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だらく対談記録No.1〜自立〜

まえがき


元々この対談は、僕が「婚活してる人ってどんな人なんだろう!結婚相談所のシステムってどうなってるんだろう!おもしろそう!」と興味を持ったところが発端だった。


ちょうどシステマ岡山さんが、婚活の話を以前からちょこちょことしていたので「婚活のはなし聞きたいな〜」とボソボソとつぶやいたところ快く引き受けていただいたことから始まった。




だが、婚活の話は序盤の30分かそこらで終わり、残りの時間はずっと別の話をしていた(対談は3時間おこなった)。

「なんで婚活がうまくいかないんだろう」という疑問がわいてきてそれを知りたくなってしまったので、残りの時間は、彼の人生を根掘り葉掘り聞きだしていた。



結果的に、彼にもそれなりに満足してもらえたようだし、何より僕自身がこの対談にものすごく満足している。

なぜなら、これまでで一番みのりのある対談になったと思えたからだ。


ただ、それだけ内容が濃くなったので、これをどうやって書けばいいのかわからなくてしばらく放置していた。

だが、昨日から今日にかけて、どうにか構成をおおよそ決めて書き上げることができた。




今回の対談記録は、彼の「北極星」を、彼にかけられた「呪い」から紐解き、僕なりの解釈で「これからどうしていけば良いのか」という結論を書いたものになる。

残念ながら、結婚相談所のシステムや人間の層については言及しない。

それでは書いていこう。


システマ岡山さんのプロフィール


まずは、彼のプロフィールからだ。

ちょうど「Twitter婚活」なるものを始めたようで、プロフィールのツイートをしていらっしゃったので、そちらを引用する。


また、ざっくり僕の覚えている範囲で、箇条書きで彼の経歴について説明する。

・大学を卒業する
・新卒で就職した
・色々あってリストラされる
・実家に戻り夢を親に伝えたら「やめてくれ」と泣かれる
・仕方なく教師を目指し、常勤講師になった
・色々あってメンタルを病んで非常勤講師の道を選ぶ
・一時的に無職になるが、またこの春から教職に復帰する


大体こんな感じだ。

それでは書いていこう。

婚活


30歳から婚活を始めた。

知り合いがある結婚相談所に通ってめでたく結婚することができたことを聞き、「もう30歳だしそろそろわたしも結婚に向けて活動するか」そんな感じでなんとなく登録することにした。

現在39歳。

だが、未だに婚約成立まで至らず。

一度うまく行きかけたことがあったが、お試し同棲をしたいと言われ挑戦してみたところ、一週間かそこらでお断りのお返事をいただいてしまった。


また、婚約成立まではいかなかったが、相手からとても気に入られて「これはうまくいくのでは?」となったことがあった。

だが、彼の両親から強い反対があり、交際終了となってしまった。


恋愛経験


彼は9年のあいだ婚活をしたけど、成果は乏しかった。

そこで僕は、彼の恋愛経験にフォーカスすることにした。



話を聞いていくと、彼は「手を繋いだりするタイミングなど、距離を詰めるタイミングがわからない」と言っていた。

また、恋愛の経験について聞いてみると、今まであまりちゃんと付き合ったことがないとわかった。

大学時代に同じ部活の人と「試しに付き合ってみよう」となったものの、それも「なんか違うね」となりすぐに終わってしまった。

あとは、中学生の頃に付き合って嫌われてフラれたのをカウントに入れると、付き合ったのは計2回。




つまり、彼は恋愛経験がほとんどないまま婚活に踏み切っていたのである。

それ自体が悪いということはないのだけど、どうも距離感がつかめないままに女性とコミュニケーションをとっているというくちぶりだったので、そこが婚活がうまくいかなかった原因の可能性がある。

良くいえば彼の優しいところが、悪くいえば受け身なところが、そのまんま会話に出てしまい、「頼りない」「魅力的でない」と感じられてしまったのかもしれない。



僕が知る限り、彼は優しい性格で、他人に攻撃的になることを見たことがないし、協調性のある方なので話し合えば共同生活は普通にやっていける感じがする。

だが、色んな人から話を聞いたが「優しいだけ」というのは、どうやら恋愛にはそこまでプラスにはならないらしい。

「優しい」は基本的にはあった方が良い要素なのだが、どうやら恋愛にはそれ以上のものが求められるらしい。

彼には「それ以上のもの」がなかったのかもしれない。そして、あったとしても、それを相手に伝える術を持っていなかったのだと思う。


システマ


システマとの出会いは、大学の卒業旅行の時。

彼は元々は合気道をやっていたのだけど、システマを体験したことにより「合気道でわからなかったことがシステマで説明できる!」となり、感銘を受け始めることにした。



ここ3年、つまりコロナ禍になってから集まって稽古することがむずかしくなり、ひとりで稽古をしていた時にプッシュアップの重要性に気づき、プッシュアップに特に力を入れるようになった。

