数学ダージリン
誰もいない放課後、散々なテストにうなだれていたら声がした。
「数学ダージリンを飲むといいよ。
内緒なんだけどこれ飲むとさ、成績上がるんだ」
吉田くんは、物静かであえて友達を選んでいるようなそんな謎めいた男子だった。
華やかな香り。
お菓子と一緒じゃない紅茶を飲むのは新鮮。
吉田君が、放課後数学を教えてくれる。
サーモマグには数学ダージリンが入ってる。
「佐々木、頑張ったな!!」
先生は驚く。
友達は駆け寄ってきた。
「20点から80点?」
「変な薬でも飲んでんじゃないの!?」
「ほら言ったとおり」
吉田くんは笑う。
違うよ。この効果は数学ダージリンじゃない。
数学を教えてくれたお礼を言おうと思ったその時、先生が教室をのぞいた。
「佐々木大丈夫か!?」
「やめてくださいよー私がいきなり成績が上がったからって」
「いや…吉田の席で独り言いいながら勉強してるからさ」
そっかもういないんだった。
机の上にはモッコウバラが飾ってある。
ダージリンのいい香りがした。
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