コロナ禍における激動のオフラインBitSummit出展記録(体験談)
日本最大のインディーゲームイベント、BitSummit。
今年(2021年)の「BitSummit THE 8th BIT」では
業界の関係者のみオフライン、一般の人はオンライン
という少し変わった形で開催となりましたが、出展者としては満足のいく結果となりました。
それと同時に変わった体験もできたので、この記事はそれも含め、
・どんなやらかしをして、どんな反省をしたのか
・どんな良い事があったのか
・イベントに出したことによる、メディアやパブリッシャーの動き
・公式の動画でゲストとして出た体験談(そして……)
・最終的に、数字としてどれだけ効果があったのか
といったことを書いていきます。
◆ところでお前は誰だよ
野良のゲームデザイナーです。今回は、個人開発で『いのちのつかいかた』というゲームブック風のRPGで出展をしました。
なお、このゲームの体験版はSteamで遊べるので、よろしければー。(近々バージョンアップします)
◆出展して、何か良い事あった?
普段、話すことは無いだろうな……という方たちと話す機会があったのは良かったですね。オンラインイベントって不特定多数に自分のゲームを紹介する事はできるんですが、開発者同士で話をする機会にはならないので。
例えば、コナミの方とお話をしたりとか。Switchで出す時の注意点とか、UnityやUnreal Engineといった開発エンジンの特性みたいなところを聞けたりしてですね。役に立ったし面白かった。
バリバリに会社で作っている人ならともかく、私は個人で家に引きこもってゲームを作っているので、こういう機会はオフラインイベントじゃないと発生しないです。
他にもTwitterでみかける開発者の方にも話しかけられてですね。個人開発者が人脈を広げる大きな機会はコレなんだなぁ……というのを強く実感してます。
あと、あまり表に出ない評判を聞けるのもメリットかも。「ウチの会社の中でけっこうこのゲーム評判良いですよ。みんな面白いって言ってます」的な事を言われたりもしました。ふひひ。
あとはメディアに取り上げられたとかその辺の話もありますが、それについては後の章で書きます。
◆で、何をやらかしたの?
ぶっちゃけ、やらかした!!!ってほどのことは無いんですが、細かい「こうした方が良かったなー」と反省しているのがちょくちょくありまして。
◆チラシ、100部でも多かったよ……
今回オフライン参加できるのは業界関係者のみで、どのくらいチラシを刷ればいいのか判断がつかなかったです。足らなくなるのは機会損失を招くので避けたいけど、邪魔になるので出来るだけ余らせたくない。
っというわけで100部ほど刷ったんですが、全然余りましたね。50部くらいでも良かったかもしれない。
周囲のブースの人に聞いても「超!余った!!」という人が多かったので、一般の人がこないイベントの場合はけっこう抑えめでも良いのかもしれません。
まぁ私のブースが特別、人が来なかっただけという可能性もあr……次の話に移りましょうか。
◆卓上の時計は持ってきた方が良い
会場に時計がないんですよ。時間くらいは自分のスマホで見れますが、体験版をプレイしている人が、自分が今どのくらいの時間プレイしているのか分からないのは、不便そうだなーという印象がありました。
なのでモニタの近くに卓上の時計を置いてあげると、喜ばれそう。次に出展する時は持っていこうかな(というか今回も持っていこうとして忘れてた)。
ただ、モニタの近くにプレイ時間の目安を置いてたので、その辺りである程度はカバーできていたかもしれない。
(展示用にデモ版を作るのも面倒だったので、とりあえず雰囲気掴むまで隙に遊んでね、フルで遊ぶと時間かかるよ、というのを提示していた)
◆B5のチラシで、ポスターを代用するのは無理があったね
これ。
1人での出展なのでデカいのはなるべく持ち運びたくないし、お金もないのでチラシを吊るせば良いかなー…と思ったんですけどね。やっぱり小さかったです。手に取って見ることを前提にしたチラシなので、遠くから見るのにはやはり適してはいない。周囲のしっかりしたブースに比べてみみっちい感じはね。否めませんでした。
キービジュアルをA3くらいのサイズで印刷したのを作っておけば良かった、と反省してます。持ち運びは、こう、丸めたりすれば何とかなる気もするし。
ただ、業界関係者のみのイベントで、全てのブースをゆっくり回れる状況だったので、そこまで影響力は変わらなかったかも?
