辛口ゲームデザイン考察:ブロックチェーンゲーム『MyCryptoHeros』
私はたまに、好きなゲームを遊んでゲーム「デザイン」のレビュー記事を書いてるんですが、今回はいつもとちょっと状況が違います。
簡単に言うと
・私がずっとプレイしているゲームのレビューをして欲しい!
・数え切れないくらい修正すべき点があるはず。
・お金出すから率直なレビューをお願いしたい。
という依頼が私の元に舞い込み、おうおう熱いファンやなぁおじさんそういうの好きやで、ということで(お金もらえるし)引き受けることにしました。(お金もらえるし)(お金もらえるし)(お金もらえるし)
※この会社からお金をもらってるわけじゃないんで、好き勝手に書きます。
まぁ私の浅薄な欲望は置いておいて、まず依頼のあったゲームのご紹介です。これ。
日本発の、(2019年時)世界で一番遊ばれている『ブロックチェーンゲーム』だそうです。『ブロックチェーンゲーム』というちょっと特殊なタイプのゲームなんで、レビューに入る前にそこの説明をかる~くしていきます。
説明:ブロックチェーンゲームとは?
調べるとややこしそうな話が出てくるんですが、雑に、簡単に言うと
・ゲーム内で手に入れたキャラや装備で仮想通貨を稼げるゲーム
と思ってもらえればだいたいあってるかと思います。このゲームのキャッチフレーズがそれを良く表してますね。
感覚としては、ソシャゲをやりながらレアアイテムを掘り当て、それをMMORPGみたく
出)すんごいレアアイテム
求)1ETH(仮想通貨)
ってな感じでユーザー間で取引する感じ(あくまで感覚としての例です)。まぁ日本の法律上?ゲーム内に直接仮想通貨をやりとりする場所はなく、連携している外部サイトを使ってやるっぽいですけど。
ちなみに仮想通貨だけじゃなく、ゲーム内通貨とキャラや装備をユーザー間で交換もできます。ゲーム内通貨はソシャゲの課金石みたいな扱いで、ゲームを有利に進めるためにけっこう必要な感じ。
すんごいレアアイテムは個数制限があるので、「世界に8個しかない超レアキャラ・アイテム」みたいのがあったりします。
以上、雑で簡単な説明おわり。
今回のレビューでやること
さて、この記事はゲームデザインのレビュー記事であってゲームレビューの記事ではありません。ひたすらゲームデザインに対して考察していきます。
また、依頼者からも
課金なしの状態でのプレイがいかに厳しいか、というのも含めて観測をお願いできれば
という話があったので、無課金プレイで進めつつ所感も書いていきます。
最後に、逆に依頼者(ヘビーユーザー)に聞いて見たこのゲームの面白い所とかを載せていきます。個人的には興味深い話が出ました。
というわけでまずはバトルから語っていきます。
◆バトル①:「事前準備」が鍵を握るオートバトル
このゲームの戦闘はオートバトルです。戦闘が始まったら、あとはプレイヤーができることは無い。
だからといって戦略性が無いというつもりは無く、この手のゲームは「事前準備」に面白さの比重を置いてます。事前準備ってなんぞ…ってのを少し解説すると、
【育成的な準備】
①強いキャラや装備を集め、レベルアップさせていく。
②コツコツと積み上げたり、射幸心を刺激されたりするインフレ的な面白さ
【戦略的な準備】
①相手の弱点を考えてPT編成したりとか。キャラ同士のスキルのシナジーを考えたりとか。TCGのデッキ編成的な、考える面白さ
②高度なものになると自分でAIを組んで戦わせるものとかになる(そのうち作ろうと思ってる)
みたいな感じです。一口に「オートバトル」と言っても、どちらの準備に比重を置かせるかでゲーム性は大きく変わりますね。このゲームにおいては【育成的な準備】にけっこう比重を置いている印象です。
◆バトル②:【戦略的な準備】を逃している