彼いわく、プッシュアップは「基礎・基本」。

プッシュアップを続けてきたことで、腕が太くなり、ストライク(打撃)が上達し、単純に運動をすることで自信がついた。成果はちゃんと出たようだ。

だが、僕が「この先の課題はなんですか?」と問いを投げたところ、返ってこなかった。




システマの基本原則


システマの基本原則はこの四つだ。


・呼吸する
・リラックスする
・良い姿勢をとる
・動き続ける


(偶然にも僕が祈りの基礎として考えて組み上げた理論とほぼ同じだった。そして、理由も同じだった)

どれも日常生活のパフォーマンスを上げるためのものばかりだ。



また、システマは「ロシアの合気道」と呼ばれるくらい合気道と通ずるところが多いのだが、それは基本概念にあるらしい。

・生き延びる
・非破壊
・自分自身を理解しつつ、状況に応じて、できる限りの最善を尽くす

ただ戦いのために強くなるというわけではなく、そもそも戦わずに済むようにするとか、復讐を避けるために恨みを買わないようにするとか、そういった生存のための考えがあるように思う。

きっとシステマ岡山さんも「相手を壊すこと」ではなく「生き延びること」「優しくあること」が良いと思っているから、システマを愛しているに違いない。

だからこそ彼は「死ぬまでシステマをやり続ける」と言っていたに違いない。




システマは詳しい解説はこちらへ

(僕はシステマのことを知らないので本当にちゃんと解説されているのかはわかりませんが、良さげだったので貼っておきます)


一発逆転


彼は大学に入って新卒である会社に就職したのだが、あまり仕事がうまくいかなかったらしい。

そして、リーマンショックの影響もあり、リストラされてしまった。

そして一人暮らしをしていたが、実家に帰ることになる。



そこから「一発逆転したい」という欲望が芽生える。

彼はリストラをされて「普通の人生のレール」から外されてしまったという感覚に陥った。

システマというわりとマイナーな武道で大成すること。結婚して家庭を持つこと。

手段はなんでもいい。とにかく崖から這い上がる術を探していた。


親の呪い


1.「普通」という呪い


両親は共に教師。

父親に至っては校長になり、定年まで勤め上げた。

家も立派で、とくに何不自由なく育ててもらった。

それがそのまま普通の人生、普通の幸せ、普通の成功、それらのイメージとなり、彼はそういう人生を当たり前に送っていくものだという風にすりこまれて育った。

だから、リストラされて、普通ではない処遇を受けて仕事をなくしてしまったので、その普通のレールから外れてしまったと感じたのだ。



2.「非自立」の呪い

彼はリストラされてから実家に戻り、システマのインストラクターになりたいと言ったが、泣いて「頼むからやめてくれ」と懇願されたらしい。

そして「教師になるならサポートするし、家にもいていいよ」と言われた。

ちょうどその頃にモスクワにキャンプに行く予定があり、それに行くためには実家でなんでもサポートしてもらえるという状況がなければならなかった。

また、特に今インストラクター以外でやりたいことがあるわけでもないので、親にお金を出してもらって通信制の大学に行き、学童保育のアルバイトをしつつ教員免許を取り、今に至る。


彼はその後、実家で暮らすことになり、ついこないだまで実家で暮らしていた(十数年?)



母親が「ご飯できたよ」といってご飯を食べに行く。他のことも然り。

食事の時間、起きる時間、風呂の時間など、それらの習慣ずっと家のペースで続いていた。

それが彼の根本的な自立を妨げていた。


自立


さて、今までの話を総合しての結論だが「自立せよ」である。

本記事のテーマも同じく「自立」である。

彼の人生に「自立」の重要さを見た。



彼は婚活をしてきた。

だが、恋愛において、自らの試行錯誤により、相手との距離を近づけることをした経験が乏しい。

だから自分から能動的にコミュニケーションをとることがあまり得意ではない。

そういうところを見て「頼りない」というふうに感じられてしまった可能性があると思う。

経済的自立なんて言葉があるように、コミュニケーションをしているとその人が頼れるかどうかというのはなんとなくわかってしまうものだから。




彼はシステマをやってきた。

だが、聞いてみたところ、どうやら次の課題が見えていない。見え続けていない。

彼自身も「もしかしたら漫然とトレーニングをしているかもしれない」と言っていた。

僕の考えでは、武道というのは常に課題が山積みで、目の前に課題を見据え続けることで、その課題をクリアして少しずつ強くなっていける。

そのゴールは永遠に遠ざかっていくので、無限に課題が見つかり続ける。

僕はすごくにわかで申し訳ないのだけど、一応、合気道的な物事の捉え方をかじっており、また経験的にも常に課題を見つけてつぶしていくことやり続けてきたため、この「課題が見えていない」という状態があまり良くないことがわかる。