◆PCは借りるべきか?
申請すればPCとモニタを貸し出してくれるんですよ。私は、PCを借りてもセッティングが面倒そうだなー、ちゃんと動く保証が無いなーと思ってモニタだけ借りました。PCは自前のノートPCを使えば良いし。
これは正解だったところもあって、モニタとノートPCの両方で画面を表示しているので
・プレイヤーの気を散らさずに、プレイ内容をチェックできる
・ブースの背面にいる人に、プレイ中の映像をアピールできる
みたいなメリットがありました。
その一方で、これPCとモニタの両方を借りつつ、ノートPCも使えば試遊台を2つにできるんだよな……という話もあってですね。
今回は業界関係者のみのイベントで人が少なかったので、モニタとノートPCを繋ぐ形が結果的に良かったんですが、一般の人もいて会場が混む場合は、試遊台を2台にできた方がが良いのかもしれません。
◆リモートで自宅のPC動かせるようにすれば良かった
私のゲーム、Early Access用に色々と変更した所があってですね。どうせイベントで遊んで貰うならそっちを遊んで貰いたいなー……と京都に移動してから思って、BitSummit用のデモ版を前日の夜にホテルで完成させたんですよ。
そしてSteamにもアップロードしよう!と思ったら上手くいかず……(普段はノートPCではなくデスクトップで作業している)。結局、BitSummitの会場で遊べるもののみバージョンアップした、みたいな対応になりました。
もちろん、ちゃんとノートPCでアップロードできるか確認しておけよって話もあるんですけどね。これリモートで普段作業しているPCを動かせるようにしておけば、イベントで現地にいったあとも対応しやすいよなぁ…というのが今回の反省点です。次回までにやり方を調べとこ。
◆パブリッシャーの反応
今回の出展の目的に、
パブリッシャーを見つける
というのがあってですね。チラシにもがっつり書いてます。これ。
結果は3社ほど、声をかけてもらえました。会場でチラシを見て
お、これはまさにウチはできますよ!!
みたいな感じで。たぶんチラシにはっきり書いてなかったら話はこなかったかも。ある程度の条件を提示したのも良かったのかな。
とはいっても、交渉はこれからなのでどうなるかは分かりませんけどね。とりあえず道は作れたなって感じです。
あと、イベントが始まる前にもチェックはされているので、BitSummitのページを見たんですけど~的な形で連絡を貰ったりもしています。
◆メディアの動き:プレイレポート
1番、精力的に動いてた…というかプレイしていたのがメディアさん。
彼らは画面をカメラやらスマホやらタブレットやらでパシャパシャ撮り始めるので、「あっ、この人……」とすぐ察せます。あとアクションのあるシーンとかはプレイしながら撮るのが大変そうなので、手伝ってあげると良いです。
そんで、その日か次の日にはプレイレポートとして記事にしてくれます。プレイ後に色々とお話をしたりしますが、その内容も記事に入ります。
ちなみにBitSummitが始まって最初に来てくれたのがファミ通さん。
全部がそうなるかは分からないですが、ファミ通さんはYahooニュースと提携しているのかYahooニュースのページでも記事が上がってます。これ。
あとGameSparkさんだとこの記事。
やっていて思ったんですが、やっぱり「プレイ後にその場で制作者と直接話せる」というのはオフラインイベントの大きなメリットだなーと感じました。
オンラインイベントだと、動画(時間も短いので概要レベルの情報)を流してそこで興味を惹けなければ終わり、記事にしてもらうにもそこから情報を集めるのが大変なのでハードル高い、みたいな側面があります。
なので、メディアは記事を書きやすく、開発者は自分のゲームの突っ込んだ話を記事にしてもらえる、的な形で双方にメリットがあるなぁと。
◆メディアの動き:実況動画
今回のBitSummitは、
業界関係者はオフラインで集まれるよ、一般の人はオンラインで楽しんでね