先ほど
【育成的な準備】にけっこう比重を置いている
と書きましたが、正直な話、寄せすぎというか意図せずこうなっちゃってるんじゃないかと思います。
なんというか、「戦略的な要素が薄い or そこにたどり着けるまで相当やり込まないといけない」状態で、キャラや装備についてるスキルに死にスキルが結構あるんじゃないかと。
これ系のゲームの理想的な流れとしては、例えば
①ダンジョンAに良いお宝がある。欲しい。
②でもAに出てくる敵の魔法攻撃力が高すぎて勝てない
③だから魔法攻撃への対策ができるキャラや装備が欲しい
④人から買ったり、ダンジョンBに潜ったりする
みたいな流れを作れれば、キャラや装備の需要を増やすことができます。プレイヤーが「欲しい」と思う対象が増えればそれだけ売買のやり取りも活性化するので、ブロックチェーンゲームとしてもメリットは大きいはず。
しかし、このゲームは上記の流れが作り出せていません。その大きな原因が
・とにかく敵やバトルの情報がわからん
ということ。例えば、ダンジョンの詳細を見た時に表示される情報はコレです。
装備に対しては詳細が見れるので、どんな装備かな?あ、良いスキルがあるな。欲しいな。みたいのは発生します。
でも、敵の詳細は出ないんですよ。なので相手がどんな特徴を持っているかはダンジョンに潜って自分で確かめるしかない。でもダンジョンに潜ってもバトルUI自体が「わからん」状態なので、確かめることが非常に面倒くさい(これは後述します)。更に言えばダンジョンに挑むのにも貴重なスタミナを消費するので、 無駄な動きはしたくない……
てな感じで、ゲームの構造的に「何が有効でどんな準備をすればいいのかわからん」という状態になってます。
こんな状態なので、そもそも出てくる敵に個性があるかどうかも私は判断がついていないです。実は見た目が変わっているだけで、それを誤魔化すためにあえて情報を出していないだけ…だったらしたたかですけど。
どちらにせよ、「キャラや装備の需要を作る」という点においては弱いです。ここはゲーム的にも運営的にもよろしくない点だと思います。
※追記
敵の詳細を見ることが出来ました。バトル中に詳細を見たいキャラをクリックすれば見れます。
えぇ、「バトル中」に。クリックできるように見えないので、言われるまで気が付きませんでしたよ……。
「事前準備」の観点から言うと表示タイミングが遅すぎますし、スタミナを消費してわからん殺しをされるのはけっこうストレスが溜まります。
スタミナを少しでも消費させるとか、全滅させてコンテニューをさせたいとか、ダンジョン詳細の時点だと難易度を選択してないからパラメーターを表示しにくいとか、邪推するならこういう風にしている理由は思い当たりますが……
わからん!というデメリットとストレスの方が遥かに強いので、やはり事前に見せた方が良いは思います。
◆バトル③:「眺めていて楽しい」が大事
実は、私はオートバトルに関しては一家言あったりします。というのも仕事でオートバトル系のゲームのレベルデザインを散々やっているんです。その中で私が大事にしている物があって、それが「眺めていて楽しい」こと。
オートバトルは、先ほども書いたように「戦闘の面白さよりも事前準備の面白さに振り切ったシステム」です。なのでオートバトルのゲームにおいて、戦闘に求められるのは
準備の成果を確認する場所
という意味合いが強いです。例えば
・敵への対策をしてみたけど、有効に働いているか?
・このスキルを組み合わせたらすごい威力が出るんじゃないか?
・PTを強化したから前に負けた場所でリベンジできるのでは?
とか。戦闘を眺めながらこれらを確認出来て、更に
あ、ヤバいヤバい負けそう…お、持ち直した。いけいけ!倒せ!……よっしゃーー!!
