孤独感が増す
体の暖かさは精神まで浸食するものなのだなあと
震えながら考察していた
今年は半纏も新しくしよう
ちょっと高くてもいいものを買えば
長く着られるし凍えずに済む
だるまのように着ぶくれした私を
あなたは笑って見てるけど
本物のダウンジャケット買える余裕のある人には
この貧乏臭くとも必死な冬への反撃が
わかるはずもないだろう
去年ストーブが壊れた時も
そんなもん俺が買ってやるよと余りにも上から目線で言われたので
悔しくて断腸の想いで断った
私は金はないが誇り高いのである
その実凍えながら何で断っちゃったんだろうと
300万回くらい後悔したけれど
もし広い家に住めたらこたつが欲しいな
一生出てこなくなると思うけど
だって最強にして最大限に優しい暖房器具でしょう
見ているだけでほっこりするあのフォルム
猫がうじゃうじゃ中に入ってたらなおよろしい
膝に乗っけてみかんを食べるのだ
今は小さなストーブを買うのでやっとの私だけど
生きてるうちに実現して見せる
こたつに入ったまま猫にまみれて寝ること以上の
冬の楽しみが想像できない
彼に言ったらまたそんなもん俺が買ってやるよと
思いきり上から目線で言い放たれるので
この夢は私の胸の中だけに仕舞っておこう
それにしても私はなんであんな俺様な男が好きなんだろう
一緒に寝てると必ず
もっとこっち来いよと私を抱きよせて
抱き枕みたいに離さないで眠りに就く彼
あったかいからかなあ
いつでもあったかいからかなあ
体の温もりは心まで暖める
去年凍えながら導き出した答えが
あの腕の中にあるからかなあ

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