というスタンスで、一般の人向けにメディアも動画を出していたりします。その中で実況配信をしている所もあって、そこで紹介をしてもらえました。
ファミ通さんのコレとか。ゲームブックの説明が入ったり、楽しんで欲しい所をまさに楽しんでくれていたりして、非常にありがたかったです。あと実況スキルがめちゃくちゃ高くて面白かった。
他にもガジェット通信さんも実況してくれていましたね。43分あたりかな。
ちなみにファミ通さんはコレの他にも
開発者が自分のゲームをプレイしながら、そのゲームについて解説をする
というのを撮らせてくれ、後で編集して動画に使うから……というのがあったりしました。急に来るので、開発者の方はですね。いつでもそういうの出来るようにしておいた方が良いですよ。その場でいい感じに話をまとめながらプレイしないといけないから結構大変。
私はひぃひぃ言いながらやりとげました。こっちは共有しないけど。(基本的に自分の音声が載るのは恥ずかしくて自分でも見れない)
◆番組ゲストとしての出演
オンライン要素として、もちろんBitSummitの運営さんも動画を出しています。その中でBitSummitに出展しているゲームを紹介していく「ぶらり旅」のコーナーがありまして。
コーナーの最後にその中から1作品をピックアップして開発者にインタビューをする的なやつに出ました。(10回くらいにわけているので、全部で10作品のインタビュー。その中の1つって感じ)
ちょっと裏話をするとですね。私はテキストには自信があっても喋りには自信がないマンなので、前日の夜、1日目が終わった後に4~5時間くらいに受け答えのシミュレーションをしていたりしたんですよ。ホテルで。夜中に頑張って。
そして迎えた当日、開始30分前に番組ディレクターから説明を受けるんですが
番組ディレクター:「ここで、だらねこさんが登場してですね」
ぼく :「はい」
番組ディレクター:「その後、芸人のお二人に登場していただきます」
ぼく :「ぽぇ????????」
番組ディレクター:「……あれっ?」
ってことがですね。ありました。吉本の芸人さんと一緒にやる予定だったらしく、私がそれを知らなかったのです。ちなみに芸人さんはこのお二人。
わー、なんかTVで見た人がおるー……とか思いつつ、昨日のシミュレーション全部吹っ飛んだな?と涙目になりながら頑張りました。動画はハズカシーのでここには載せません。電子の海には漂ってます。
さて、せっかくなので忖度なく開発者として記録をつけるとですね。芸人さんとご一緒するパターン、メリットもあればデメリットもあるなぁというのが正直な感想です。簡単にまとめると、こう。
◆メリット
番組の視聴者が増える。芸人さんもフォロワー10万人以上いるので、コレに出るぜ!っていうツイートだけでも宣伝効果は増えるかもしれない
◆デメリット
自分のゲームについて語る時間は減る。芸人さんのネタや話が入るので、恐らく半分以下になっているかも。
デメリット(自分のゲームを話す時間が減る)を上回るくらいの宣伝効果を生んでくれれば良し、空ぶったら逆効果になって終わるって感じですかね。喋りが上手い開発者の人なら、場をコントロールしてデメリットを小さくできるかも。
ちなみに、頑張ってシミュレーションをして喋る用意はしてあったけど、使わなかった話が色々ありまして。供養代わりに載せておくと
私はゲームブックが大好きだけど大嫌い。大好きな部分をしっかり使いながら、大嫌いな部分を切り捨てて「こういうのが面白いんだよォ!」という要素に置き換えたのがこのゲーム。
人生の中で、「あぁ、あの時この選択をしていたら全然違う人生になっていたのかな……」みたいな事はあると思う。このゲームのシナリオ分岐は、そういう分岐で、あの時この選択をしていたら…の人生を全て楽しめる。これができるのがゲームの良い所。
私は時代劇の殺陣(アクションシーン)が好き。水戸黄門みたいなわちゃわちゃしたやつじゃなくて、剣豪同士の1対1のジリジリした戦いが好きで、それをゲームで再現したらカッチョイイ楽しい戦闘が作れるんでは?と思った。
