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インスタントフィクション(ちょー短い話)

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ショートショートのタネ。咲くかどうかはわからない。
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記事一覧

献身的な女 【インスタントフィクション #07】

「最近彼氏とどう?」 「もう一年くらい会ってないし、連絡も取っていないわ」 「一年?そんな…

そして、鼻は意見する 【インスタントフィクション #06】

 …そして、鼻は意見する。  接吻の代わりに鼻の穴に指を突っ込むのはどうか、と。  口は…

午前の恐竜 【インスタントフィクション #05】

 この幸福の実態を掴まえられないものかと、仰向けに寝転んだまま右手をもたげ、掌を宙でパク…

星葬 【インスタントフィクション #04】

「死体は燃えるゴミの日に出してくれ」  それが彼の遺言だった。  彼が死んで最初の金曜日。…

ソムリエ 【インスタントフィクション #03】

 ワイングラスの縁に鼻を引っ掛けて、彼は香りを楽しんでいるようだった。グラスの中には薄い…

歯医者 【インスタントフィクション #02】

「奥歯が痛くて、診てもらえますか?」  彼はそういって、わたしに背を向けると、おもむろに…

緑の男 【インスタントフィクション #01】

 赤い女も青い男も、不慣れな新居に困惑していた。電気が勝手に点滅する欠陥住宅。だが文句は言えない。何者かに突然、元の住まいを奪われてしまったのだ。路頭に迷っていたところを二人の紳士に見出され、このメゾネットを施された。両紳士を追い出す格好になってしまったが、紳士たちもちょうど新しい家を探していたところだった。  それはそうと、この新たな住まい手によって引き起こされた問題は極めて深刻だった。  青が点滅すると男どもがチャックをしめ、手も洗わず歩き去っていく。赤に変わり、並んでい