彼は「自分で考える」という作業がまだあまりできていないのだ。




また、一発逆転という発想も、この「自立」というキーワードで考えることができる。

結婚にも武道にも一発逆転はない。

なぜなら、それは一度の試合で勝ったら終わりという性質のものではなく、試合なんて形式がそもそもなくて、そして死ぬまで続いていくことだからである。

一発逆転したとカンチガイするような出来事があっても、またどん底に落ちる可能性がある。

武道的に言えば、それをそもそも踏まえた上で、それに対応できるようにしていかなければならない。また、そうならないようにしていかなければならない。




だが彼はシステマにおいてプッシュアップが大切だと気付き、それを3年間ほどやり続けている。

これは間違いなくすごく大きな進歩だ。

だが、肉体的なトレーニングだけでは足りない。精神的な部分を鍛えないと、システマの基本原則は守ることはできないと思うから。



結婚において何が必要なのかは僕にはわからないけど、相手の女性に魅力的だと思ってもらうためには、きっと「自立」が必要だと思う。

マザコンの男性は女性がなんでもやってくれると思っているから好かれない、みたいな話に似ている。

共同生活をして一緒に人生をやっていく上で、たぶんある程度パートナーのことを引っ張っていくくらいの力がある男性がいいのだろうと思う。

そのためには問いをやらなければならない。ひたすら他人とコミュニケーションをとっていって、何が良かったのか、何が悪かったのか、次はどうすると良いのか、そういうデータを集めていく。

また、自分の生活をやり、自分の世界を構築し、それを相手に見せられるようになるまでやっていく。

儀礼的に相手に不快を与えるようなコミュニケーションを見つけて、それを可能な限り排除していく。

多分そういうことが必要なのだ。


(ここまでの話はすべて独身男性である僕のテキトーな想像なので、間に受けないでください。やってもきっとモテません)




システマにおいても同じ。

彼には問いが足りない。


例えば、僕の話をすると、僕は祈りをやっているのだが、その一環として、まいにち死を想像しながら生きている。

その最後の瞬間や、痛みや、最後に見る景色を想像する。

そしてその想像上の痛みを受けて、そうならないようにどうするかを考える。


システマの基本概念において「生き延びる」というのがあるが、僕がやっているのはまさに「生き延びるため」の行為であると思う。

生き延びるために今自分がやらなければならないことを見つけて、その技術を習得していく。

プッシュアップを続けていくのは、実際に成果が出ているしとても大事なことだと思うのだけど、そういう肉体強化、ひとつの動作の強化というのは、確かに基礎・基本ではあるのだが、だからといってスポーツ(ある種のルールのあるゲーム)が上手くなるわけではない。

ゲームが上手くなるためには、そのゲームを実際にやったり、または想像してシミュレーションするしかない。

死なないために想像し、自分に足りないものを獲得するために、トレーニングを編み出しやっていく。


これがシステマをやっていく上で必要なスタンスなのではないかと、僕は結論づけた。


今の一発逆転


「システマのインストラクターになりたい」という気持ちは以前から変わっていないらしい。

以前は「システマで大成することで一発逆転」みたいな発想をしていたが、今そういう話ではなくて、単純に「お金に困らないようになりたい」「好きなことを仕事にしたい」「嫌なことをやらずにいたい」ということらしい。

一発逆転の言葉の意味が少し変わってきているのを感じた。




それでも、今の自分に自信があまりなくどこか劣等感みたいなものがあるようだ。

やはり、彼は「普通になりたい」のだ。

そして、これもまた「自立」によって解決すると思う。



そもそも論、他人と比較しても仕方がないし、するなら国外ともしてみたらいいと思う。

武道をやる余裕がある時点で平均以上の暮らしをしていると思うので、そもそも既に彼は平均より上にいる。

だけど、やはり周りと比べてしまう。親のイメージと比べてしまう。そういう呪いがある。

だがそういうものも、小さいことを積み重ねていき自分の世界が出来上がっていけば、他人の世界との区別がつくようになると思う。



世界がひとつだなんて思うからいけないのだ。

色んな世界があり、色んな正解がある。

それを身体で理解するためには「自立」するしかない。



自分で考えて納得した答えがない者は、自分の軸がないから負け続ける。

普通・普通未満、負け組・勝ち組みたいな、そういう他人軸でモノを考え続ける時点で、負けているのだ。



生き延びられているし、幸せに生きられるだけの環境にいて、システマをやって強くなっていけるだけの条件を備えているのに、それに満足できないというのは、システマ的にもあまり良くないことなのではないだろうか。