みたいな体験を提供できれば、プレイヤー自身が何もすることが無いオートバトルであっても「楽しい」ものになります。
でもこのゲームのバトルUIはそれが非常にやりにくくなっています。
◆バトル④:眺めるのが大変なUI
このゲームの戦闘画面はこんな感じです。
※上段左の指揮者みたいのがキャラのデフォルトの見た目。キャラの見た目は変更出来て、右の2キャラは私が制作中のゲームのキャラを試しに当てはめてます。
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「眺めていて楽しい」を目標に据えた時、このゲームの主な問題点は以下の3点です。
①手動で進むオートバトル
(画像だと分かりませんが)オートバトルだけどバトルを進めるのは手動。1アクションごとにクリックが必要で、純粋に疲れる。
眺めること自体が面倒でスキップしたくなるような仕組みになってる。
②何が起きているのか把握しにくいUI
スキルのエフェクトや効果が常に下段のみに表示され、全体として何が起きているのか把握しにくい。
スキルの効果を下段で確認し、全体の状況を上段で確認しないといけないため視線移動が大変で把握しにくい。
③戦闘中、スキルの内容が不明
スキル発動の結果は表示されるが、そのスキルがどんなスキルかは表示されない。敵については詳細画面で確認ができないので、対策を考えにくい(需要が発生しない)
PvPでは他人のバトル結果も見れるが、コレのせいで「あ、こいつのスキル効果いいな!欲しいーーー!!」的な機会を潰している。
つまり、眺めること自体が大変な上に、眺めても何が何だか分からない。
その結果、戦闘を適当にスキップして済ませがちだけどそうすると負けた時になんで負けたのか分からないし、自分のPTに何が不足しているのか分からなくて物欲が刺激されない…という悪循環に陥ってます。
戦闘をスキップすること自体は良いんですけど、戦闘の内容を見ようと思ったけど面倒くさいのはNG。
①はオートで戦闘が進むようなボタンを着けてやれば解決しますし、②は画面上部にもエフェクトやらダメージを表示してあげれば済む話。③については
こんな感じでスキル効果を表示してあげれば良さそうです。ただPCだから言えることで、横の長さが無いスマホだと厳しいかも。他にあるとしたらAction名の横に表示するとかかなぁ。ただそれも効果数が付きまくりのスキルは表示が厳しそう。
ちなみにゲームの公式からリンクが張られているビギナーガイドにですね。こんなことが書いてあったんですけどね。
い や 無 理 だ し め ん ど く さ い よ
と思いますし、ここの負担を過剰にプレイヤー側が負うべきではないと思います。単純にUIが悪い。
ブロックチェーンゲームとオートバトルは相性の良い組み合わせだと思うので、オートバトルの良さを生かし切れていないのはもったいないなーと思います。
◆キャラ毎に「スタミナ」があるのがユニーク
このゲームはダンジョンに潜るのに「スタミナ」を消費します。いわゆるソシャゲとかでよく見る「スタミナ制」で、スタミナが回復するまでダンジョンには潜れません。
スタミナ制自体の賛否はあると思うんですが、このゲームの面白いのは「ユーザーがスタミナを持つ」のではなく「キャラがスタミナを持つ」点ですね。ゲーム的にも理にかなってると思います。
例えば、チーム2のキャラがスタミナを消費してもチーム3のキャラのスタミナは減りません。こうすることで、
キャラを集めれば集めるほど有利になる。レアアイテムを探しに行ける。
↓
「自身の最強PT」に入らないキャラでも育成する価値が生まれる
という仕組みになっています。
「ゲーム全体で限られた個数のレアアイテムを掘る」ゲームなのでスタミナ制は必要だと思いますし、そのスタミナ制を使ってキャラを多く入手する意味を作っているのは上手いなーと思いますね。
そしてキャラを手に入れるためにも、レアアイテムを探して換金して……みたいなサイクルが作られていて、システムに合ったゲームサイクルが形成されています。良いシステム。
◆無課金者を楽しませる対象として見ていない?