それと同時に、コマンド式RPGの戦闘はもっと進化できるんじゃないか、コマンド式RPGの良さ(戦術性)を追求した戦闘を作りたいと思っていて、この2つが融合した結果がこのゲームの戦闘システムになっている
みたいな話はありました。時間的な制約もあるし全部は喋れないとは思ってましたけど。そのうち、またインタビューとか受ける機会があったら使おうかな。その機会が…存在すれば……。
◆数字で見た効果
さて、記事にしてもらったり、実況動画があったり、番組ゲストとして話をさせてもらったり……とやってきましたが。
それによってウィッシュリスト数などがどう変わったかと言うと……
◆BitSummit前と後での変化(BitSummit前日 ⇒ 終了2日後)
・Twitterのフォロワー数 :2051 ⇒ 2076 (+25)
・Steamのウィッシュリスト:4155 ⇒ 4520 (+365)
・体験版のDL数:1589 ⇒ 1686 (+97)
・体験版の感想: 364 ⇒ 376 (+12)
こんな感じです。まぁちょっと足しになったかな?というくらい。
新情報の発表とかしているわけではなかったので、この結果は想定の範囲内かなー、という感じです。元々数字外の効果(他の開発者やメディアの人達と接触する、パブリッシャーと契約交渉する)がメインの目標ですし。
体験版がこのイベントで初公開だ、とかあると全然違う結果になるんじゃないかなーと思います。
いやまぁ各効果あと10倍くらいあってもやぶさかではないんですけどね、えぇ、ゴニョゴニョ。
◆出展者としての疑問・困ったこと
これはどちらかというと、運営さんへの要望に近いかもしれませんが。
私の出展者としての情報は
・チーム :Bit Robots
・ブース番号:RO - 04
で、会場の地図にもそれは記されているんですよ。こんな感じ。
ただこの2つの情報が、会場内だとあんまり意味が無くて。
・チーム :Bit Robots ⇒ 会場内にチームを表す物が何もない
・ブース番号:RO - 04 ⇒ ブースにブース番号を示すものが無い
と言う状態でした。どの机がどのブース番号か、地図を見て位置関係から把握する以外にないので、ブースの設営をする時にですね。「ここで合ってます……?」とスタッフにわざわざ聞いてました。
来場者としても出展者としても、ブース番号がブースを視認した時に分かると有難いなと。思います。
あとチーム分けに関しては、どういう系統のゲームが集まっているのか分かるようにして欲しいなぁ……というのが正直な所。例えば私の『いのちのつかいかた』は「ゲームブック風のファンタジーRPG」で、ロボット要素は皆無です。
「SF系の世界観のゲームはBitRobotsです!!」とかであれば、連想できるし探しやすいんですが、関連性がまったく見当たらないので分かりにくいなぁ……というのを去年からずっと感じています。
出展するゲームによって偏ったりして難しいかもしれませんけどね。
追記
リモート展示、とりあえず会場で遊べるようになってます程度だったけど、通話とか画面共有とか使えばもっとコミュニケーションとれそう。工夫の余地はありそうですね。
◆まとめ
とりあえず、
・人脈を少しでも広げるには良い。個人開発者には貴重な機会。
・メディアの人とも話した上で記事にしてもらえる。
・メディア自身が実況して動画で紹介してくれたりもする。
・パブリッシャーと繋がる機会にもなる。
・番組にゲストとして呼ばれた時は、芸人さんと共演する可能性を頭の片隅に置いておくと良い……のか?????
って感じでした。
◆宣伝
改めてSteamのリンク張っておきます。オモシロイヨー。
あと、noteには面白いゲームを作るために役立つ、ゲームデザインの話を投稿していたりします。
例えばこういう記事。
ゲームデザインの話はTwitterでもよくしているので、気になった方は覗いてみてください。
以上、宣伝終わり。さよーならー
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