一発逆転するためには、その他人軸から抜け出るしかない。

自分軸を持ち(自立し)、その世界で生きることができれば、きっと全てがうまいことまわりだす。

だからそのためにはやはり「問い」をやらねばならない。


その他のやりたいこと


その他には、他人に贈与・分配的なことがしたいと言っていた。

これもまた、「自立」が不可欠であると思う。

これをシステマのインストラクターの立場として見た時に、結婚・恋愛で使う能力もまたシステマを教える時に役に立つと思う。

コミュニケーション能力だ。

自分で組み立てた自分の世界があり、他人のことを理解しようとする意思とその能力があり、相手の話をひたすら聴いて、何かを伝えられるようになっていく。

結婚・恋愛以前に、ひとりの人間として相手とどう関わっていくかというスタンスが重要なのだと思う。

モノを渡すのもいいけど、自分からあふれでてしまう何かを他人に渡した方が、自分という人間に価値を感じてもらいやすい。

だからインストラクターとしてやっていくならば、色んな意味で「自立」しなければならないのだ。


まとめ

○システマ岡山さんの北極星

1.システマを死ぬまでやる
2.結婚する
3.一発逆転(主にお金に困らなくなること)
4.他人への贈与・分配

「システマのインストラクターになりそれで飯が食えるくらい成熟した人間になり、結婚する」を達成すれば、この四つの条件を満たしたことになる。

これら四つの条件を満たすために必要なのは「自立」である。

システマにおいての自立とは「問いとくらがりをやり、常に課題を見つけられるようになり、自身のシステマを進化させ続けられるようになること」である。

結婚においての自立とは「問いとくらがりをやり、ひとりの人間として相手と良き関係を築けるようなスタンスを形成していくこと」である。

一発逆転(普通のレールに戻る)は、そもそもそんな他人軸の「普通」なんてものを手に入れるのではなく、問いとくらがりをやり、自分の世界をコツコツと形成していけば、自分軸で良きことを判断してやっていけるようになる。

他人への贈与・分配は、今でも無理なくできることはやっていき、問いとくらがりをやって、いずれ自立していった先に、コミュニケーションによって提供できる自分の魅力というものを「システマ」「結婚」やその他社会生活を営む中で、自然と他人に与えられる存在になっていくだろう。


終わりに


ちょうどこの対談の一週間後くらいに、彼が一人暮らしをすることが決まっていた。

自立じゃん!!!!

本当にタイミングがすごいなと思った。

まさか対談をして出た結論がすでに実践されようとしていたとは。


僕が思うのは、日常の何気ない判断の一つ一つが、自分を構成しているということ。

だから、一人暮らしをしていくだけでたぶん彼のシステマはどんどん良くなっていくと思う。

他人から隔絶された空間で、自分ひとりで何かを決め続ける。そして、失敗し、また選択する。


これまたタイムリーな話なのだが、住むところを決めた時に、保険に入るかなど色んなことを他人に任せすぎて後悔したらしい。

ものすごく良いスタートである。


話を変えるけど、正直すごく失礼なことを書いた気がしている。

他人の足りない部分に言及するというのは、正直あまり気持ちの良いものではない。

だから、書きていて不快を感じる場面も多かったのだけど、システマ岡山さんのためではなく、僕自身の自立のためにこの記事を仕上げたかった。

そして、この自立というキーワードをタイトルにして、ちゃんと文章に残しておきたかった。

また、この対談においての「北極星」「呪い」の共通項をうまいこと文章を書いて表現してみたかった。

そんなにうまくいった感じはしないけど…。

文章が長すぎたからかな…。


まぁでもとにかくまとめきったし、この文章を書く前に北極星と呪いを図式化したりと、色々な作業をして色々な知見が得られたのでとても良かったと思っている。


この記事の公開を即答で許してくれたシステマ岡山さんの度量の大きさに感謝します。

良き対談でした。

システマ岡山さんが、自己決定をやり続けることによって自立し、システマとコミュニケーションが進化し、インストラクターになり結婚をしてより良い人生が送れるようになるのを祈っています。

次に話すときは、進化したシステマの話をぜひ聞かせてください。


あ、最後にこれを。


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