プレイしてて感じたのは、「無課金者を楽しませる対象として見ていない」というのはありそうだなーと思ってます。
先に行っておくと、批判的な話ではないです。ただ単純に「ターゲットとして潔いくらい無課金者を含めていない」ってだけ。この手のゲームは課金した方が楽しくないと売上が立たないですし、商売なのでそっちの方が売上が出るならそうした方が良いでしょう。
先ほどキャラに対してスタミナが付いているのが面白い仕様だと書きましたが、これ 逆に言えばキャラが手に入らない(ほぼ初期の3人だけで遊ぶ)と非常にツラいです。クエストの周回もちょろっとしかできないので、PvEですら遊ぶコンテンツがないと言っていいですし。
また、途中からこっちの方に舵を切ったんだな、と思える仕様変更もあります。これ。
・レプリカヒーロー(数日だけ使えるキャラ)のスタミナが回復しなくなった
レプリカヒーローは、序盤のまだキャラが揃っていない段階だと非常に重要です。課金しなくてもちょこちょこ手に入るので、無課金者が良いアイテムを探しに行く(良いレアアイテムを掘る)上で不可欠なものとなっています。
ビギナーガイドでも序盤はレプリカヒーローを上手く使うことを推奨されていましたが、今だとちょろっと使ったらもうダンジョンには使えなくなります。売上に影響するくらい暴れていたんですかねぇ。
余談ですが、仕様変更自体に運営の対応が追い付いていないのか、私が始めた時には公式ガイドにすら「レプリカヒーローのスタミナは回復する」と書いてあって、非常に混乱しました(報告したら修正されました)
UI的にもスタミナが回復するキャラとの差別化がされていないので非常に紛らわしいです。スタミナを表すゲージや数字の色を変えるとか、デザインを変えるとかはしないと混乱は今後も招きそう。
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ちなみに「ターゲットとして潔いくらい無課金者を含めていない」と書きましたが、これは「課金者の養分としてすら無課金者を見ていない」って意味です(養分って言い方も悪いですけど)。
大規模なギルド的な物は存在しますし、ギルドバトル的な物もあります。しかしそこに「弱い人が少しでも活躍できるコンテンツ」的なものは存在しません。純粋に強い人たちが活躍する場所として作られているので、無課金者のゲーム内の価値がほとんどないな、とは感じました。
「仮想通貨が稼げるゲーム」ではありますが、本当にやるなら多少の課金をして「投資する」必要があると思います。
そもそもとして、無課金状態は「体験版」のような位置づけで扱っているのかもしれませんね。
◆ユーザーがPvPの大会を主催できる
あと仕組みとして面白いなーと思ったのは、ユーザーがPvPの大会を主催できる所。
俺に3連勝したらアイテムあげるよ!
みたいのがあったり。
大会って運営側としてはユーザーに「強くなるための理由」を提供する意味合いが強いんです。大会が機能していないと、ユーザーが強くなる理由を見失い、ゲームをする意義を見出せなくなって辞めてしまう。
ただ大会を作るのもやはり工数は必要なので、それを「ユーザーが勝手に主催して勝手に遊ぶ」という仕組みがあるのは色々と助かる話だなぁと。
ただ、活発に動いているか?というとそういう印象は持ちませんでした。散発的に、ちょろちょろって部屋が立っているようなイメージ。一部の人しか「主催しよう!」って気にならないのかもしれない。
仕組みとしては面白いので、
・大会を主催する意義
・大会に参加する意義
というのを明確にしてシステムを練ると良いものができそう。
◆ヘビーユーザーは何に魅力を感じている?
さて、ここまでの話は私がちょろっと無課金プレイして感じて分析した結果です。正直に白状するなら、私は
・ソシャゲ系の「終わりのないゲームが苦手」
・課金し続けられれば楽しいのは知ってるが、課金するほどの価値は感じていない
という人間。仕事でソシャゲを作っている癖に、自身はユーザーじゃない。
しかし今回私にレビュー依頼をした方はヘビーユーザーで、このゲームを楽しんでいる方でした。面白そうな生の声が聞けそうだなぁと思って依頼者(ヘビーユーザー)に質問を飛ばしてみました。
ちなみにどういう人か記しておくと
・ヘビーゲーマーで、色んなゲームに触ってきた
・このゲームを触ってからブロックチェーンゲームばかり遊んでいる
・普通のソシャゲにリソースを割きたいと思えなくなっている
・今、他ゲーを触るとしたら「SKY」や「ニーア」みたいな世界観のあるゲームくらいかも
・仮想通貨を稼ぐ、的な意識ではやっていない(楽しむために遊んでいる)
という人。この方がヘビーユーザーの全てではないですし、あくまで1ユーザーの感覚ですが、面白い話がいくつか聞けたので紹介していきたいと思います。
◆データにモノとしての手触りを感じる
このゲームの良い所は?という話題に対してでてきた話です。
アイテムを自分で持っているという「手触り」のようなものも一部のブロックチェーンゲームには感じます。
アイテムが「ほぼ完全に自分のコントロール下にある」という感覚、という表現が近いかもしれません。
使うことも、誰かにプレゼントすることも、売ることも、買うこともできます。データに質量が与えられる感覚です。そして、なぜかはわからないのですが、ゲームによってデータを所持している手触りに違いがあります。マイクリは結構ある方だと思います笑。
良い所に対して、『データが「モノ」としての手触りを獲得したこと』という回答があってなかなか興味深い。
また、レアアイテムなんかは全プレイヤー間での個数制限があったりするので、この辺も関わっているのかなぁと思って聞いたところ、
レアアイテムなどは持っている人も制限されそうですし、それに対してやったぜ感というか、何か満たされるようなものがある感じでしょうか?
↓
マイクリで世界に8個の最上位アイテムを2個所有していることがあったのですが、買った時にはコレクター的な欲求から満たされたものの、持ってみるとそんなに気持ちよくなくて、すぐに安値で人に譲ってしまいました。
逆に、特定の人から特定の文脈とともに譲り受けたアセットはコレクションとしてずっと持ち続けていて、これからもそれは変わらないと思います。
という回答が。個数制限とかではなく、単純に
データを自分が自由にできる(データ所持しているだけでなく、他人から貰ったり与えたりが自由にできる)
ことが大きな魅力の1つになっていたようでした。
◆他者との交流がデータの意味を変える?
やはりこういった、
ユーザーの異質さ、その異質なユーザーとのコミュニケーション、も、魅力としては大きいように感じます。
「アセットを受け継いでいく」みたいなところも魅力に感じています...
ネットで出会った人から、通常では考えられないような規模(10〜20万円分)のアセットを無償で引継ぎ、それを売ったりせずに別の新しい人につないでいく、みたいな遊び方も、他ではできないなと思いました。
他者との交流がゲームを面白くする、というのはある話です。同じ「データ」でも、そこに「自分のエピソード」がつくとその人にとって大きく意味が変わったりする。
ただ、他人に装備を譲ったり、みたいのは昔のMMOとかにも存在する仕組み…ではあります。使用済みだったら渡せないとかの制限はあった気がしますけど。それらとの違いはあるのか、調べてみるのも面白そう。
他者とコミュニケーション要素のあるゲームなら、この「データに対する手触り」というのはゲームデザインとしても色々応用ができそうな要素かなーとは思いますね。
◆ゲームの枠組みを超えたところに面白さがある?
その他の面白さとして出てきた話としては
マイクリのドロップシステムや、コロシアムの仕組みなど、純粋なゲーマーとしても見たことのない方式が多く、それも楽しいです。
とか。
ゲーム側が用意している以上の楽しみ方を、プレイヤーが探して(作り出して)遊んでいるなぁという印象もあります。
ゲームとは攻略できるものだと思っているのですが、ゲーム自体も(たとえばドロップの概念は研究するとある程度コントロールできるようになります)、メタゲーム(流動的なユーザーの動きや運営の心理・今後行われることが予想される施策)も、全てをゲームとして楽しめているということもある気がしてきました。
マイクリにとって大きなファクターであるデュエルも、上に行こうとするとユーザーが勝手にシミュレーターを作ってしまい(それ自体はどのゲームでもよくあることですが)、シミュレーターの機能を解放するためにゲーム内の所持アセット(BCGの特性によって所持アセットは唯一のものになります)を読み込んで競技としてタワーを登る、というような遊び方がされていて、そこまでくると、新しいゲームだなぁ、という感じがします。
このあたりはヘビーユーザーならではの遊び方というか、遊びとしての「深さ」を自分達で拡張してる形ですね。
なお無課金(および恐らく中課金者くらい)だと、この辺りの面白さは得づらいだろうなとは思います。ある程度キャラを揃えて、PvPである程度勝てるレベルまで育てたら面白さが出てくるかも。
無課金だとPvPはひたすら自分が血祭りになるだけで、ドロップもとりあえうず「少ないスタミナでとりあえず潜る」くらいしかできない印象でした。こういうゲームは、やはりある程度課金はしないと楽しむのは難しい。
◆追記:戦略性が出せるようになってからが楽しい
戦略的な準備の要素が薄い、とは書いたものの、さすがに課金して上位の方になれば出てくるんだろうな、と思ってはいて。バフデバフとか強いのか質問してみたところ、
バフデバフ、めちゃくちゃ重要ですね...
様々なオートバトルにも言えるのですが「デバフ>バフ>その他」の図式が成り立ちます(バフ量とデバフ量が同じ場合デバフの方が強く働くため)。
あまり説明の好例が見つからなかったため下位リーグの環境になってしまうのですが、基本は以下のようなイメージです。
やはり戦略要素はあるみたいです。
また上位の人の戦闘例としてこういうバトルがあったり。
バフをかけまくった相手に対して
そのバフの量を利用したスキルでカウンターを決めるとか。
◆追記:「面白い」までが遠いゲーム、どうする?
上記のように、こういうPTを組もうかな!と決めてそれに向かってキャラや装備を集めたりするのは面白そうですし、実際そこが面白いゲームなのかな?と思います。
その一方で、残念なのは
・UI的な分かりにくさ
・実現できるまでの敷居の高さ
が相まって、初心者がそこの面白さに到達する前に挫折しそうだなーというところ。「体験版」の時点で面白さの片鱗だけでも味わえないと、なかなか課金しにくいのです。
バフデバフの効果も戦闘中にキャラ詳細を見にいかないと分からないので、戦闘中に詳細が見れることに気が付かなければ一生よく分からないままだし。ステータスは可能であれば、バトル画面に何かしらの形で全部表示してしまうのが理想かもしれないです。もちろんゴチャゴチャになるのは避けるべきですが。
あとは、
キャラ集めの面白さを体験させるのは、本来レプリカヒーローが担う役割
なのかなーと思います。時間制限あるからちょっと体験させるだけだよ的なやつですし。
でもこの役割が担えていない。なぜできていないのかで言うと、
レプリカヒーローは狙ったキャラが手に入らない
というのが大きいですかね。レプリカヒーロー自体は入手する機会があるんですが、多くの場合、誰が手に入るかはランダムです。ランダムである以上、組み合わせるってこと自体が狙って出来ないのでPT編成の面白さは体験できません。
狙って入手できるようにした上で、初心者向けに固定の敵を倒すミッション的な物を用意してあげると面白さの体験はさせられるかも。例えば
・PHYのデバフを大量にかけてくるボスを倒す
とかあればデバフの厄介さを学習できるし、それへの対策を考えたPTを編成して倒すことでPT編成の面白さを実感できる。こういった学習体験はやはり大事だなぁと思います。
◆追記:最悪な選択肢
ちなみに「レプリカヒーローを選択して入手できるようにしようぜ」と言っても、ゲーム開始時にやっていたみたいな選択はダメですよ。
各ヒーローの詳細が分からないので、何を選べばいいのかさっぱり判断がつかない。「判断材料が無い」というのは選択肢としては最悪です。
選んだ時に、ステータスとスキルを少しでも表示してあげた方が良いです。
◆まとめ
つかれたので まとめを かくのは サボります
あ、このゲームのバトルBGMは結構よかったですよ。わりと好き。
◆宣伝
このゲームのターゲットとは大きく逸れますが、個人でコンシューマのインディゲームを作ってます。ゲームデザインにアホみたいに煩い私が作っているゲームでございます。
また、ゲームデザインや、ゲーム制作に関わることを色々とnoteに書き記してます。
心理学界の異端児「行動分析学」から考えるゲームデザイン
コンセプト「から」ゲームを作るのが苦手な人に捧げる、コンセプト「で」ゲームを作る方法
分かりやすい仕様書を作るための『考え方』と『テクニック』
「現実を直視する」進捗管理の考え方と、遅れの取り戻し方
とか。こちらにまとめてあるので、興味のある人はどうぞー。
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